新快速「Aシート」と首都圏JR東日本のグリーン車の違いはここ!

新快速のAシート

JR西日本の新快速の一部で導入されている有料座席「Aシート」とJR東日本の首都圏在来線の「グリーン車」の違いについて、それぞれの相違点・共通点を比較。

追加料金の金額、支払い方法、運転本数、立席の扱い、Wi-Fiやコンセントの有無で事情が異なる。


Aシート/グリーン車の比較

Aシート(JR西ー新快速) グリーン車(JR東ー首都圏近郊路線)
座席指定 無し(全車自由席) 無し(全車自由席)
料金 一律500円 <事前料金>
平日:50kmまで=770円、51km以上=980円
休日:50kmまで=570円、51km以上=780円<車内料金>
平日:50kmまで=1,030円、51km以上=1,240円
休日:50kmまで=830円、51km以上=1,040円
支払い方法 着席後に乗務員へ支払い
現金または交通系ICカード(ICOCAなど)
※Suica、PASMOでもOK
<事前料金>
切符:駅改札外の券売機
Suica:駅ホーム上のSuicaグリーン券用の券売機
※Suicaグリーン券はICOCA、PiTaPaは不可
運転本数 一部列車のみ 全列車
立席の取り扱い 立席エリアなら無料(追加料金なし) 立席でもグリーン券が必要(デッキ含む)
Wi-Fi 全列車に設置あり 無し(設置計画はある)
コンセント 全列車に設置あり 無し(設置計画はある)

なお、東京近郊を管轄するJR東日本では「新快速」という種別はない。

>>JR東日本(首都圏)に新快速がない理由

一方で、グリーン車の連結は普通列車でも実施している。対するJR西日本の京阪神地区はあくまでも新快速のみ。

座席指定

~座席のタイプ~

Aシート:全車自由席

グリーン車:全車自由席

※いずれも座席指定および予約は不可

座席指定はいずれもできない。全車自由席となっている。座席はすべて先着順のため、満席になっていれば座れない。

座席の予約に関しても、今のところは導入する見込みがない。

JR西日本の京都線・神戸線・琵琶湖線の場合、着席保障があるのは特急列車になる。朝夕だと特急である「らくラクはりま」または「びわこエクスプレス」が運転されているが、これらは指定席があるため、100%座れる保証がつく。

新快速の場合はあくまでも着席保障よりもリクライニング機能やWi-Fi、コンセントといった快適性が重視されているに過ぎない。

料金/支払う方法

~料金~

Aシート:均一料金

グリーン車:距離変動料金、平日と休日で別

料金の仕組みは東西で大きく異なる。

Aシート(JR西日本-新快速)

JR西日本の新快速のAシートでは、一律500円に設定されている。

距離ごとの値段の違いはない。事前料金や車内料金といった区別もなく、乗車後に着席してから料金を支払うシステムになっている。

曜日ごとの相違点もない。平日でも土日祝でも均一料金で、値段が変動することがない。

Aシートの料金は乗務員に現金または交通系ICカードで支払う。

ICOCA、PiTaPaはもちろんのこと、SuicaやPASMOも利用できる。

全国の主要な交通系ICカードならほとんどが使える。

ただし、「モバイルSuica」をはじめ、JR西日本以外のモバイル系の支払うツールは利用できない。

グリーン車(JR東日本)

営業キロ 事前料金 車内料金
平日 ホリデー 平日 ホリデー
50kmまで 770円 570円 1,030円 830円
51km以上 980円 780円 1,240円 1,040円

JR東日本の首都圏在来線のグリーン車は、料金の仕組みが複雑で細かい。

まず、「事前料金」と「車内料金」という2つの種類がある。

事前料金とは、駅の券売機にグリーン券を購入した場合の値段である。切符は改札の外の自動券売機、Suicaグリーン券なら駅のホーム上にあるSuicaグリーン券用券売機で支払った場合の値段。つまり、乗車前にグリーン券を購入した場合の金額を意味する。

車内料金とは乗車後に列車の中で乗務員からグリーン券を購入した場合の値段。駅での発売額とは結構な差額がある。乗車後に購入するやり方は割高なのがわかる。

距離でも2段階に分離されている。50km以下と51km以上でグリーン券の料金が違う。長距離になれば値段が高い仕組みになっている。

曜日ごとにも違う。平日に当たる月曜日から金曜日までは割高、土曜日や日曜日、祝日は割安になっている。

なお、「Suicaグリーン券」として利用できる交通系ICカードは限られている。

Suicaの他に、首都圏の私鉄各社が使うPASMOがまず使える。首都圏エリア以外のICカードで使えるのはTOICA、Kitacaのみ。

ICOCA、PiTaPa、manacaなどはSuicaグリーン券としては使えない。

運転本数

本数が少ないAシートの新快速

JR西日本の新快速の場合、Aシートが連結されている車両は少なく、すべての列車にあるわけではない。

したがって、ほとんどの列車ではAシート無しの運用である。大半の車両は普通車しか連結されていないためだ。

具体的には、2019年では往復4本のみにとどまっている。日中はすべてAシートが付いていない新快速での運転になっている。

一方のJR東日本の首都圏の近郊路線のグリーン車に関しては、すべての車両で連結・営業されている。

4号車と5号車は2階建てのグリーン車に設定されている。この部分が普通車になることはない。(常磐線の取手以南快速は除く)

東海道線、宇都宮線、高崎線、総武快速線、横須賀線、常磐線(取手より北へ乗り入れ列車)はすべてでグリーン車がある。

中央快速線においても、今後はグリーン車が順次導入される予定。将来的には全列車でグリーン車ありになる予定。

立席の取り扱い

~満席で座れない場合の料金~

Aシート:着席のみ追加料金

グリーン車:グリーン車内はデッキ含めて追加料金(要グリーン券)

※グリーン車は満席時のみ払い戻し向けの証明書が発行

Aシートは、立席エリアというスペースがある。座席が満席のために座れなかった場合は、ここで立って乗っていてもOKである。

立席の場合は追加料金はかからない。乗車券・定期券のみで乗っていても問題ない。

追加料金の支払いを求められるのはあくまでも座席に着席した場合のみに限られる。

満席だからといって、普通車に移動しなければならないということは一切ない。

一方のグリーン車は立席でもグリーン券が求められる。つまり、満席で座れない場合でも引き続きグリーン車に乗っているのであれば追加料金がかかることを意味する。

満席の場合に「グリーンアテンダント」という乗務員に申し出ればグリーン券の払い戻しのための証明書がもらえる。

満席かつその証明書があれば、払い戻しを駅の窓口で行えるため、着席できなかった場合の返金手段は確かに用意されている。

しかし、グリーン券の払い戻しを受けることができるような空席ゼロの場合でも、グリーン車から普通車に移動ししなければならない。

そのまま乗車し続けるためにはグリーン券をそのまま使用するしかない。

したがって、JR東日本のグリーン車は車両全体に追加料金が生じるシステムになっていることがわかる。

>>グリーン車のトイレを普通車利用者が使うのはOK/NG!?

Wi-Fi/コンセント

Aシートではすべての車両及び座席でWi-Fiが設置されている。SSIDは「JR-WEST FREE Wi-Fi」。誰でもメールアドレスさえ登録すれば無料で利用可能。

国内向けのSIMカードを持っていない外国人観光客にとって特に大きなメリットがあるサービスである。

コンセントもすべての座席に設置されている。Aシートのみで、普通車には設置されていない設備である。

首都圏のグリーン車はWi-Fiもコンセントもない。E235系が投入される時は最初からいずれも設置される予定となっている。

しかし、既存のE231系とE233系には設置されていない。

まとめ

Aシートは着席できて快適性を重視した「座席」を提供するサービスという性質が大きい。

グリーン車は座席だけでなく、普通車とは違った空間を提供するという性質が大きい。

Aシートは立席スペースがあるため、車両の両端は満員電車になりやすいところ。一方のグリーン車は車両全域でグリーン券が必要になるため、満員電車の要素がグリーン車内には存在しない。

こうした点から、JR西日本の新快速の「Aシート」はどちらかというとライナー列車の性質が強い。

おすすめ記事