東海道新幹線のひかり号とこだま号の本数は1時間当たり2本が標準となっている。停車駅が少ないのぞみ号と比べると大幅に本数が少ない。
東京~新大阪間の時刻表を見ると、のぞみ号は日中でも毎時5~6本運転されている。一方のひかりとこだまはそれぞれ30分に1本しかない。
なぜこのように停車駅が多いひかり号とこだま号は少ない本数に抑えられているのか。そんな疑問を持っている人は結構多いだろう。
ひかり・こだまが本数少ない理由
種別 | 東京駅発の本数 |
のぞみ | 5~6本 |
ひかり | 2本 |
こだま | 2本 |
東京~名古屋~大阪の移動者が大半
東海道新幹線の主要駅といえば、東京・品川・名古屋・京都・新大阪の5駅である。つまり、東京・名古屋・大阪の都市を移動する人が利用者の大半というわけだ。
のぞみ号の本数が全体の過半数を占めている理由はここにある。次のようなことがいえる。
「東海道新幹線は東京~名古屋~大阪のための新幹線!」
ひかり号とこだま号はのぞみ号が停車しない駅を乗り降りする人向けの列車である。主要駅に比べて利用者の総数が少ない。そんな需要に合わせて供給も少なく設定されている。
確かに静岡・浜松をはじめとする駅を乗り降りする人もそれなりにいるのは否定できない。しかし、割合的に見れば小さい。
のぞみの妨げになるから
のぞみ号は停車駅が少ない分通過駅が非常に多い。ただでさえ本数が多いところを、ひかり号とこだま号が走っているのが今の現状である。
もし仮にこれ以上ひかり・こだまの両種別を増発するとなると、後続ののぞみ号はどこかで徐行運転を余儀なくされるだろう。
ひかり・こだまが停車駅にて待避線に入ってのぞみがそれらを追い抜かすとしても、駅の構造からそれが不可能なところもある。熱海駅がその代表である。
乗客が多いのぞみが最優先となるダイヤとなっているため、ひかり・こだまが走れる容量には限りがあるのも確か。
山陽新幹線も同じ
ひかり・こだまの本数が少ないのは東京~新大阪に当たる東海道新幹線の区間だけに限った話ではない。新大阪~博多間の山陽新幹線の区間も同じである。
昼間の時間帯に東京~岡山で運転されるひかり号が毎時1本、岡山~博多間で運転されるこだま号が毎時1本走っているのみである。
一方でのぞみ号は新大阪~広島で毎時3本、広島~博多間で毎時2本運転されている。さらに、九州新幹線直通のさくら号が毎時1本走っている。
種別 | 東京駅発の本数 |
のぞみ | 2~3本 |
さくら | 1本 |
ひかり | 1本(山陽区間は各停) |
こだま | 1本(岡山以西のみ運転) |
さくら号は山陽新幹線の新大阪~博多間ではひかり号の役割を果たしている。準速達型の種別として運転されている。
山陽新幹線でものぞみ号が中心的な存在になっている。主要駅を乗り降りする人をターゲットとしたダイヤで、途中駅の本数はかなり少ない。
同じく需要が少ない
需要を見ると圧倒的に主要駅を乗り降りする人がほとんどである。新大阪・新神戸・岡山・広島・小倉・博多の6駅に乗客が集中している。
東海道区間と同じように、停車駅が多い種別を増発したところで、利用者は伸びない。空席が出る一方となり過剰な供給となってしまう。
こうした背景から、東海道山陽新幹線ではひかり号とこだま号の本数が少なく抑えられている。