電力会社のボーナスは、旧一般電気事業者の場合は基本給の3.0~6.0か月分が相場。
大都市圏をカバーする会社は高めな一方、地方圏をカバーする会社になると低い傾向。
さらに、社会情勢によってボーナスが変動し、特に不利な立ち位置にあるのが原子力発電に関する分野。
目次
電力会社の年間賞与
電力会社 | 年間賞与(基本給ベース) |
---|---|
東京電力 | なし |
中部電力 | 1,628,000円 |
関西電力 | 1,692,000円 |
東北電力 | 1,483,000円 |
九州電力 | 4.02ヵ月 |
中国電力 | 3.39ヵ月 |
北海道電力 | 3.68ヵ月 |
四国電力 | 1,580,000円 |
北陸電力 | 1,094,000円 |
沖縄電力 | 1,498,000円 |
J-POWER | 5.0ヵ月 |
日本原燃 | 1,147,000円 |
日本原子力発電 | なし |
SBエナジー | 6.0ヵ月 |
ユーラスエナジーホールディングス | 4.4ヵ月分 |
日本風力開発 | なし |
三菱日立パワーシステムズ | 4.0ヵ月 |
イーレックス | 2.0ヵ月 |
出典:「2019春季生活闘争 – 電力総連」
上記が旧一般電気事業者に当たる企業。
いずれの会社も3.0~6.0か月分の間で推移。電力総連に加盟している企業では3.0~5.5か月分。
世界経済の動向に左右されない安定した業界というイメージが大きいものの、近年は原子力発電の動向で左右される。
中部電力、関西電力
中部電力、関西電力のボーナスは、電力会社でも中部電力と関西電力では収益が良いこともあって、これら2社で組合員平均で160万円強。約5.5か月に換算。
送配電区域において、中部電力は名古屋都市圏、関西電力は京阪神をカバーすることからその分収益が良好。
それが社員のボーナスに反映された形。経営状況を揺るがす出来事もなかった。
東北電力、九州電力、四国電力
東北電力、九州電力、四国電力のボーナスはいずれも基本給の4~5か月に入る。
東北電力は組合員平均で年間1,483,000円。
九州電力は年間4.02ヵ月分。
四国電力は年間1,580,000円。
いずれも電力会社の中では標準レベルで、ドル箱ともいえる大都市圏をカバーするわけではないが、経営状況を揺るがす事故などもなかった。
北海道電力、中国電力、北陸電力
北海道電力、中国電力、北陸電力の3社のボーナスは3~4か月分。電力会社の中では最低クラスで少ない。
北海道電力は組合員平均で年間3.68ヵ月。
中国電力は年間3.39ヵ月。
北陸電力は年間1,094,000円。こちらも3ヶ月分+αに換算。
北海道電力は送配電区域が人口希薄地域が多いことで収益性が本州より悪い。
北陸電力は、2018年9月に石炭火力発電所の事故が影響。七尾大田火力2号機のタービン火災がボーナスにも影響が出た形。
沖縄電力
沖縄電力は本州との送配電の綱渡りがない唯一の電力会社。
ボーナスは組合員平均で年間1,498,000円。4.5か月分ほどに換算。
地理的な性質で離島が多いものの、人口希薄の面積は小さいこともあり、収益性は高めなのが要因。
東京電力は賞与なし
電力会社で業界最大手の東京電力ホールディングスではボーナス(賞与)は支給なし。
理由は年俸制を導入しているため。
月給には年収ベースで12等分した金額が支給されているため、ほかの会社のように一時金という形で夏季と冬季に支給されるシステムではない。
このため、ボーナスの支給がないからといって、年収のトータル金額が低いわけではない。
東京電力ホールディングスの平均年収は800万円ほど。これは中部電力や関西電力よりも高い金額。
福島第一原発事故による損害賠償などで経営が傾いているためにボーナスが支給されていないという意味ではない。
その他の電力会社の賞与
J-POWER(電源開発)
J-POWER(電源開発)のボーナスは組合員平均で年間で5ヵ月分が支給。
主力事業は発電で、日本国内および海外での発電所を保有するが、一般電気事業者とは違って海外にも広く進出していることもあって、経営状況はさらに安定。
ボーナスも中部電力と関西電力並みの水準で、電力業界では高い方。
日本原燃
日本原燃は組合員平均で年間1,147,000円のボーナスが支給。
ウラン濃縮、使用済核燃料の再処理、混合酸化物燃料(MOX燃料)の製造、高レベル放射性廃棄物の貯蔵管理、低レベル放射性廃棄物の埋設を行う会社だが、国策民営企業のため同じく経営は安定。
原発を稼働させて発電を行う会社ではないため、原子力政策にはあまり左右はされない。
日本原子力発電
日本原子力発電では発電が実質的に停止していて、社員へのボーナスも停止。経営状況も赤字。
日本原燃とは違って、原子力発電所で原発を稼働させて発電を行うことで初めて会社の収益が上がるが、それができていない。
2013年夏季賞与が見送りとなり、社員給与も平均5%削減されてからはボーナス復活していない。
ただし、「一時金」という名目で年間2.5ヶ月分が支給されている。これが実質的なボーナスに該当する。
ユーラスエナジーホールディングス
ユーラスエナジーホールディングスのボーナスは年間で4.4ヵ月分が支給。
風力発電事業を中心とした再生可能エネルギー事業会社だが、豊田通商と東京電力の共同出資会社のため、経営状況は比較的安定。
親会社で総合商社の豊田通商と比較すればさすがにボーナスの基準額は低いものの、電力業界では平均的な水準で、決して低くはない。