JR北海道が倒産する可能性のレベルを分析! 国有化の計画も

倒産の可能性が議論されるJR北海道

JR北海道は国鉄が民営化されたJR各社の中では最も赤字幅が大きく経営不振に陥っている。国有化の計画やJR東日本との合併の意見も出ている。

北海道新幹線の札幌延伸の事業が進んでいて、これが実現すればJR北海道の収益状況も良くなるだろうという見方があるが、これに否定的な意見もかなり多い。

年々累積赤字は拡大する一方である。民間企業であればいずれは確実に経営破綻するレベルである。


国の支援がある限り倒産の可能性はゼロ

これまでもJR北海道では長年経営状況が良くなかった。それでもここまで続けられてきたのは国からの支援があったためである。

国土交通省は毎年JR北海道、JR四国に対しては資金的な支援を行っている。いずれも国鉄が民営化されてJR化した会社だが、赤字経営に陥っている。

JR北海道は1989年に民営化されたとなっているものの、主な株主は日本国政府である。したがって、実質的にはほとんど国鉄に近い存在ともなっている。

完全に民営化が実現して上場を果たしたJR東日本、東海、西日本、九州とは事情が正反対ともいえる。

国からの支援がそれなりにあれば、倒産する可能性は低い。税金という収入源が存在するため、鉄道事業が赤字でもやっていけるというわけだ。

参考:JR北海道はなぜ赤字!? 黒字化は永久に難しい理由

国の支援が消滅すれば倒産確実

一方で国からの支援がなくなれば、倒産するのは確実な情勢になってくるだろう。

そもそもJR北海道で100%黒字経営が実現できている路線は1つもない。電化費用の借金や除雪費用などが負債として出ていくため、利用者数が多い札幌都市圏でさえ営業係数が100未満にはなっていない。

それでも黒字に近い各線はあり、具体的には以下になる。

  • 函館本線(札幌~小樽)
  • 函館本線(札幌~岩見沢)
  • 札沼線
  • 千歳線

札幌市内への通勤圏の鉄道路線だけなら、国の支援なしでもギリギリやっていけるかというところだろう。

JR北海道の継続に必要なこと

<経営改善に必要な要素>
主な内容 詳細
赤字路線の廃止 利用者数が少ない不採算路線を廃線に。札幌都市圏以外の路線ほぼすべてが対象。
北海道新幹線の高速化 東京~札幌の所要時間を3時間台に。青函トンネルを含む盛岡~札幌の最高速度を360km/hにすることが前提。
鉄道事業以外での事業拡大 収益力がない鉄道事業以外の分野での収入が経営状況改善のかぎを握る。

赤字路線の廃止

札幌周辺の路線でさえ赤字のJR北海道

赤字路線の廃止はJR北海道の経営改善を狙う際には絶対不可欠な要素である。

沿線の自治体や住民が反対するのは避けられないものの、需要と供給の観点から考えられば、廃線にするのが最善の策になる。

赤字路線の維持はJR北海道の重荷になる。利潤を獲得することとは真逆の行動になる。

JR北海道の赤字路線とは、単純に考えれば札幌都市圏以外のすべての路線ということになる。

北海道新幹線の高速化

北海道新幹線

北海道新幹線は現時点では大幅な赤字に陥っている。これは、開業済の区間が新函館北斗駅までとなっていることが最大の理由だろう。

今後は札幌へ延伸して東京~札幌が新幹線で結ばれることになる。ただ、札幌までつながっても黒字化の見込みはやや薄い。

飛行機との競争で有利に立てる「4時間の壁」の問題があるからだ。東京~札幌の所要時間が4時間を切れば集客が良くなって経営が良くなるといわれている。

しかし、現在のように盛岡以北が260km/hという規制があり続ける限り、所要時間は5時間近くもかかることとなる。

東京~札幌の所要時間が4時間以内になるためには、東北新幹線・北海道新幹線の最高速度を360km/hに引き上げる必要がある。

これができて初めて「4時間の壁」という航空機に勝てるボーダーラインを突破できる。

>>はやぶさ号の区間ごとの最高速度を調査! スピードを詳細に分析

鉄道事業以外の分野での収益確保

正直に言うとJR北海道には鉄道事業で収益を上げる能力はまったくないと言わざるを得ない。

このため、会社全体として利益を確保するためには鉄道事業以外の分野でのビジネスで収益力を確保することが求められる。

駅ナカ事業などが有名だが、それ以外のところでも市場を広めることが経営改善のカギを握る。


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