西武新宿線の急行であるが全体的に遅いというのが現実の評判となっている。
田無駅より先では各駅に止まり通過駅がない。
どうして速達列車であるにも関わらず停車駅がかなり多い設定になっているのか。
西武新宿線の「急行」の性質
西武鉄道のメイン路線は池袋線と新宿線であるが、後者はかなり近代化が遅れている。
他社線との直通運転は一切なく、複々線区間もまったくない。しかも、高架化または地下化が進んでいるところもほとんどなく、平面を走るために踏切がかなり多い。
毎日のように電車が遅れるのもまた特徴的ではあるが、特に遠距離利用者からの「急行が遅い」という声が多い。
新宿線において追加料金などで乗れる速達列車は「急行」であるが、通過駅が設定されている区間は高田馬場~田無までであり、それから先の本川越まではすべて各駅に止まる。
以前は「快速急行」が走っていたが、2012年に廃止された。快速急行は新所沢駅までは通過駅が設定されていた。
それ以降は急行のみが特急小江戸号を除いて日中の最速列車となっている。
どうして田無駅より先に通過駅がないのか?
<快速急行の重要性が低い理由>
- 駅間距離が比較的長い
- かつては沿線は田畑が広がっていたため
駅間が長い
田無駅より先になると、駅間距離が比較的長くなる。
田無駅から都心寄りではこまめに駅が存在するが、埼玉県側では2~3km程度開いている。
駅間距離が長めになっているということで、駅に停車してもそれほど大きなタイムロスにはならない。
通過駅を設定してしまうと、通過駅の利用者は乗れる列車の数が限られてしまうということで、急行でも各駅に止めているものだと考えられる。
快速急行の通過駅の乗降客数は多い
しかも、急行が各駅停車になる区間においても乗降客数が多い駅はかなり多く、利用者数が少ない駅はかなり少ない。
田無~所沢間の花小金井駅・小平駅・久米川駅・東村山駅はいずれもまとまった数の乗降客数がある。
最も少ない久米川駅でさえ1日当たりの乗降客数は32,882人/日。残り3駅はいずれもおおむね40,000人/日を超える。
「快速急行」を運転し、しかも本数が一定数以上になれば、既存の「急行」の混雑状況が悪化するのは避けられない。
>>西武新宿線の朝ラッシュの混雑、上り・下りの乗車率はいくつに!?
過去の歴史にも
また、急行や準急が登場した当初は駅周辺に住宅街が広がっていたのは西武新宿~田無駅までであった。
それより先の本川越側は田んぼと畑が広がっていて、住宅地はあまりなかった。
郊外の住宅開発が本格的に始まったのはバブルがはじめる1980年代のことである。
しかし、それまでは停車していた駅を飛ばすようにダイヤ改正してしまうと、該当する駅周辺に住む人から猛反対を受けるのは必須。
近代化が遅れているのと同じように、急行などの優等列車の速達化も行われてこなかったのが、西武新宿線ならではの特徴といえるだろう。