鉄道の定期券の乗り越し精算の計算方法は、定期区間外の区間の普通運賃の料金を支払う「区間方式」が適用される。
全国共通でどこの鉄道事業者でも変わらない。磁気券でも定期券機能が付いたSuicaやPASMOなどの交通系ICカードでも同じ。
普通乗車券の乗り越し精算で使用される計算式とはまた別物。
目次
定期区間外の乗車時の乗り越し精算の計算式
定期区間外の利用区間 | 追加料金の計算元 |
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降車駅が区間外 | 定期区間の最も近い駅から降車駅までの普通運賃の料金を支払う。 |
乗車駅が区間外 | 乗車駅から定期区間の最も近い駅までの普通運賃の料金を支払う。 |
乗車駅・降車駅ともに区間外 | 定期区間外それぞれの区間分の運賃を支払う。 定期利用よりも通しの普通運賃の方が安い場合は安い方が適用。 |
定期券の乗り越し精算では、基本的に区間外の運賃が追加料金になる。
磁気定期券、ICカード定期券(Suica、PASMO等)のいずれも同じ。
通勤定期券・通学定期券での違いも特にない。
降車駅が定期区間外の場合
降車駅だけが定期区間外の場合、乗り越し精算では区間外の部分の普通運賃を支払うこととなる。
定期区間:A駅→B駅で、C駅まで乗り越す時、支払う追加料金はB駅→C駅の普通運賃。
例)東京→川崎の定期券を持っている場合で、横浜駅まで乗り越すとする。
乗り越し精算で横浜駅降車時に支払う料金は220円。内訳は次の通り。
・東京→川崎:定期内区間
・川崎→横浜:220円(定期外区間)
東京→横浜の普通運賃は480円だが、川崎駅までは定期券を利用するためこの区間は支払う必要がない。
東京駅から川崎駅まで定期券で乗車して川崎駅で一旦下車し、その後普通乗車券で川崎駅から横浜駅まで乗車した場合と負担額は変わらない。
乗車駅が定期区間外の場合
乗車駅だけが定期区間外の場合も同じく乗り越し精算では区間外の部分の普通運賃を支払うこととなる。
定期区間:B駅→C駅で、A駅からB駅までが区間外の時、支払う追加料金はA駅→B駅の普通運賃。
例)東京→川崎の定期券を持っている場合で、上野駅から乗車すると仮定。
乗り越し精算で川崎駅降車時に支払う料金は160円。内訳は次の通り。
・上野→東京:160円(定期外区間)
・東京→川崎:定期内区間
上野→川崎の普通運賃は400円だが、途中の東京駅から川崎駅までは定期券を利用するためこの区間は支払う必要がない。
上野駅から東京駅まで普通乗車券で乗車して一旦下車し、東京駅から川崎駅まで定期券で乗車乗車した場合と負担額は変わらない。
乗車駅・降車駅ともに定期区間外
定期券区間外で乗車し、定期券区間を通過し、定期券区間外で降車した場合の計算式も上記と同じ。
ただし、交通系ICカードでは自動的に支払う料金が計算される。定期券+乗り越し精算よりも通しの普通運賃の方が安い場合はこちらが適用される。
例1)上野→横浜の乗車で東京→川崎の定期利用の場合。
乗り越し精算時に支払う料金:380円
上野→東京の普通運賃+川崎→横浜の普通運賃=乗り越し精算で支払う金額
<参考>上野→横浜の普通運賃:570円
上野駅から横浜駅までの通しの普通運賃は570円だが、途中区間が定期利用だと上野→東京、川崎→横浜それぞれの普通運賃分の方が安いため、追加料金は160円+220円の380円になる。
例2)恵比寿→池袋の乗車で渋谷→新宿の定期利用の場合。
乗り越し精算時に支払う料金:170円
恵比寿→渋谷の普通運賃(140円)+新宿→池袋(160円)の普通運賃よりも恵比寿→池袋の通しの普通運賃の方が安い。
<参考>恵比寿→池袋の普通運賃:170円
恵比寿駅から池袋駅までの通しの普通運賃は170円。途中区間が定期利用でも恵比寿→渋谷の140円、新宿→池袋の160円を合計した料金よりもが安い。
この場合、最初から定期利用は無しとカウントされる。
乗車券とは計算方法が異なる
定期券と乗車券では乗り越し精算で使われる計算方法は異なる。
定期券の場合は、乗り越し精算では区間外の運賃を丸々支払う形となる。
一方の乗車券では、乗り越し精算は当初の目的地までの運賃と比較して差額分のみを支払うだけで済む。
最初から実際の降車駅までの乗車券を購入した場合でも、手前までの乗車券を購入して降車時に乗り越し精算を行った場合とのいずれも負担額が同じになるのが乗車券の計算方法である。
定期券の場合は差額だけでなく、区間外の運賃を全額支払うため、頻繁に定期区間外を利用する場合だと最初からその区間も含めた定期券を購入した方がお得なこともある。
ICカード定期券の乗り越し精算
◎ICカード定期券の乗り越し精算の方法
- 降車駅でそのまま改札にタッチするだけでOK
- チャージ残高が不足する場合は乗り越し精算で入金。
- 定期区間外はICカード運賃が適用(首都圏の場合、その他の地域はきっぷと同額)
ICカード定期券の乗り越し精算では、チャージ残高が入金されている場合は乗り越し精算機で手続きを行う必要はない。
定期区間外でもそのまま降車駅の改札にタッチするだけで問題ない。
運賃の計算は上記と全く同じで、ICカード定期券と磁気定期券の違いは「1円単位の料金」以外にはない。
首都圏のJR・私鉄ではICカードでは1円単位、きっぷは10円単位の運賃体系になっているが、Suica定期券やPASMO定期券では1円単位が適用される。
その他、定期券に関する各種のルール
主な項目 | 内容 |
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購入・発売 | 直通先での継続購入、区間変更、払い戻しの可否(JR) |
利用上の禁止事項 | 通勤定期券の「通勤」目的以外の購入・使用、通学定期券の「通学」目的以外の購入・使用、指定経路外の乗車、使い回し(本人以外の使用) |
運賃・料金 | 乗り越し精算の計算式、回数券との併用、1日の乗車回数の上限 |
上記の記事にて定期券に関する条件や注意点について解説。通常の乗車券や交通系ICカードによる利用の場合とは異なる点が多い。