ミニ新幹線はやはり失敗だったのか!? 山形・秋田新幹線を分析

ミニ新幹線

ミニ新幹線は成功だったのか、それとも失敗だったのか。在来線を活用する方式の結果を分析。

これまでの事例である山形新幹線および秋田新幹線では、今でも沿線の自治体を中心に「フル規格化」、つまり完全100%新幹線で建設することを求める声がある。

JR東日本としては成功だったとしているものの、沿線の地方公共団体としては所要時間の短縮を求めている。ミニ新幹線は早期開業のための暫定的な措置ともとらえているようだ。


ミニ新幹線の成功点と失敗点

ミニ新幹線の「成功」の要点である良かったことと「失敗」の要点である悪かった点を、山形新幹線と秋田新幹線でそれぞれまとめる。

山形新幹線 秋田新幹線
良かった点(成功) ・東京駅をはじめ首都圏まで列車1本で行けるように。
・既存在来線を活用できて低コスト、早期開業を実現
・在来線も存続(JR東日本が引き続き経営)
・東京駅をはじめ首都圏まで列車1本で行けるように。
・既存在来線を活用できて低コスト、早期開業を実現
・観光地の発展
悪かった点(失敗) ・所要時間が大幅に短縮されず
・北陸新幹線開業で山形県の存在感低下
・冬の大雪によるダイヤ乱れが多発
・盛岡以西の所要時間がネック
・北陸・北海道新幹線開業で秋田県の存在感低下
・冬の大雪によるダイヤ乱れが多発

いずれのミニ新幹線も後に完成した整備新幹線とは違って在来線活用案を採用したことで「早期開業」という目標を達成できた。

1990年代には開業を達成でき、早い時期から大都市東京と山形・秋田の行き来の際の鉄道の利便性が向上した。

しかし、整備新幹線として建設されたことで開業の時期が遅くなったもののそれを遂に達成した例(東北新幹線の盛岡以北・北海道新幹線・北陸新幹線・九州新幹線)が増える中、ミニ新幹線で妥協した地域の存在感が下がった。

失敗だったと考える人たちが問題視しているのはこの部分である。

参照:ミニ新幹線の「仕組み」とは!? フル規格との違いはここ!

山形新幹線

山形新幹線のつばさ

成功だった点

山形新幹線はミニ新幹線で最初に開業した路線である。東京~福島間は東北新幹線、福島~新庄は山形線の愛称が付く奥羽本線を走る「新在直通」の列車となった。

1992年に開業したが、この当時は新幹線といえば、東北新幹線の東京~盛岡、東海道新幹線と山陽新幹線しかなかった。

九州新幹線や北陸新幹線(旧長野新幹線)は一部区間ですでに着工されていたものの、山形新幹線はその時点で開業していた。

成功点としては、東京駅をはじめとする首都圏まで列車1本で行き来できるようになったという利便性の向上の他に、早期開業を達成できたことも挙げられる。

さらに、在来線を活用しているため、整備新幹線のように並行在来線の問題も生じず、鉄道による地域輸送にも支障がでなかったことも成功点に分類される。

沿線の住民で普通列車を使う機会が多い人によっては、新幹線よりも在来線の存続問題の方が重要な課題ともいえる。

並行在来線の第三セクター化をせずに済んだのは、言うまでもなく山形新幹線が在来線を走ることによるものだ。

失敗だった点

一方の失敗点とも言える問題点もミニ新幹線方式にしたため抱えることになった。

所要時間の短縮化はほとんどされず、在来線特急と新幹線の乗り換え時間くらいしか短くなっていない。

運転速度は在来線区間では130km/hと特急と同じスピードに抑えられている。新幹線の開業のメリットである高速化ができなかったのは事実。

所要時間は東京~山形で2時間半ほどかかる。近年は北陸新幹線の開業もあって、東京~金沢間の所要時間を同じレベルになったことで、山形県の存在感が薄くなっているとも指摘されている。

新幹線の有無では地域間競争の勝敗を決める大きな要因。相対的に取り残されるという危機感があるようだ。

さらに、冬場の降雪時には奥羽本線でダイヤの乱れが生じやすい状態になる。山間部はトンネルを掘って通過する新幹線とは違い、奥羽本線は山間を縫うようにした線形のため、大雪の悪影響を受けやすい。安定した輸送の面では劣っていて、これも失敗の根拠の1つに挙げられる。

これらの理由が、関係する地方自治体である山形県とその中の市町村が山形新幹線のフル規格化を求めている根拠となっている。

秋田新幹線

秋田新幹線のこまち

成功だった点

秋田新幹線はミニ新幹線で2番目に開業した路線である。同じような方式で、東京~盛岡間は東北新幹線、盛岡~秋田は田沢湖線(盛岡~大曲)・奥羽本線(大曲~秋田)を走る「新在直通」の列車となった。

1997年に開業した。山形新幹線というミニ新幹線の先行事例があったとはいえ、この時もまだ新幹線といえば、東北新幹線の東京~盛岡、東海道新幹線と山陽新幹線、そして旧長野新幹線(現北陸新幹線)の東京~長野しかなかった。

成功点としては山形新幹線と同じポイントになる。

東京駅をはじめとする首都圏まで列車1本で行き来できるようになったという利便性の向上の他に、早期開業を達成できたことは無視できない。

2001年のはやて号の登場で東北新幹線の最高速度は275km/hに引き上げたことで、秋田新幹線全体も若干ながら所要時間が短縮した。

さらに、在来線を活用しているため、整備新幹線のように並行在来線の問題も生じず、鉄道による地域輸送にも支障がでなかったことも成功点に分類される。

地方ローカル線である田沢湖線も大きな役割を担っていて、JR東日本の管轄下で第三セクターにはならずに済んだ。

首都圏から列車1本で行き来できるようになったため、首都圏エリアからの観光客も増えたという統計が出ている。これも成功点に該当する。

失敗だった点

一方の失敗点とも言える問題点も基本的には同じ。ミニ新幹線方式にしたため思わぬデメリットとなった。

東北新幹線では最高速度が320km/hに引き上げられたが、所要時間の短縮化はそれほどではなかった。恩恵を受けたのはフル規格の新幹線が通る青森県、そして北海道新幹線でつながった函館などである。

運転速度は在来線区間では130km/hと特急と同じスピードに抑えられている。新幹線の開業のメリットである高速化ができなかったのは事実。

所要時間は東京~山形で3時間45分ほどはかかる。東京~新青森よりも所要時間が長い。太平洋側の地域とは対照的に、秋田県の存在感が薄くなっているとも指摘されている。

東北新幹線では今後は360km/hに引き上げも検討されている。北海道新幹線の札幌延伸の際に航空機との競争に勝つためにさらなる高速化が期待されている。

このような話題がある中、ミニ新幹線の秋田新幹線の方に視点を向けると、今後の質の向上はまったく感じない。相対的な失敗とも判断できなくはない。

さらに、冬場の降雪時には田沢湖線でダイヤの乱れが生じやすい状態になる。山間部はトンネルを掘って通過する新幹線とは違い、田沢湖線も山間を縫うようにした線形のため、大雪の悪影響を受けやすい。安定した輸送の面では劣っていて、ミニ新幹線に共通する失敗の根拠の1つに挙げられる。

秋田新幹線の関係する地方自治体である秋田県もフル規格化を求めている根拠となっている。


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