湘南新宿ラインの停車駅は、並行する他の電車の路線と比べて止まる駅が少なく、所要時間が短い傾向にあることから、需要がある鉄道路線の1つであることは間違いない。しかし、利用者としてはかなり気になる問題がある。
それは、本数が他の路線よりも圧倒的に少ないという点である。日中の湘南新宿ラインにおいては、1時間あたりすべての運転系統を合わせても4本となっている。毎時5、6本近く走っている近郊路線よりも少ない状態となっている。
首都圏北部、あるいは神奈川県南部から新宿や渋谷、池袋といった東京の副都心と呼ばれる場所に移動する人の数は決して少なくなく、むしろ需要が大きいといえる。それにもかかわらず、湘南新宿ラインの本数は少ない傾向にある。
どうして、需要が十分にあるのに運行本数が他の路線よりも少ないのか。その理由は、電車が走る線路の容量に存在する。
線路容量が限界!
湘南新宿ラインの場合、他の路線と違って専用の線路を走るわけではない。電車が走る線路は東北貨物線や山手貨物線、品鶴線という名前の路線を走って各方面から副都心へとつながっている。
しかし、これらの線路を走る電車の種類が複数ある。特に山手貨物線に関しては、大宮~大崎を結ぶ埼京線も走っている。埼京線の需要は通勤路線としてとても多いことから、電車の運行は5~10分間隔で走っている。
単線区間となっている川越線とは違って複線になっているとはいえ、これだけの運行ダイヤになると、やや過密になっているといえ、線路の要領にそれ以上の余裕は決して多くはない。簡単には列車の運行本数は追加できないことは確かだ。
山手貨物線の線路には、これらの電車に加えて湘南新宿ラインの列車も行き来する。
ダイヤが既に過密の傾向にある埼京線に加えてさらなる列車が走ることを強要されていることから、もうこれ以上は線路容量に空きがないのである。
別の路線の電車と同一の線路を共有する仕組みになっていることが、需要が多い湘南新宿ラインであっても、運行本数を増やすことができない理由となっているというわけだ。
本数が少ない状況による不便性があるのは事実であるが、それは決して意図的なものではないのである。
参照:埼京線の混雑の時間帯とは!? 通勤ラッシュのピークと乗車率を調査