回数券を発売していない主要鉄道事業者とその理由

回数券がない鉄道会社

回数券を発売していない鉄道事業者は複数ある。以前は存在していたものの、廃止された事例も結構見られる。

理由として最も多いのが、ICカードの導入に伴ってその利用促進のために取り扱いをやめたケース。

特に公営地下鉄では回数券を発売を取りやめたところがかなり多く、現在では東京都、京都市、神戸市でのみ存在する。


回数券を廃止した主な鉄道事業者

鉄道事業者 廃止年 理由
名古屋鉄道(名鉄) 2011年 manaca導入のため。以前はプリペイド式で発売。
名古屋市営地下鉄 2011年
大阪メトロ 回数カードを発売中
福岡市営地下鉄 2001年 プレミア付プリペイドカード導入のため。その後「はやかけん」導入でこれも廃止。
札幌市営地下鉄 2015年 SAPICA利用促進のため。
仙台市営地下鉄 2016年 icsca導入のため。以前はプレミア付プリペイドカード「ジョイカード」「スキップカード」。

回数券を廃止した主な鉄道事業者は上記の通り。

名鉄以外だと公営地下鉄にて回数券を廃止したケースが目立つ。

元々早い時期から従来の紙きっぷからプレミア付SFカードに移行していたところで、回数カードを廃止したという流れが多い。

名古屋鉄道(名鉄)

名鉄

名鉄では2011年より回数券の発売を廃止した。

交通系ICカード「manaca」の導入と乗車回数に応じてポイントが貯まる制度ができたことによる措置といわれている。

現在でも特別割引回数券と呼ばれる「通学用割引回数券」、「身体障害者割引回数券」、「知的障害者割引回数券 」の3つが発売されているものの、いずれも社会的な支援が目的。

一般客向けの回数券は販売されていない。

名古屋市営地下鉄

名古屋市営地下鉄

名古屋市営地下鉄でも名鉄と同じく2011年に回数カードの発売が廃止された。

それまでは「ユリカ」というプレミア付乗車カードが実質的な回数券として発売されていた。

バス・地下鉄共通ユリカ、バス昼間割引専用ユリカ、地下鉄昼間割引専用ユリカの3種類と地下鉄1区間を22回(3,800円)利用できる「地下鉄1区特別きっぷ」があったが、いずれも廃止された。

理由は同じく交通系ICカード「manaca」の導入のため。

大阪メトロ

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大阪メトロでは、前身の大阪市営地下鉄時代の1989年に回数券が磁気カード化されて回数カードへ変更された。

今日の大阪メトロでもこの回数カードは発売されている。

以前は「1区特別回数券」も発売されていたが、2014年に初乗り運賃が200年から180円へ値下げされたことで廃止された。

交通系ICカード「PiTaPa」があるものの、今のところは回数カードは継続されている。

また、北大阪急行との連絡回数券は別途発売されている。

福岡市営地下鉄

福岡市営地下鉄では2001年に回数券の発売が廃止された。

「よかネットカード」という西鉄との共通プレミア付乗車カードが導入されたため。

その後、福岡市営地下鉄独自の交通系ICカード「はやかけん」が導入されたことで、よかネットカードも2010年に廃止された。

独自のICカード「nimoca」を導入している西鉄では引き続き回数券を発売している。

札幌市営地下鉄

札幌市営地下鉄では2015年にプレミア付プリペイドカード「ジョイカード」「スキップカード」の発売が廃止された。

それまではこれらのプリペイドカードが回数券代わりとして利用され続けてきた。

理由は独自のICカード「icsca」の導入のため。類似例の公営地下鉄と同じく地下鉄・バス利用でポイントが貯まる制度が付いていることが背景にある。

いずれも理由そのものは同じ。

仙台市営地下鉄

仙台市営地下鉄では2016年に回数券の発売が廃止された。

独自のICカード「SAPICA」が導入されたためとされている。

地下鉄やバス・市電で利用するとポイントが貯まる制度が付いていることが背景にある。

札幌市営地下鉄や福岡市営地下鉄、名古屋市営地下鉄と同じルートをたどる形になったと読み取れる。

ICカードがあっても回数券を発売継続する例

回数券を継続する鉄道会社

一方で独自の交通系ICカードを持っていながらも回数券を発売し続けている鉄道事業者もかなり多い。

特に首都圏と関西圏ではほとんどが回数券を取り扱っている。

多くに当てはまることととして、ICカードの運営元が外部の団体のところが多い。

首都圏だと、私鉄・地下鉄の「PASMO」は株式会社パスモという会社が運営している。鉄道事業者が複数加盟する企業だが、特定の鉄道事業者に属した団体ではない。

関西でも、私鉄・地下鉄の「PiTaPa」はスルッとKANSAI協議会という団体が運営している。同じように複数の鉄道事業者が加盟する団体だが、特定の鉄道事業者の子会社とかではない。

このようにして、鉄道事業者が単独で交通系ICカードを取り扱っていないところでは回数券を引き続き発売しているところが主流。

その他、回数券に関する各種のルール

主な項目 内容
購入・発売 時差回数券の取扱有無土日回数券の取扱有無回数券がない(廃止)鉄道会社
利用上の注意点、禁止事項 複数人での使用定期券との併用
運賃・料金 乗り越し精算の鉄道事業者ごとの計算式有効期間
新幹線回数券(トクトクきっぷ) 乗り越し精算の計算式変更の可否と条件払い戻し

上記の記事にて回数券に関する条件や注意点について解説。在来線と新幹線では事情が異なり、さらに鉄道事業者でも取り扱い条件が大幅に違う。