JR嵯峨野線(山陰本線・京都口)の本数が少ない。快速と各駅停車を合わせても1時間当たり4~5本しか運転されていない。
朝夕の通勤ラッシュだけでなく、昼間も観光客が多くて混み合っている。京都駅から嵯峨嵐山駅にかけては乗車率が高い。
>>JR嵯峨野線の混雑状況とは!? 時間帯・区間ごとに調査!
1日を通して需要が大きいが、本数は都会並みとは言えないという意見も多い。
なぜこのようにもっと増発しないのか。その理由を今回は考察してみた。
本数の内訳
種別 | 京都~園部の毎時本数 |
特急 | 1本 |
快速 | 1本 |
普通 | 4本
(京都~嵯峨嵐山:1本、京都~亀岡:2本) |
嵯峨野線で運転されている列車の内訳は、日中のダイヤでは上のようになる。
特急と快速が毎時1本ずつ、各駅停車は毎時4本というのが基本形である。ただし、各停の場合は1本が嵯峨嵐山駅まで、2本が亀岡駅までの区間運転となっている。
追加運賃が不要で乗車券のみで乗れる電車は1時間5本という形なのがわかる。大都会では、最低でも毎時6本は運転されているところがほとんど。
京都市営地下鉄でも烏丸線・東西線ともに1時間当たり1時間当たり8本運転されている。
>>【京都地下鉄】烏丸線の混雑状況を時間帯・区間ごとに調査!
JR西日本の路線でも、東海道山陽本線や阪和線、宝塚線なども毎時8本は最低でもある。それと比べると嵯峨野線の本数は少ないと判断できる。
嵯峨野線の本数が少ない理由はこれ
嵯峨野線はかつてはさらに本数が少なかった。2015年のダイヤ改正までは日中の快速と各停の合計本数は毎時4本だった。
しかも以前はさらに増発が困難な事情があった。それが単線区間の存在である。
嵯峨野線に当たる山陰本線の京都~園部が複線化されたのは2008~2010年の時期である。それまでは全線が単線だった。
<嵯峨野線の複線化完成の歴史>
- 京都~丹波口:2009年07月20日
- 丹波口~二条:2010年01月31日
- 二条~(円町)~花園:2000年09月23日
- 花園~(太秦)~嵯峨嵐山:2010年03月07日
- 嵯峨嵐山~(保津峡)~馬堀:1989年03月05日
- 馬堀~亀岡:2008年12月14日
- 亀岡~並河:2009年11月01日
- 並河~(千代川)~八木:2009年09月06日
- 八木~(吉富)~園部:2009年03月14日
乗客数が多い京都~嵯峨嵐山間でさえ単線だった。上下線の電車が一度に走行できない構造だったため、毎時4本が限界だった。
そんなかつての線路容量に達していたダイヤの影響は現在でも残る。輸送力に乏しかったため、嵯峨野線の本数が多くなくても十分という見方が大きくなりやすい。
京都駅構内は単線
しかも未だに単線のままとなっている部分が存在する。それが京都駅構内の東海道本線と並行して走る部分である。
ここは複線化できる用地がないことから、今も単線となっている。増発が難しい原因ともなっている。
出発列車と到着列車が同時に京都駅を出入りできない。5分間隔以下の高密度運転はできない構造になっている。
しかお京都駅構内の複線化の見通しはまったく立っていない。恒久的に今の状態が維持される可能性が大きい。
混雑は車両ごとに偏り
嵯峨野線は日中でもかなりの混雑になる。京都市は観光地であり、鉄道の玄関口であるJR京都駅と嵐山を結ぶアクセス線という性質が大きい。
観光客で混雑する電車だが、車両ごとに乗車率の偏りがみられる。京都側の1号車が最も混み、4~6号車は空いている。
1号車は京都駅にて改札に最も近い車両であるため、乗客が多く殺到する。一方の4号車や6号車はホームの構造のため改札から遠くなる。
嵯峨野線の利用者層を見ると観光客、つまり普段は利用せずに初めて乗るという人が大半になる。そんな事情から、車両によって偏りがみられる。
混雑がより激しくなる理由ともなっている。増発以外にも対策の方法がないとも言えない。