新幹線の特急券の料金が高いと感じたことはないだろうか。合計して取られる運賃の値段は乗車券のみ時の2倍以上するケースが多い。
最も安いと言われる東海道山陽新幹線でさえおよそ2倍近くにまで達する。特急料金は決して安い追加的な料金ではことは確か。
鈍行列車を乗り継いで移動したり、高速バスを使う方がよっぽど安い。収入が少ない学生や低所得者層にとっては贅沢な乗り物となってしまうのが新幹線と言えるかもしれない。
新幹線は非常に環境にやさしい交通手段といわれている。でも、実際には飛行機ともそれほど値段が違わないのも事実である。
なぜ在来線普通電車の2倍になる?
新幹線の運賃に占める料金には線路や車両の維持管理費と建設費が多く含まれている。当然ながら、在来線の普通電車よりもその金額は大きい。
ほとんどの路線はここ最近になって開業したところが多い。建設費が高騰してからできた例が少なくなく、その借金の返済の負担が特急料金に反映されている。
高度経済成長期に完成した東海道新幹線、そのちょっと後にできた山陽新幹線では、建設費の返済はもうない。
しかし、それでも線路や車両の維持管理費には莫大な費用が掛かっている。ランニングコストも在来線よりも高額になっている。決して安いものではない。
スピードを出すからコストが高い
新幹線の線路や車両などの設備面のランニングコストが高くなる理由は、列車が高速走行するからであるのは何となく想像できる。
スピードを飛ばすため、それなりの電力を消費する。車両も高速走行が可能な設計にする必要があり、これにも多額の費用がかかる。在来線よりも約5倍程度高い。
安全性の高さも要求される。速度を出す乗り物ということで、その分安全を確立するための対策が必要となる。
最高速度がせいぜい100km/hちょっとの在来線と比べて、新幹線では300km/h近く出す。整備新幹線は260km/hという制限があるものの、それでも在来線の2倍にもなる。
ランニングコストが多くかかる分、乗客からもらう収入もそれに見合った金額となってしまうのだ。
競争がない独占状態だから
さらに、市場の動向にも料金が高止まりしている理由がある。価格競争が存在しないのも新幹線ならではの特徴だろう。
新幹線はJR各社しか運行していない。在来線のように並行して走る私鉄がまったくない。
長距離輸送ということで航空機との競合があるのは確かだが、駅の立地の利便性が空港よりも高く、手軽さでも大きなメリットが新幹線にあることから、価格競争とまでは発展していない。
高速バスとの競争もあるものの、道路を走るバスは渋滞などに巻き込まれる可能性があり、時間に正確ではない。特にビジネス客にとっては、分単位で正確性が求められる新幹線の方が有利な条件だ。
本数の面でも、線路を独占できる新幹線の方が優勢となる。建設された線路は、ミニ新幹線を除いて高速鉄道専用となっている。
こうした点から、新幹線があらゆる点で市場を独占できる環境にあるのが理解できる。値下げする必要がない状態にあるからこそ、特急券の料金が高い理由なのだ。