【丸ノ内線】なぜワンマン運転している? 車掌がいない理由がある!

丸ノ内線ホームドア

東京メトロ丸ノ内線では全線でワンマン運転を実施している。乗務しているのは運転士のみであり車掌がいない。どうして従来のやり方とは違った運行を行っているのか、その理由を考えてみよう。

都市部の鉄道では地下鉄を含めて長年ツーマンによる運行を行ってきた。先頭の運転士は電車の操縦する役割を果たしている。最後尾に乗っている車掌はドアの開け閉め、運転士への発車合図の送信、ホーム上の安全確認の任務を行っている。

「ワンマン」は地方の1~2両編成の路線でしか実施されないものであった。田舎にしかないものであって都会とは無縁の存在であった。

しかし、近年は都市部の鉄道会社でもワンマン運転を行うようになりつつある。

なぜかというと、ワンマン運転には鉄道事業者にとってメリットがあるからだ。


ワンマン運転する都合が良い理由とは?

  • 人件費削減
  • 人手不足の解消

一番大きな理由は人件費の削減である。車掌が乗務すると、1つの列車の運行に2人分の人件費が発生する。

ワンマンにすることで運転士1人だけが乗務することになるため、人件費は1人分のコストで済む。経費を半分に抑えられることは鉄道会社にとってはかなり大きい。

コストを安く抑えることができれば、その分利益率が高まる。従来の方法では運賃を上げることくらいしか手段はないが、ワンマン運転に切り替えれば運賃をそのままの値段にしても鉄道事業による利益が上がるというわけだ。

もう1つのメリットとしては、人手不足の解消である。

少子高齢化が進む中で列車を動かす人でが十分かというと必ずしもそうとは限らない。正常な運行に必要な人員の数が増えればそれだけ多くの人手を確保しなければならない。これが簡単かというと、そうとは言えない。

また、遅延が発生した時には、本来は退社時刻になっている職員も残業せざるを得ない状態になるケースが多い。しかし、必要な人数が減れば定時退勤できる職員が増える。

なぜ丸ノ内線なのか?

ところで、まだワンマン化が進んでいない路線は多い。ホームドアの設置が未実施の路線がそれに当てはまる。一方、丸ノ内線ではすでにすべての駅にホームドアの設置が完了していてワンマン化も行われている。

なぜ丸ノ内線ではそれが迅速に進んだのか。その理由として、丸ノ内線ならではの特徴が挙げられる。

東京メトロの地下鉄の多くは山手線の外側に延びる私鉄と相互直通運転を行っている。そうした路線では、他社の車両も地下鉄に乗り入れているが、複数の鉄道会社の異なる規格の車両が走っているということで、ドアの位置や数が違っているケースが多い。

また、統一の設備を導入しようとしても、その設備を車両に搭載するには時間がかかる。事業者間の合意のみならず、車両数も多いこともあって整備には長い時間を要する。

しかし、丸ノ内線は東京メトロ自社線内だけを走っていて直通運転はまったく行われていない。そのため、ホームドアやワンマン運転のための設備を導入するのがとても簡単であった。

計画がスムーズに実行できる環境であるため、東京メトロ丸ノ内線ではワンマン運転の実施が早い段階で始められたというわけである。