新幹線の運転士および車掌の平均年収は700万円前後。
ただし、詳しい金額は各社(JRグループ)によって異なる。基本的に鉄道現業職が中心で、年功序列型が定着している。
新幹線と在来線、あるいは技術系の職種との違いは少なく、特別な手当は特にない。
目次
新幹線の運転士・車掌のJR各社別の推定年収
JR各社 | 推定年収 |
---|---|
JR東日本 | 500~800万円 |
JR東海 | 500~800万円 |
JR西日本 | 450~750万円 |
JR九州 | 400~700万円 |
JR北海道 | 400~600万円 |
JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州では有価証券報告書にて平均年収を公表している。
新幹線の運転士と車掌もそれに近い金額にはなるものの、業務に当たる社員の年齢層で異なる。
若い社員であればやや低い金額になるが、ベテラン社員であれば勤続年数が長いことで給料も高い。
駅係員や保線・土木・車両整備などの社員との違いは「乗務員手当」の有無だが、新幹線だからという理由で大幅に給料が高いわけではない。
推定根拠は社員の年齢
20代後半から30代いっぱいが新幹線の乗務員の年齢層。
新幹線の運転士と車掌は現場での仕事ということもあって、比較的若い年齢の社員が担う例が目立つ。
その一方、入社間もない社員でいきなり新幹線の乗務員になることはほとんどない。
運転士はともかく、車掌でも最低3年ほどは経過した人に割り当てられる。最初はまずは駅係員として勤務する。
一方の運転士は在来線の運転士を経験した後になれる立ち位置。最少年齢でも27歳前後より上となる。
逆に、ベテラン社員となる40歳を超えると、今度は現場の第一線ではなく管理部門へ異動となる年齢。新幹線の運転士・車掌から駅や運行管理部門へ移る。
したがって、新幹線の運転士・車掌では20代後半から30代が主流層。ここの年齢層の給料水準が平均年収となる。
運転士の方が高い
仕事上の責任度は列車を操縦する運転士の方が大きいという性質から、平均年収も運転士の方が車掌よりも高い。
年齢層も車掌よりも運転士の方が上の場合が目立つ。
これによって、給料水準は運転士の方が高い。
もっとも、どちらも「乗務員手当」が付く。しかも、早朝や深夜の勤務も必ず存在することで深夜手当も収入として入る。
一般的な企業よりは高いのは確実。
乗務員手当
ところで、乗務員手当とは何か。そんな疑問が湧いてくるかもしれない。
乗務員手当
乗務員手当は乗務時間と距離に応じて別途支給される給与
計算式:乗務員手当総額=1か月あたりの乗務時間・距離 × 時間・距離単価
乗務とは、運転士であれば実際に列車を運転している時間、車掌であれば列車に乗っている時間で、1分単位で計算される。
乗務員は一度出勤すると乗務を何度も繰り返す(一日の乗務をまとめたものを「行路」という)ので、それが全て乗務時間・距離として加算される。
引用:鉄道会社からの脱出「鉄道会社の給料 -実はおいしいのは運転士?」
つまり、列車に乗務している時間の長さが長いほど手当が支給される。
これは基本給とはまた別にカウントされる。
手当は時刻表(乗務員行程表)だけでなく、超過分も含まれる。列車遅延などで乗務時間が長くなれば、その分乗務員手当も増える。
一般的な残業代(時間外手当)と同じような性質でもある。
各路線ごとの新幹線の運転士・車掌の年収の動向
新幹線の運転士・車掌の担当路線ごとの平均年収は次のようになる。
仕事内容自体はどこも同じであるが、運行する鉄道事業者の経営状況が給料が高い・低いを大きく左右する。
東海道新幹線
東海道新幹線はJR東海が運行する路線。
日本で最も乗客数が多い新幹線で、収益力も「ドル箱」といえる存在なほど。
JR東海は給料事情がかなり良く、鉄道会社の中でもトップクラス。乗務員の給料もその分高い。
平均年収は700万円前後で、各社員の範囲も500~800万円ほどと推定。
山陽新幹線
山陽新幹線はJR西日本が運行する路線。
東海道新幹線の延長線上という性質があるものの、区間が新大阪~博多と首都圏をカバーしないため、利用者数はやや少ない。
しかもJR西日本も本州JR3社の中では経営状況が悪いため、その分年収も下がる。
平均年収は600万円前後で、各社員の範囲も450~750万円ほどと推定。
九州新幹線
九州新幹線はJR九州が運行する路線。
鉄道輸送人員が少ない地域ということもあって、JR九州の収益力は低いのが現状。
新幹線の運転士・車掌という点では同じでも、他の会社と比べると年収は下がる。
平均年収は550万円前後で、各社員の範囲も400~700万円ほどと推定。
東北・山形・秋田・上越新幹線
以下はJR東日本が運行する新幹線の路線。
- 東北新幹線
- 山形新幹線
- 秋田新幹線
- 上越新幹線
- 北陸新幹線(東京~上越妙高)
いずれの路線も東海道新幹線のように利用者数が格段に多いわけではない。
しかし、JR東日本そのものは首都圏をカバーするため経営状況がかなり良い。
そんな事情で給料水準は高く、鉄道会社の中でもトップクラス。新幹線運の転士・車掌の給料もその分高い。
平均年収は700万円前後で、各社員の範囲も500~800万円ほどと推定。
北陸新幹線
北陸新幹線は上越妙高駅を境にして、JR東日本・JR西日本が運行する。
新幹線の運転士・車掌も走行区間でそれぞれが別々に担当する。
JR東日本の乗務員であれば東北新幹線などと同じく平均700万円前後。
JR西日本の乗務員は山陽新幹線と同じく650万円前後が平均年収と推定。
北海道新幹線
北海道新幹線を運行するのはJR北海道。JRグループの中でも赤字幅が最も大きい会社。
近年は厳しい経営状態から、特急列車などの減便を広く行っている。
社員の給料水準も低く、正社員でも平均年収は社内全体で500万円前後。
新幹線の運転士・車掌のようなある程度ベテラン社員でも500万円と推定し、各社員の範囲も400~600万円と算出。
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分類 | 会社名 |
---|---|
JR | JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州、JR四国、JR北海道、JR貨物 |
大手私鉄 | 京浜急行電鉄、東急電鉄、相模鉄道、小田急電鉄、京王電鉄、西武鉄道、東武鉄道、京成電鉄、 阪急電鉄、阪神電気鉄道、京阪電気鉄道、近畿日本鉄道(近鉄)、南海電鉄、 名古屋鉄道、西日本鉄道 |
中小私鉄 | 首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)、東京モノレール、新京成電鉄、北大阪急行電鉄、神戸電鉄、広島電鉄 |
地下鉄 | 東京メトロ、東京都交通局、横浜市交通局、名古屋市交通局、京都市交通局、大阪メトロ(Osaka Metro)、神戸市交通局 |
第三セクター鉄道 | <第三セクター鉄道全体> |
関連会社(車両、信号) | 日本信号、京三製作所、大同信号、日本車輌製造、近畿車輛、総合車両製作所、東洋電機製造 |
関連会社(建設) | 東鉄工業、鉄建建設、第一建設工業、日本リーテック、名工建設、日本電設工業、新生テクノス |
その他関連 | 鉄道情報システム、独立行政法人鉄道・運輸機構(JRTT) |
職種別 | 駅員、新幹線の運転士・車掌、電車(在来線)の運転士・車掌 |
ボーナス | <一覧表>鉄道会社のボーナスの支給額の実績 |
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