京王井の頭線の速達列車である「急行」は、朝ラッシュの時間帯である7時台と8時台は運転されていない。最も乗客が多くなる2時間だが、時刻表を見るとすべて各駅停車になっている。通過駅の設定がある電車が走っていない。
かつてよりは、朝の時間帯でも早朝の急行は増発され、各駅停車のみの時間帯が縮小した。しかし、それでもラッシュのピークとなると各停しか運転されていない。
日中の時間帯では、急行と各駅停車が交互に走っている。いずれも8分間隔での運行となっている。優等列車の本数は、他の私鉄各線と比較しても多い。

なぜ、京王井の頭線の朝ラッシュの時間帯だけ「急行」の運転が行われていないのか。それには、線路の容量の問題がある。
ダイヤが超過密!?
朝ラッシュといえば、人々が一斉に職場や学校へ向かう時間帯である。一気に人の流れが多くなるため、鉄道ではどの路線も大きな輸送力を確保する必要がある。
首都圏では、車両数や運行本数を増やしても輸送力が不足している例が少なくない。都心直結の路線となれば、需要過剰となっていて供給力が追いついていない状態のケースが多数派となっている。
京王井の頭線もまた、その例外ではない。できるだけ多くの乗客を輸送するため、朝ラッシュの時間帯では2分間隔で電車が運転されている。駅のホームにいれば、次から次へと電車がやって来る光景が見られる。
2分間隔で各駅停車を走らせてしまうと、同じ線路に追加で急行を走らせられる余裕はまったくない。同じ各停であっても追加するのは無理に近い。線路容量から、すでに飽和状態となっているというわけだ。
各駅停車の一部を急行に置き換えればいいのではないかと思うかもしれない。しかし、こうすると急行が止まらない小さな駅を乗り降りする人が乗れる列車が限られてしまい、列車ごとの混雑度に大きな差が出てしまう。
しかも、今のようにすべて各停にすることで何とか先行列車に追いついてノロノロ運転となる渋滞が起きにくいようになっている。急行が走るとなれば、確実に追いついてしまう。結果的に、所要時間は変わらない。
ダイヤが超過密となっているのが、朝ラッシュの時間帯には急行が運転されていない理由となっているのだ。
なお、同じく混雑する夕方から夜間にかけての帰宅ラッシュの時間帯だが、こちらは朝ほどは乗車時間が集中しない。そのため、輸送力が不足するほどの混雑にはならない。
帰宅ラッシュの運行本数は朝よりはやや少ないこともあり、急行を走らせらえる余裕がある。このため、昼間の時間帯とな同じように各駅停車と急行が交互に運転されている。
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東京都江東区在住。1993年生まれ。2016年国立大学卒業。主に鉄道、就職、教育関連の記事を当ブログにて投稿。新卒採用時はJR、大手私鉄などへの就職を希望するも全て不採用。併願した電力、ガス等の他のインフラ、総合商社、製造業大手も全落ち。大手物流業界へ入社。
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