通学定期券を「通学」以外で購入したり、使用することの可否について一覧化。各事例ごとに取り上げる。
本来であれば学校と自宅それぞれの最寄り駅を行き来するための定期券である。
結論を言うと、購入時は完全に通学目的でしか買えない。学校が発行する証明書も必要で、学生証だけではそもそも購入はできない。
一方の使用に関しては特に条件はない。建前上はあくまでも通学だが、実際には遊びなどの娯楽、あるいは部活・サークルのためでも問題ない。
目次
購入は完全に100%「通学」目的のみ
主な目的 | 通学定期券の購入可否 | 補足 |
---|---|---|
通学(正規の授業) | ○ | |
部活・サークル | × | 課外活動に該当するため「通学」には当たらず。 |
課外授業 | △ | 本来は不可だが、正規の授業として認識されることも。 |
塾・予備校 | × | 正規の授業ではない。ただし浪人生で予備校生は可。 |
アルバイト | × | 就労で学校とは無関係。 |
就職活動 | × | 就労のための活動で学校とは無関係。 |
遊び(娯楽) | × | 学校とは無関係。 |
通学定期券の購入の時点では、目的は完全に100%「通学」を目的とした場合のみ買える。
各項目の通学定期券の購入の可否は上記の通り。
自分自身が通う学校にて「卒業するために出席しなければならない授業に参加するため」の場合に限って買える。
磁気きっぷタイプの通学定期券でも、Suica・PASMOなどの交通系ICカードの定期券のいずれも同じ。「通勤定期券」とは違って色々と制約があるのは確か。
参考:通勤定期券の「通勤」以外での購入・使用可否! 事例ごとに解説
通学証明書が必須
自宅と学校の最寄り駅間の区間でしか買えず、しかも購入には学校の発行する「通学証明書」または「通学定期券購入兼用証明書」(学生証と兼用のもの)が必要になる。
新規購入では必要。継続購入においても、学年が変わる4月をまたぐ場合はこれらを提出することが必要。
通学証明書などは駅では発行できず、必ず自分自身が所属する学校が発行する決まり。
中学校、高校、大学、専門学校、予備校のいずれも所属学校が証明書を出し、これを駅の窓口にて提出することで初めて通学定期券が購入できる。
正規の授業のみが対象
通学定期券が購入できるのは、正規の授業に参加するための「通学」とされている。
以下の目的は「通学」には該当しないため購入は不可。
- 部活・サークル
- 塾・予備校
- アルバイト
- 就職活動
いずれも「卒業するために出席しなければならない授業に参加するため」のものではないため、通学定期券が買えない。
部活動やサークル活動などの「課外活動」では通学には該当しない。
学校側もこれら目的のための通学証明書は一切行っていない。これは全国のすべての中学校、高校、大学、専門学校、予備校に該当。公立・私立の区別もない。
よくあるのが、大学生で複数のキャンパスがあるところで通常の授業と部活・サークル等のキャンパスの所在地が違う場合に通学定期券を購入しようとする例。
残念ながらキャンパスが複数ある大学でも、通学定期券が買えるのは正規の授業を行うキャンパスと自宅間の区間のみ。
部活・サークル目的で別の区間の定期券は「通勤定期券」を購入するしかない。
遊びなどの娯楽目的は論外
遊びなどの娯楽目的のために通学定期券を購入するのは不可能。
そもそも購入可能な区間は学校の所在地の最寄り駅と自宅の住所の最寄り駅の間の区間だけで、これは通学証明書に記載されている住所でわかる。
通学とは無関係の駅名を記入するとすぐにばれてしまう。
よって、遊び目的のために通学定期券を買うのはできない。
使用は実質的に制限なし
主な目的 | 通学定期券の使用可否 | 補足 |
---|---|---|
通学(正規の授業) | ○ | いずれも改札の入場・出場のため使用目的は問われないが、建前上はあくまでも通学目的が第一。 |
部活・サークル | ○ | |
課外授業 | ○ | |
塾・予備校 | ○ | |
アルバイト | ○ | |
就職活動 | ○ | |
遊び(娯楽) | ○ |
通学定期券の使用することに関しては、「通学」以外の目的でも物理的には可能。
「100%通学のみ」にしか使ってはいけないというものではない。
ただし、本来の趣旨があくまでも通学を目的としている。したがって、学校に通うための定期券であって、それ以外のために使用することは極力控えることも求められている。
最も、実際のところは通学以外を目的とした使用が暗黙の了解となっている面も否定はできない。
部活・サークル
部活・サークルのような課外活動は、実際のところは学校の教育活動の一環として広く認識されている。
そのため、学校が休みの土日祝でも部活・サークルのために通学定期券を使用すること自体はOKと考えてよい。
正規の授業目的とはいえ、それに付随するのは部活・サークルである。
少なくとも部活・サークルで土日祝などに使用したからといって違法行為や規則違反になることはない。
塾・予備校
塾や予備校へ通うために通学定期券を使用することも暗黙の了解となっている。
こちらも正規の授業の付録のようなものと一般的にみられていて、通学定期券の購入はできないものの使用はOKと考えてよい。
塾・予備校のために通学定期券を使用したからといって何か不都合なことが起きるわけではない。
本来の趣旨とは違うものの、問題ないと許容される範囲内になるだろう。
アルバイト
高校生や大学生、専門学校生でよくあるのが、アルバイトのために通学定期券を使用する行為。
こちらは学校とは無関係で就労に当たることから、通学定期券の本来の趣旨からは外れる。
それでも、実際のところはやはり暗黙の了解となっている。
本当なら通学ではなく通勤になるため、別途通勤定期券が求められるが、あくまでも学校への通学目的として使用している人なら何か問われることはほぼない。
就職活動
就職活動においても、学校と自宅の間の区間の公共交通機関に限っては通学定期券を使っても特に問題視はされない。
本来の趣旨からは外れるとはいえ、就職活動は少なくともアルバイトと比べると学校教育の延長線上に近いものという認識も多い。
就職活動を目的に通学定期券を購入することはできないが、使用自体は違法行為や規則違反で問われることはないだろう。
面接や会社説明会へ行くために定期区間を通学定期券で鉄道・バスを利用する学生はかなり多い。
遊び(娯楽)
最も問題なのが遊びのような娯楽目的で使用すること。
勉強することとは大きくかけ離れているため、社会的に問題視されることがよくある。
休日の一部ならまだ許容範囲内に収まるものの、毎日のように通学定期券を遊び目的で使用していると、通学以外を目的に通学定期券を購入したのではないかと疑われる可能性が出てくる。
少しの機会なら暗黙の了解の範囲内だが、過剰な使用は厳禁。
鉄道事業者またはバス事業者から学校へ連絡が行く可能性も否定できない。
その他、定期券に関する各種のルール
主な項目 | 内容 |
---|---|
購入・発売 | 直通先での継続購入、区間変更、払い戻しの可否(JR) |
利用上の禁止事項 | 通勤定期券の「通勤」目的以外の購入・使用、通学定期券の「通学」目的以外の購入・使用、指定経路外の乗車、使い回し(本人以外の使用) |
運賃・料金 | 乗り越し精算の計算式、回数券との併用、1日の乗車回数の上限 |
上記の記事にて定期券に関する条件や注意点について解説。通常の乗車券や交通系ICカードによる利用の場合とは異なる点が多い。