JR線の通勤定期券および通学定期券の払い戻しの可否について、各条件ごとに一覧化。
原則として、払い戻しを行って返金を受けられるのは、有効期限まで残り1か月以上残っている場合である。手数料は220円生じる。
計算式は、定期券発売額から使用済の定期運賃と220円を引いた金額が払い戻し金額である。一種の途中解約のようなものだが、注意点があるのは確か。
払い戻しの条件ごとの可否
条件(有効期限までの日数) | 払い戻しの可否 |
---|---|
1か月以上残っている | ○ |
1か月未満しか残っていない | × |
※買い間違いで直後の払い戻しなら可能の場合あり(手数料なしの可能性も)。 ※買い間違い等やむを得ない場合に限って購入日から7日以内から払い戻し可。手数料は220円。 ※区間変更も一旦払い戻しに。 ※磁気定期券(きっぷ)・ICカード定期券いずれも同じ。 |
通勤定期券および通学定期券のいずれも共通。
また、きっぷタイプの磁気定期券でも、Suica、ICOCA、TOICAなどの交通系ICカードでも払い戻しのルールは同じ。
1か月以上残っているか残っていないかが払い戻しの可否の分け目である。
なお、払い戻し手数料は一律220円。定期券の種類や有効期間によって変動することはない。
有効期限まで1か月以上残っているなら可能
有効期限までの残り日数は1か月以上ある場合は、手数料220円を支払うことで払い戻しを受けることができる。
計算式は次の通り
定期券の払い戻し額の計算式
払戻額=定期券発売額-使用済月数分の定期運賃-手数料220円
定期券の発売額から使用済の月数分の定期運賃を差し引いた金額が払い戻しの対象。
例を挙げると次のようになる。
- 手持ちの定期券:6か月分
- 効力開始日:4月5日
- 有効期限日:10月4日
払い戻し受付日が6月30日の場合…6か月定期運賃-3か月定期運賃-220円
払い戻し受付日が7月10日の場合…6か月定期運賃-(3か月定期運賃+1か月定期運賃)-220円
◎新宿→東京の定期券を例にすると、以下になる。
6/30払い戻し:28,460円-16,900円-220円=11,340円
7/10払い戻し:28,460円-(16,900円+5,930円)-220円=5,410円
6か月分の定期券のように有効期間が長いものは普通運賃に対する割引率が大きいため、途中で払い戻しにすると返金額が意外と少ない。
あくまでも制度的に払い戻しができる程度と捉えておく必要がある。
有効期限まで1か月未満は不可能
定期券の有効期限までが残り1か月未満の場合だと払い戻しを受けることができない。
そのまま有効期限日まで使うしかない。使わなくてもお金が戻ってこない。
1か月分の定期券を購入した場合でも、すでに有効期間が開始した定期券だと以降は払い戻しができない。
ただし、買い間違いなどのやむを得ない場合に限っては、発売日から7日以内なら払い戻しを受けられる。
この場合の計算式は、定期券発売額-経過日数分の往復普通乗車券の運賃-220円。
また、購入した瞬間から直後であれば、払い戻しを手数料なしで行ってくれる場合がある。
特に乗車区間の間違いや利用開始日の間違いには対応してくれやすい。
例外措置
前述のように、買い間違い等などのやむを得ない場合に限っては払い戻しが受けられることがある。
例外的な措置であるが、事情および払い戻しの計算式は以下のようになる。
買い間違いによる払い戻し
払戻額=定期券発売額-経過日数分の往復普通乗車券の運賃-220円
例)新宿→東京の通勤定期券(6か月分)、購入日当日からの使用開始の場合
翌日払い戻し:28,460円-(200円×2×2日)-220円=27,440円
翌々日の払い戻し:28,460円-(200円×2×3日)-220円=27,260円
ここで言う「往復普通乗車券」とは片道乗車券の大人料金の往復分のことを指す。
計算式ではきっぷでの発売額で計算される。1円単位のICカード運賃は適用されない。
「やむを得ない場合」とは?
なお、買い間違いとは次のような場合がほとんど。
- 乗車区間を間違えた
- ルート(経路指定)を間違えた
いずれの場合でも払い戻しはできるが、手数料220円は必須になる。
完全に返金という場合の事例はほとんどない。
そして、購入日から8日以上経過して時点からは「やむを得ない場合」による計算式での払い戻しはできない。
1か月以上残っている場合は、上記の計算式が適用され、残り1か月未満なら一切払い戻しができない。
区間変更について
すでに使用中の通勤定期券・通学定期券の区間変更に関しては別ルールになる。
区間変更については「定期券の区間変更は条件が厳しい! 一旦払い戻しに」で解説。
一旦払い戻しになることには変わりなく、手数料が220円かかる。ただし、計算方法が異なる。
1か月に満たない日数に関してはまるまる1か月分として計算されるわけではなく、「旬」単位が使用される。
「旬」とは10日単位を指す。10日ごとに区切った上で計算される。
その他、定期券に関する各種のルール
主な項目 | 内容 |
---|---|
購入・発売 | 直通先での継続購入、区間変更、払い戻しの可否(JR) |
利用上の禁止事項 | 通勤定期券の「通勤」目的以外の購入・使用、通学定期券の「通学」目的以外の購入・使用、指定経路外の乗車、使い回し(本人以外の使用) |
運賃・料金 | 乗り越し精算の計算式、回数券との併用、1日の乗車回数の上限 |
上記の記事にて定期券に関する条件や注意点について解説。通常の乗車券や交通系ICカードによる利用の場合とは異なる点が多い。