JR線の乗車券の途中下車の可否について、条件ごとのOK/NGを一覧にした。
結論を言うと、片道の距離が101km以上であれば追加料金なしで途中下車が可能。
ただし、大都市近郊区間のみの利用では不可能。さらに、出発地または到着地のいずれかが「東京都区内」やその他「〇〇市内」だとそのエリアは途中下車が不可。
目次
条件ごとの途中下車の可否
乗車券の条件 | 途中下車の可否(OK/NG) |
---|---|
片道101km以上 かつ 大都市近郊区間外を含む | 〇 |
片道100km以下 | × |
片道101km以上だが大都市近郊区間のみの利用 | × |
※普通乗車券(大人・小人)のみ対象。 ※割引乗車券、回数券は対象外。 ※都区内・市内記載時は、これらの地域での途中下車は不可。 |
「途中下車」とは、乗車券の券面に表示された発着区間内の途中駅で前途区間が有効のまま下車して出場する(改札の外に出る)ことを指す。つまり、出発地から目的地までの途中の第三の駅で電車を降りて改札外に出ることを意味する。
乗車券の各条件ごとの途中下車の可否を表にすると、上記のようになる。
乗車区間が「営業キロ数で片道101km以上」かつ「大都市近郊区間でない区間を含んでいる」場合に限って途中下車が認められている。
また、乗車券の出発地・到着地のいずれかが都区内・市内となっている場合、それに該当する地域では途中下車はできない。該当するエリア内の最初に改札外へ出た駅で回収される。「東京都区内」「大阪市内」などがこれに該当。
主な事例
<乗車券の途中下車のできる/できない具体例>
①東京→函南:片道距離=114km、大都市近郊区間外含む…途中下車OK
②静岡→浜松:片道距離=77km、大都市近郊区間外含む…途中下車NG
③東京→熱海:片道距離=104km、全区間大都市近郊区間…途中下車NG
④東京都区内→大阪市内:東京都区内の全駅と大阪市内の全駅以外は途中下車OK
片道101km以上、大都市近郊区間外を含む
東海道線を例にすると、東京→函南(東海道線の熱海駅の1駅先)の営業キロ数は114km。
この場合は片道101km以上という条件を満たす。
さらに、東海道線の大都市近郊区間である「東京近郊区間」は熱海駅まで。函南駅はそのエリア外に当たるため、大都市近郊区間の外を含む。
したがって、途中下車が可能。横浜駅や小田原駅などで一旦改札の外に出ても乗車券は回収されない。
東京→函南の乗車券で横浜駅・小田原駅などで改札外へ出られる。東京→横浜、横浜→函南のように分割する必要がない。
片道100km以下(大都市近郊区間の外)
静岡→浜松の営業キロ数は76.9km。完全に片道100km以下である。
静岡~浜松間は大都市近郊区間の領域をまったく含まない。
しかし、片道100km以下のため途中下車が可能な乗車券の条件を満たない。
よって、この場合は途中下車ができない。
仮に途中の菊川駅で降りるとなると、静岡→菊川、菊川→浜松の2区間の乗車券が必要になる。
片道101km以上だが大都市近郊区間のみ利用
東京→熱海は営業キロ数が104km。
片道101km以上という項目は満たしている。
一方で、東京~熱海間は全区間「東京近郊区間」に入る。
よって、途中下車はできない。横浜駅で一旦降りたいなら、東京→横浜、横浜→熱海の2区間の乗車券が必要。
都区内・市内
乗車券の券面に「〇〇市内・都区内」と記載されている場合、これらのエリアに立地する全駅での途中下車はできない。
出発地・目的地の同一市内(東京は23区内)では出場すると乗車券が回収される。
例えば、東京都区内→大阪市内の場合、東京駅から乗車し、大阪駅で途中下車して、最終的に天王寺駅まで行くという手段は不可能。
東京都区内→大阪市内+大阪→天王寺の2区間の乗車券を購入する必要がある。
また、新宿駅から乗車し、東京駅で途中下車して、最終的に大阪駅に行くという手段も不可能。
新宿→東京+東京都区内→大阪市内という2区間の乗車券が必要になる。
ただし、東京駅にて有人改札にて新宿→東京の区間分の料金を支払えば改札外には出られる。
間違っても自動改札機には通してはいけない。回収されてしまう。
特急券とセットの乗車券
新幹線や在来線特急を利用する場合のきっぷは「乗車券+特急券」という仕組みにはなっているものの、同時に購入すると1枚のきっぷにセットで収まっている。
特急券は距離や大都市近郊区間の有無に関係なく途中下車は一切不可能。
一方の乗車券は距離や大都市近郊区間の条件では途中下車ができる。
ここで、途中下車ができない特急券+途中下車ができる乗車券を持っている場合は以下のようになる。
特急券+乗車券が1枚にまとまった切符で途中下車すると?
特急券:途中下車すると特急券の部分が無効に
乗車券:引き続き有効
※特急券部分は自由席・指定席関係なく無効に
特急券では途中下車になるため、実際問題としては新幹線または在来線特急を利用する区間での途中下車はしない方向で計画を立てるのが当たり前。
乗車券での途中下車はあくまでも普通列車または快速しか乗らない区間と考えてよい。
普通乗車券以外の「乗車券」
普通乗車券以外の「乗車券」の可否
- 割引乗車券:不可が多い
- 回数券:不可
- 乗り放題きっぷ:可能(乗り降り自由)
- 定期券:有効期間内かつ定期利用区間内なら可能(乗り降り自由)
「乗車券」でも途中下車が認められているのは普通乗車券のみ。
回数券は絶対NG、企画乗車券はNG多数
トクトクきっぷなどの企画乗車券は途中下車ができないタイプがほとんど。
基本的に割引のある切符では途中下車はできないと捉えるのが安全。
回数券に関しては一切途中下車ができない。途中駅にて改札内から出場すると回収されてしまう。
定期券、乗り放題きっぷはOK
一方、乗り放題きっぷの企画乗車券は途中下車が完全に可能になる。
青春18きっぷ、東京フリーきっぷなどが具体的な例に当たる。
定期券は、定期利用区間内であれば間の駅を乗り降りすることができる。
定期区間の自宅最寄駅、職場・学校の最寄駅だけでなく、その間にある駅を乗り降りも有効期間内なら自由である。
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主な項目 | 記事 |
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JRきっぷ全般 | 各種きっぷの払い戻し手数料、変更/払い戻しのルールと条件、有効期間、途中下車の可否、乗り越し精算 |
乗車券 | 日付変更の可否、区間変更の可否、有効期間、途中下車の可否、往復割引 |
自由席特急券 | 有効期間、自由席特急券の変更可否(日付/区間)、指定列車について、途中下車の取り扱い |
指定席特急券 | 指定席特急券の変更可否(日付/発車時刻/区間)、乗り遅れ時の措置 |
座席変更 | 乗車後の座席変更の可否(総合編)、自由席→指定席、指定席→自由席、指定席→自由席、グリーン車→普通車(指定席・自由席) |
定期券 | 払い戻しの条件と手数料、区間変更の注意点、1日の上限、使い回しでバレる件、通勤以外の使用、通学(学校)以外の使用 |
学割 | 学割の適用条件、必要なものと注意点、使用目的の制限、私鉄の学割、特急券の事情 |
みどりの窓口 | みどりの窓口とは?、混雑状況 |