【上野東京ライン】常磐線だけ品川止まり! この理由とは?

2015年3月に開業した上野東京ラインだが、常磐線だけは直通列車はすべて品川止まりとなっている。宇都宮・高崎線から来る電車はすべて東海道線内の神奈川県内まで運転するが、どうして常磐線だけ打ち切りになってしまうのか、理由について解説する。

東京~上野間に新しい線路を作る東北縦貫線(上野東京ライン)の計画が発表されたのは2000年のことであった。当時の計画では、東京駅まで乗り入れるのは利用者が圧倒的に多い宇都宮線と高崎線のみであった。

常磐線については従来通り上野止まりになる予定であった。しかし、湘南新宿ラインが2001年に開業して新宿方面に行く電車が誕生したことで、上野口には線路容量に余裕ができた。これにより、常磐線も東京駅まで乗り入れるという計画になった。

常磐線E531系

wikipediaより

そして、上野東京ラインの開業によって常磐線の特急と快速電車の一部が東京駅まで直通運転をするようになった。とはいえ、すべての列車ではない。あくまでも一部だけが上野東京ラインとして運転されているにとどまる。

すべての電車を走らせるには線路容量の面で問題がある。大宮方面からの電車が走っている東北本線にはすでに多くの本数があるため、あまり常磐線が乗り入れられない。


なぜ品川止まり?

さて、なぜ常磐線だけが品川駅までしか行かないのか。それには明確な理由がある。

  • 取手以北は交流
  • 東海道線の車両は常磐線を走れない
  • 上野駅構内の平面交差

常磐線の取手駅以南は直流区間である一方、それより北側の茨城県内は交流区間となっている。直流専用の電車は交流区間を走ることは不可能。走れるのは常磐線所属のE531系という交直流の両方に対応した車両だけである。

土浦方面から上野東京ラインに乗り入れる電車はすべてこのE531系だけとなっている。つまり、常磐線の電車が東海道線内を走るのは可能だが、東海道線の車両は常磐線に乗り入れることはできないというわけだ。

もしE531系が品川から先の神奈川県内の東海道線の小田原や熱海にも乗り入れるということになれば、常磐線を走る車両が不足してしまう。走らせる電車がないという状態になるため、なるべく遠くまでは足を延ばしたくないというわけだ。

取手以南だけを走る快速線のE231系は直流専用電車であり、E231系とE233系は取手駅までなら走れるが、土浦方面には行けないという問題は残る。

また、上野駅でのダイヤ上の問題もある。上野東京ラインの北行の線路から常磐線の線路に移る場合、南行の線路を平面で渡らなければならない。

つまり、常磐線下り方面に行く電車がいる最中は南行の電車の運転ができないというわけだ。この頻度が多くなると、宇都宮・高崎線の上り電車に影響を与えてしまう可能性が大きくなる。ダイヤが乱れる原因ともなりかねない。

これもまた、常磐線からの上野東京ライン直通列車を増やせない理由となっている。

こうした理由から、常磐線の電車はすべて品川止まりになっていて、しかも本数も限定されているのだ。

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