名鉄は愛知県内と岐阜県の一部の地域に数多くの路線を持っているが、赤字となっている路線が少なくない。
会社全体としても、鉄道利用者自体が東京や大阪と比べて少ないため、旅客収入が多いわけではない。
ドル箱路線といえる主要な幹線でもJR東海線と並行していて沿線の人口を分け合っている部分がある。名鉄vsJRという構図で競合しあっている。
名鉄vsJR、競合する2社を比較! それぞれどんな違いがあるのか?
採算性の面では、特に郊外を走る小規模の路線で赤字幅が大きく採算が悪いところが多い。実際、不採算路線はこれまでも廃線となってきた歴史が名鉄にはある。
赤字はこの5つの路線
名鉄で路線単位で赤字となっているのは、尾西線、広見線、西尾線、蒲郡線、豊川線の5路線である。
いずれも中京圏の中核である名古屋市からは結構な距離が離れている。今の世の中でクルマ社会が定着した郊外のみの地域を結んでいることから、鉄道利用者が少なく、これが原因で収益性が低い。
広見線や西尾線、豊川線では名鉄名古屋駅からの直通列車が乗り入れているものの、単独では収入よりもランニングコストの金額の方が大きい状態となっている。
電車1本で名古屋方面と行き来できるとはいえ、乗客の数はこの地域では少ない。あくまでも名古屋本線や犬山線の部分が黒字となっている。
これまでもいくつか廃線に
名鉄ではこれまでも赤字の不採算路線を廃止してきた。最近だと2005年に岐阜市内線・揖斐線・美濃町線・田神線の4路線が廃線となった。岐阜県内の600V線区と呼ばれていたが、この時にすべて廃止された。
さらに、名鉄グループに属していた福井鉄道は2008年に名鉄が株式をすべて手放した。
もとから赤字幅が大きくて廃線の話題が上がっていたが、第三セクター化されることで問題は解決された。
しかし、名鉄単独では運営できないほど採算性が悪かった。実質的には廃止のようなものと判断できる。
黒字幅が大きい路線とは?
名鉄で黒字幅が大きくて儲かっているのは名古屋本線、常滑線、犬山線、瀬戸線の4つが中心である。いずれも各駅停車のほかに優等列車が運転されている。
名鉄名古屋駅や金山駅に乗り入れている名古屋本線・常滑線・犬山線では特急の運転も実施されている。
乗客の数が多いため、長距離を移動する人向けの速達列車が充実しているのが特徴である。
ただし、名古屋本線は名鉄岐阜~豊橋間の全線に渡ってJR東海道本線と並行して走っている。沿線の鉄道利用人口を名鉄とJRで分け合っている構図が形成されている。
黒字であることには変わりないものの、沿線の総人口の割には乗客数と旅客収入が多くはない状態となっている。
瀬戸線に関しても、JR中央本線とやや並行している形となっている。名鉄エリアと呼べる地域は若干ながら狭い。
一方の常滑線、犬山線はJRとは並行していない。競合相手がいないため、沿線を独占できている。こちらは収益性が高く、安定した経営ができている。