通勤ラッシュがなくならない根本的な原因とは、人々が朝夕の一部の時間帯に集中して移動することにある。
様々な対策が取られているとはいえ、実際に見てみるとあまり効果がないのがわかるだろう。
朝ラッシュは7~9時、夕方から夜にかけては17~19時に人々が一斉に自宅と職場などを行き来する。これが鉄道・バス、あるいは道路網を混乱させる理由なのは言うまでもない。
通勤ラッシュの原因はこれ!
主な原因 | 詳細な内容 |
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一部の時間帯に集中 | 自宅と職場・学校を行き来する時間帯が一部の時間帯に集中。誰もが一斉に移動することで交通網がパンクする。 |
都市に人口が集中 | 都市に人口が集中することは、狭いスペースに人々が集約されること。スペースの広さが狭いことで人の行き来をさばき切れない。 |
大都市への流入 | 少子高齢化社会とはいえ、大都市に限ると生産年齢人口が増加傾向。ラッシュ時に移動する必要のある人口の流入が止まらない。 |
代表的な例になるのは、言うまでもなく首都東京である。
通勤ラッシュとなれば、鉄道・バスはどこの路線でも例外なく満員になる。積み残しも発生する人で、移動すること自体が「地獄」の状態。
通勤ラッシュの根本的な原因に当たる背景には、上記であげた3つの内容が該当する。
最近では時差出勤や在宅ワークが推奨されるようになっているものの、そんな傾向が感じられる状態とは程遠い。
それどころか、一部のところでは激化している。
一部の時間帯に集中
自宅と職場・学校を行き来する時間帯が一部の時間帯に集中していることが1つ目の原因。
特に日本の場合は「フレックスタイム制」には消極的な企業や団体がほとんど。
東京都などでは時差出勤を推奨する流れを見せているものの、これに応じている会社は少数派にとどまる。
朝は7~9時、夕方と夜は17~19時にそれぞれ大移動が起こるのは今も昔も変わらない。
そして、このような時にみんなが一斉に動き出せば、交通インフラでは需要が供給を大幅に超過する。
都市に人口が集中
日本のみならず、世界中では基本的に都市に人口が集中している。文明社会が発達した今では、都市での経済活動こそが効率的と言われている。
ただし、それは通勤ラッシュの原因でもある。
都市に人口が集中するということは、限らせた狭いスペースに大量の人が活動している状態になる。
交通インフラが発達しているとしても、都市で大移動が起これば圧倒的に需要過剰になる。
供給力を増やすという対策が考えられるものの、そもそも成熟した都市にはそれができる余力がない。
土地が限られている以上、設備増強には限界がある。
大都市への流入
大都市への流入も通勤ラッシュの原因のみならず、それが激化する遠因にもなる。
日本国内は少子高齢化が深刻なまでに進んでいるものの、大都市部に関しては例外。
仮に人口が少なくなっているとしても、生産年齢人口に限れば増加傾向にある。
そして、生産年齢人口とはつまり社会人として働いている人を指す。通勤ラッシュの時間帯には自宅と職場を行き来する人たちだ。
鉄道・バス・道路網を朝夕の一部時間帯に使用する人の数が増えることで、ますます通勤ラッシュが激化することを後押しする形になる。
混雑緩和策など「無駄な抵抗」か
鉄道事業者では長年混雑緩和のための対策に力を入れてきた。
その具体的な内容が以下である。
混雑緩和の内容
複々線化…線路の本数を増やして列車の運行本数を倍増できるように設備投資
新型車両、信号設備の投入…より輸送力を向上させるための設備を投入
ダイヤの等間隔化…速達性よりも列車の本数を最優先にした運行ダイヤの導入
確かに、これらの対策ができたころには混雑のレベルが以前よりも緩和された例が多い。
新規路線の開業などもあって、20年前と今では少なくとも今の方が最混雑状態での混み具合は改善されている。
しかし、今後も良くなる方向へ進むとは考えにくい。
生産年齢人口の流入が止まらないこと、一部の時間帯に集中すること、経済活動が都会で優先されることが続くとなれば、今後は通勤ラッシュの混み具合が悪化する可能性が大いに考えられる。
国や自治体、あるいは鉄道事業者などの交通インフラ事業者だけが対策案を講じるだけでは「無駄な抵抗」になるのは言うまでもない。