JRきっぷの種類ごと「学割」の条件と適用の有無を解説。
普通乗車券にて片道101km以上の乗車区間で2割引きで適用される。
特急券、グリーン券、寝台券は距離に関係なく対象外。学割があるのはあくまでも移動に対する切符である乗車券のみ。
目次
きっぷ各種の学割の適用条件
きっぷの種類 | 割引率 | 条件と注意点 |
---|---|---|
乗車券 | 20%引 | 101km以上のみ適用。学生割引証(専用の用紙)が必須。 100km以下は対象外。 |
自由席特急券 | 適用なし | 乗車券以外のきっぷには「学割」は一切ない。 |
特定特急券 | ||
自由席グリーン券(在来線) | ||
急行券 | ||
回数券(回数乗車券) | ||
定期券 | ||
指定席特急券 | ||
指定席グリーン券 | ||
寝台券 | ||
指定席券(快速など) | ||
立席特急券 | ||
※新幹線・在来線特急などで乗車券+特急券をセットで購入した場合でも、乗車券のみ割引の対象に。 ※学生割引証(専用の用紙)がない場合は購入不可。 ※中学生・高校生・大学生すべて共通(2割引)。 |
JRのきっぷ各種の学割の対象と条件をまとめると、以下のようになる。
学割の対象と条件
- 対象きっぷ:乗車券
- 適用条件:片道101km以上
- 割引率:往路・復路ともに1割引き
- 必要なもの:学生割引証、学生証(両方必須)
学割を使用するためにはみどりの窓口で購入する必要がある。
駅の自動券売機では学割を適用した乗車券を購入することができない。
また、「学校学生生徒旅客運賃割引証」と呼ばれる専用の用紙が必要。これは学校にて発行してもらう必要がある。
これは、中学生・高校生・大学生いずれも同じ。
乗車券
学割の適用基準
- 片道101km以上…学割を適用可
- 片道100kmまで…適用無し
JRの乗車券では片道当たりの移動距離が101km以上の場合だと「学割」を使用した乗車券が購入可能。
逆に片道100kmまでの営業キロ数だと学割は使用できない。
この場合だとふつうの定価の乗車券でしか乗ることができない。
なお、学割を使用する場合はSuicaやPASMOといった交通系ICカードで乗ることはできない。
必ず磁気きっぷで乗車券を購入して電車に乗る必要がある。
なお、JRの乗車券では101km以上かどうかが1つの基準になる「途中下車」の制度があり、途中下車は大都市近郊区間のみの利用では距離に関係なくできない。
学割ではこのような大都市近郊区間の制約はない。どんな地域であっても、片道当たり101km以上の区間を乗車するなら学割を使用することができる。
往復割引+学割はダブルで割引に
学割+往復割引の基準
- 片道601km以上…往復割引と学割の併用が可能(割引率:28%〔二重割引〕)
- 片道101~600kmまで…学割のみ適用可(割引率:20%)
- 片道当たり100kmまで…割引なし
※往復割引(1割引)が適用されるのは学割の有無を問わず片道601km以上。
往復乗車券の場合でも学割は使用可能。
さらに、片道601km以上の距離になる場合、かつ往復乗車券で購入すると、「行き」「帰り」のいずれも学割に加えて往復割引も適用される。
定価の運賃から1割引き、2割引きが合算されて28%引きになる。
例えば、東京~岡山(733km)の片道の乗車券の料金は16,600円。
単純な往復運賃は33,200円だが、学割(20%引き)と往復割引(10%引き)になることで23,910円になる。
復路だけでなく往路も28%引きの対象になり、片方だけというわけではない。
ただし、乗車券にて往復割引を適用させるためには「行き」「帰り」を同時に購入する必要がある。
バラバラで購入すると往復割引の対象にはならず、それぞれ定価の料金がかかってしまう。
特急券、グリーン券、寝台券は対象外
往復割引の対象外のきっぷ
- 自由席特急券
- 指定席特急券
- グリーン車指定券
- 寝台券
※乗車券+特急券のセット切符…乗車券部分のみ学割が適用可
参考:なぜ特急券は学割が使えないのか!? 乗車券だけ2割引には理由がある
一方の特急券、グリーン券、寝台券では2割日になる「学割」は一切適用されない。
特急券には自由席特急券、指定席特急券があるが、対象外という点ではどちらも同じ。グリーン車も当然同じ。
片道101km以上の道のりがあっても、これらの種類では定価で割引はない。
新幹線・在来線特急では乗車券と特急券などをセットで購入する形になるが、片道101km以上でも学割の対象になるのは乗車券の部分のみ。
きっぷが1枚でも2枚の場合でもこの点では変わりない。
よく新幹線に乗る学生で、「学割を使用すると新幹線の運賃から20%割引になる」と思い込んでいる人がいるが、これは誤り。
正しくは「乗車券のみ20%引きになるが、特急券は定価のまま」という形になる。
主な注意点
学校学生生徒旅客運賃割引証にはいくつかの注意点がある。
特に以下の2点は要注意点。
- 学校が発行する「学校学生生徒旅客運賃割引証」が必要なこと
- 購入できる場所のこと
いずれもよく理解していない人は一定数いる内容ではある。
学生割引証は100%必須(学生証だけではNG)
JRの乗車券にて学割を適用させるためには必ず「学校学生生徒旅客運賃割引証」と呼ばれる専用の用紙が必要。
自分が所属する学校でしか入手できない。
中学生・高校生・大学生のいずれも自分が所属する学校(主に事務職が担当)にて学割証を発行してもらう必要がある。
学生証だけでは購入できない。これはあくまでも身分証明書に過ぎない。
ただ、学割証に加えて窓口では学生証を提示するように求められるため、学生証を携行しておく必要がある。
また、車内での検札の際に学生証を提示するように乗務員から求められる可能性もある。
乗車券にも「証明書を携帯して下さい」と記載されている。ここで言う証明書とは学生証のことを指す。
みどりの窓口がない駅
JR線でも切符を窓口で購入できる「みどりの窓口」がない駅も存在する。
そんな場合は駅員がいる改札にて購入するという形になる。
駅改札口に駅員がいる駅では学割証を提出することで学割乗車券の購入ができることが多い。
基本的に学割乗車券は乗車後の車内・途中駅など一度改札入場後には買えないことになっている。
ただし、遠距離切符の発券業務を行っていない駅も中小規模の駅を中心にある。
この場合は、駅係員に申し出る必要がある。多くの場合は、近隣の駅までの乗車券を一旦購入して、みどりの窓口のある駅にて一旦下車して学割乗車券を購入するという形になる。
ただ、みどりの窓口がそもそも開いていない時間帯もあり、学割で購入できない時間帯がある。そんな時は残念ながら学割が使えない。
自動券売機で定価の乗車券を購入するしかない。
なお、みどりの窓口だけでなく、JTB、HIS、日本旅行、JR東海ツアーズなどのJRきっぷを取り扱う旅行会社の窓口でも学割を利用することができる。
購入方法はみどりの窓口と同じ。学生割引証を提出して購入する。
目的に制限がある
JR乗車券の学割の制度には目的上の制限がある。遊びなどでは使用禁止とされている。
JRの旅客営業規則ではなく、文部科学省の方針で決められている。
「学生・生徒個人の自由な権利として使用することを前提としたものではなく、修学上の経済的負担を軽減し、学校教育の振興に寄与することを目的として実施されている制度」と文部科学省のホームページに記載。
- 休暇、所用による帰省
- 実験実習などの正課の教育活動
- 学校が認めた特別教育活動または体育・文化に関する正課外の教育活動
- 就職または進学のための受験等
- 学校が修学上適当と認めた見学または行事への参加
- 傷病の治療その他修学上支障となる問題の処理
- 保護者の旅行への随行
これら以外の目的で学割を使用することはNGのようだ。
ただし、実際には少なくともJRから目的を問われることはない。あくまでも学校側が学割証を発行する際に問うか問わないかに限られる。
学校側はOKを出して割引証を発行すれば、その時点で利用可能なのは確か。
有効期間
学割が適用された乗車券の有効期間は大人普通運賃の場合ものと全く同じ。
>>【早見表】JRの乗車券の有効期間とは!? 条件ごとに一覧化
学割の条件は片道の営業キロ数が101km以上であることだが、大都市近郊区間のみの利用だと乗車券の有効期間は発売日の当日のみ。
大都市近郊区間以外の範囲を含む場合は2日間またはそれ以上。200kmごとに+1日増えていく。
途中下車
途中下車に関しても、学割の適用有無を問わず同じ。
片道の距離が101km以上であれば途中下車が可能。
しかし、大都市近郊区間のみの利用は例外的に不可能。
大都市近郊区間のみの利用でも片道101km以上なら学割は利用できるが、途中下車はできない形。