私鉄にはJR各社(旅客鉄道株式会社)のような学割が存在しないのか。中学生から高校生、大学生は長距離を電車を使って移動する場合には学校で証明書を発行してもらって割引制度を使う人が多いだろう。
JRで学割の対象となるのは、片道100kmを超える距離の乗車券である。通常の大人料金から20%安くなる。お小遣いが唯一の収入源であり資金的にまったく余裕がない人が大多数の学生にとっては、この割引制度はかなりありがたい存在といえる。
山手線のような首都圏や関西圏、中京圏にて広い範囲に電車が走っている通勤型電車のみならず、地方の田舎までにも鉄道網が広がるJRは、長距離を移動する際の交通手段としてもかなりの人々から使われている。
特定の地域に限定されないのがJRという鉄道事業者ならではの特徴である。
長距離を走る私鉄にはある!
学割という制度がある鉄道会社は、JR以外では東武鉄道・名古屋鉄道・近畿日本鉄道(近鉄)・南海電鉄・青い森鉄道である。
学割の対象となるのはJRと同じく片道100kmを超える利用の場合である。100km未満の運賃については通常の大人料金となる。
この制度がある私鉄の特徴としては、路線の距離が長い点がポイントだ。東武鉄道は首都圏で最も営業キロ数が長い。近鉄はJR各社を除くと日本一営業キロ数が長い鉄道会社である。
大都会のターミナル駅から遠い郊外まで線路が伸びているのもまた学割がある私鉄ならではの特徴といえる。例えば、東武鉄道は浅草や北千住などの都内の大きな駅から栃木県や群馬県の田舎まで走る。近鉄は大阪と名古屋を結ぶほどの長い距離を走る。
なお、学割の対象となるのは乗車券のみである。特急券については割引とならない。企画乗車券もまた対象外である。この点もまたJR各社と同じである。
都市型の私鉄は学割なし!
一方、完全な都市型の私鉄においては学割制度はない。都心部から郊外へ20、30km程度しか走らない鉄道会社についてはそもそも片道100km以上移動することが物理的に不可能である。
こうした私鉄を利用するとしたら、ほとんど数十キロ程度を移動するために電車に乗るという程度である。沿線の自宅から都心部まで移動するための鉄道という性質を持つ。
全国の私鉄各社を見ると、ほとんどはこうした都市型の鉄道路線となっているケースとなっている。遠い郊外まで線路が延びる路線はかなり限られる。東武や近鉄、名鉄はあくまでも例外的な存在と受け止められる。
当然ながら、これらの私鉄各社においては片道100km以上の学生の乗客への割引制度も存在しない。