新幹線で遅延が生じる原因とは何か。よくあるパターン、在来線との違いについて交えながら解説。
一般的な通勤電車と同じく、「遅延」という括りの中でも、その規模は様々である。
2つに分けると「小規模な遅延」と「大規模な遅延」に分離される。前者は10分未満、後者は30分以上の遅れが生じるもの。
目次
各新幹線の遅延事情
全国の新幹線でも、遅延の多さや主要要因は路線ごとでやや異なる。
詳しい事情は上記にて解説。
小規模な遅延(10分未満の遅れ)
新幹線にて10分未満の遅延が起こる主な理由は下記の5つ。
主な原因 | 具体例 |
---|---|
乗車時間の超過 | 混雑(特に自由席) |
急病人 | 体調不良で救急搬送が必要な乗客の発生 |
ドアの再開閉 | 駆け込み乗車、荷物の挟まり |
線路への落とし物 | 線路への荷物落下事故 |
鉄道職員 | 体調不良、遅刻 |
2,3分程度の遅延がよく見かけるが、それらの理由は上記の表に該当する。
どうしても避けられない原因とは、急病人の発生と車両の故障くらいだろう。
それ以外は当事者(ほとんど乗客自身)の努力次第で解決できる内容といえる。
混雑による乗車時間の延長
過半数は乗車時間の超過、つまり停車時間が長引くことによる遅れによるもの。
新幹線では特に年末年始・GW・お盆のような大型連休、さらには祝日と連続する三連休のような時期で混雑。
自由席の乗車率が100%超になる場合は、確実に乗降には時間がかかる。
在来線の場合は空いている車両からの乗車を促すアナウンスがよく聞かれるが、新幹線の場合だと自由席の車両は限られているため、そういうわけにはいかない。
急病人の救護
新幹線の場合だと、長距離を移動する人が多いことにより、途中にて気分が悪くなってしまう例もよくある。
在来線普通列車とは違って、普段はあまり乗らないという人も多いことも影響している。
そして緊急を要するほどの急病人が発生すると、車掌による急病人の対応、途中駅にて臨時停車するといった対応が必要になる。
これによってロスタイムが出てしまうことから、全線にて遅延が及ぶ。
急病人と聞くと高齢者層をイメージする人も多いようだが、若年層の人でも救護が必要になるほどの体調不良を訴える人もいる。
線路への落とし物
線路に持ち物を誤って落としてしまう人もいる。
線路から拾い上げるには駅員の対応が必要になる。列車の緊急停車等が重なると5~10分程度の遅延が生じる。
乗客数が多くなる年始・GW・お盆のような大型連休でよくある。子供の利用が増えることも影響。
大規模な遅延(30分以上の遅れ)
主な原因 | 具体例 |
---|---|
自殺 | 旅客案内上は「人身事故」 |
車両故障 | 車両の計器故障、異音等 |
自然災害・天候不順 | 地震、強風、大雨、大雪など |
施設等の故障 | 信号、ポイントなどの故障 |
大規模な遅延とは、もはや遅れというよりも完全に「運転見合わせ」に該当する。
鉄道運行情報やニュースにて「〇〇線は運転見合わせ」という表現がされることがあるが、これは大規模な遅延に該当する。
小規模な遅延なら単に「〇分遅れ」と駅の発車標に表示される程度で済む。報道機関で公表されるほどのレベルではない。
飛び込み自殺
在来線の場合だと大規模な遅延が起こる要因になりやすいのが飛び込み自殺。
新幹線は在来線よりも自殺の頻度は少ないものの、決してゼロではない。
高速で走る列車にひかれることで自殺を図る行為が一度発生すると、数時間は電車の運転再開までかかる。
自殺という人為的な行為でも本当の不慮の事故でも、駅構内での旅客案内では「人身事故」と表現される。
参照:鉄道の人身事故=自殺の割合は何%に!? 本当の「事故」は少ない?
線路設備の故障
線路設備の不良・故障も大規模な遅延につながる。
- 信号システムの故障
- 線路の分岐器(ポイント)の故障
- 架線支障=飛来物の接触、架線切断、ショート
- 電気系統トラブル=変電設備のトラブル等
いずれも一旦発生すると一時的に運転見合わせになってしまう事案。
復旧までの時間は数分で終わることはほとんどない。
復旧作業を必要とする内容のため、数時間は運転再開できない大規模な遅延に発展。
保守管理で改善する例もあるが、どうしても避けられない場合もある。
新幹線は1つの路線の距離が長いため、これらのトラブルが起こりやすい。
車両故障
鉄道の車両が故障して運転不能になるのもまた、大規模な遅延が生じる原因になる。
異音を検知したため、車両交換を行う場合もある。
それでも乗客の乗り換えなどを必要とするため、最低でも30分以上の遅れは必須。
自然災害・天候不順
鉄道にて大規模な遅延が生じる原因の1つが自然災害や天候不順によるもの。
新幹線は在来線と比較しても高速運転を行うという性質上、さらに影響を受けやすい。
以下のような事例がよくあるもの。
- 地震
- 強風
- 大雨・大雪
- 落雷
これらは鉄道事業者、あるいは乗客には何の非もない事例。
地震は被害が特に深刻
社会全般に言えることだが、地震による運転見合わせは特に深刻。
線路の高架やトンネルにひびが入ることなどが起これば、数日間から数か月間は鉄道が運休になることがある。
阪神淡路大震災や東日本大震災が代表的な例。社会の機能そのものが麻痺している状態では、鉄道も平常運行はほぼ不可能と考えてよい。
悪天候
強風、大雨・大雪、落雷による災害は数時間の運転見合わせで収まることがほとんど。
程度が小さい天候不順で収まれば、通常より速度を落とした徐行運転で収まることもある。
ただし、土砂崩れや盛り土流出、架線切断、電柱倒壊などの副災害が生じると、数日間にわたって運休が続くこともある。