グリーン車のトイレを普通車利用者が使うことはOKなのか、それともNGなのか。新幹線、特急、在来線普通列車のそれぞれの可否については以外と知られていない。
結論を言うと、いずれもグリーン車のトイレはグリーン券を所持している乗客だけに限られる。
したがって、グリーン車のトイレを普通車自由席・指定席の乗客が利用するのは禁止である。
グリーン車のトイレ使用の可否
列車 | トイレ使用の可否 | 旅客規則と現実的な問題 |
新幹線 | × | 旅客営業規則ではグリーン車に立ち入りができるのは所定の料金を支払っているグリーン車の利用者のみ。トイレは例外とは記載無し。 |
特急 | × | |
在来線普通列車 | × |
トイレであってもその所在はグリーン車の中になる。グリーン車への立ち入りが許されるのはグリーン券を持っている人だけに限られる。
旅客営業規則においても、特別車両に乗車する際には特別車両の切符を購入して所持していることが求められるという故が記載されている。
グリーン車は新幹線や特急、在来線普通列車のいずれでも「特別車両」に該当する。したがって、ふつうの乗車券や普通車特急券では乗車禁止と解釈される。
座席に座ることができないだけと考えている乗客もかなり多いものの、正確に言うと車両に入ることすら不可になる。
以上の規則上、グリーン車のトイレを普通車利用者が使うのはNGとなる。
参照:グリーン車の「通り抜け」はOK/NG!? 一時的な立ち入りの是非
グリーン車のトイレ利用禁止の条文
JR東日本を例にすると、旅客営業規則では次のように記載されている。
旅客営業規則 第1章ー第13条
列車に乗車する旅客は、その乗車する旅客車に有効な乗車券を購入し、これを所持しなければならない。
お手洗いを使用する場合も、利用する車両の有効な乗車券を購入し、それを所持しなければならないとは記載されていない。
しかし、前述の通りトイレがある場所はあくまでもグリーン車の中である。トイレまでの通路やデッキも旅客車はグリーン車であるため、それに有効な切符を持っていないといけないという解釈になる。
これに関しては、新幹線や特急、在来線普通列車での区別はない。グリーン車はすべて特別車両に該当し、それに乗れるのは追加料金を支払って指定の切符を持っている人だけに限られるというわけだ。
例外的な条件とは?
旅客営業規則においては、グリーン車に立ち入れる例外的な条文に関するものは特にない。
ただし、鉄道事業者側の承諾があればその限りではないことは記載されている。つまり、乗務員の許可があればOKということになる。
どうしても我慢できなくてやむを得ずグリーン車のトイレを使用しなければならないほどの状態なら、その故を申し出ればおそらく乗務員でも却下するケースはまずないだろう。
結局のところは一時的な立ち入りに過ぎず、用事が終わり次第普通車に戻るという条件なら、乗務員がグリーン車のトイレのみの利用をダメと言う可能性は低い。
また、緊急を要する場合は許可なしでも許容範囲になると考えられる。
電車が完全に駅間でストップしてしまったとき、どうしても我慢できない時でグリーン車のトイレを使用しないと他の乗客に多大な迷惑がかかる場合などがこれに該当する。
このような異常時なら乗務員の許可無しでもグリーン車のトイレを使っても、切符代を請求されるとは考えられない。
あくまでも普通車のトイレを使用するのが大前提
グリーン車のトイレを使ったからといって、実際問題としては乗務員からグリーン券の料金の支払いを求められることはないのがほとんど。
それでも、グリーン車のトイレはあくまでもグリーン券を所持している人のための設備である。
普通車利用者なら、普通車のトイレを利用するのが当たり前である。正当な理由なくグリーン車のトイレを使うのは無賃乗車と同じ扱いになる。
どうしてもやむを得ない時は仕方がないものの、通常時はこのようなルールに沿って行動するのが求められる。
新幹線や特急、在来線普通列車のいずれでも常識に沿った行動こそが、他の人たちや鉄道を運行する事業者にとっても最適な配慮になるのは言うまでもない。