JR常磐線の特急ひたち・ときわは2015年3月の上野東京ライン開業に合わせて行われたダイヤ改正により登場した列車である。自由席が廃止され、全車指定席となったのが大きく変わった点だ。
それまではスーパーひたち・フレッシュひたちの2種類の特急列車が走っていて、自由席と指定席の2つがあった。自由席特急券であれば料金は安く、しかも回数券の制度もあったため、気軽に利用できた。
しかし、全車指定席化によって料金は実質的に値上げとなり、しかも回数券の制度もなくなった。これまでと比べると気軽に特急を使えるのが難しくなったといえる。東北新幹線のはやぶさ・はやてと同じ形態となった。
座席未指定券という制度
全車指定席へ変わったのと同時に、座席未指定券というものも登場した。これは、座席を指定しない代わりに空席があればどこでも座ってよいというシステムの切符である。どの列車に乗ってもよい。
通常、指定席は指定席券がなければ絶対に座ることができない。自由席特急券なら自由席の車両にしか乗ることが許されない。しかし、この「座席未指定券」であれば誰も座っていない空席には着席できる。
座席未指定券で着席している場合、もし自分が座っているところに指定席券を持った他の乗客が現れた時には席を譲らなければならない。
各座席が指定されているかどうかは座席の真上にあるランプの色で判断できる。緑色は誰かがすでに座席指定券を購入しているということを示す。赤色なら空席であることを表す。
そして、黄色は「まもなく途中駅から座席指定券を持った乗客が乗ってくる」を示すサインである。つまり、赤色のランプの席であれば空いているので座席未指定券でも座れるというわけである。
それでも自由席特急券よりは高い!
ただ、この座席未指定券には明らかなデメリットといえる大きな欠点がある。それは、値段が座席指定券と同額であるという点だ。
これまでの自由席特急券では指定席券よりも割安な値段に設定されていた。そのため、あまり予算を鉄道に欠けられないという人にとって自由席は経済的なサービスだった。
今回の全車指定席に変わったことで、割安な値段で特急に乗車する方法が消えてしまったといっていいだろう。座席未指定券はあくまでも「どの列車に乗れるかわからないためにとりあえず特急券だけ買っておこう」という場合に買える切符という程度のものだと考えられる。
料金が同額ということで、座席未指定券から指定券に券売機やみどりの窓口で変更することもできる。追加料金はかからない。乗る列車が決まったのであれば、確実に座れるように指定席を確定させた方が良いのは言うまでもない。