新幹線の指定席と自由席の違いは3つある。料金の値段、座れる保証の有無、格安チケットの存在でそれぞれの特徴を比較してみた。それ以外は基本的に自由席と同じと考えてよい。
共通点といえば、座席のタイプ、充電用コンセントの設置状況などであろう。それほど大きな相違点があるためではないものの、やはり迷うポイントになるかもしれない。
ただし、最近は「全車指定席」という種類の新幹線の種別も出ている。これは、自由席を設けていない列車であり、100%座席指定制となるタイプだ。これだと座席タイプが選べない。
指定席vs自由席、それぞれの特徴
新幹線における指定席と自由席それぞれの特徴を比較してみると、以下のようになる。
主な項目 | 指定席 | 自由席 |
---|---|---|
運賃の値段 | 高い | 安い |
座れる保証 | 100%確実 | 満席で座れないリスク |
格安チケットの販売 | あり(自由席並の金額) | なし(定価のみ) |
※全車指定席制のはやぶさ・かがやきを除く |
いずれにも各々のメリットもあればデメリットもある。人によって大きな長所となることもあれば、逆に短所となってしまうのは避けられない。
乗車率は企画切符の違いは新幹線という1つの括りの中でも運行会社や路線ごとによって異なるものの、指定席と自由席での比較では明確に分かれている。
運賃の値段の違い
おそらく誰もが想像する指定席と自由席の違いといえば、特急券の料金の値段の差ではないか。
当然ながら、販売数の上限がある指定席特急券の方が自由席特急券よりも値段が割高になる。これは、どこの路線でも同じである。
自由席は座れないリスクがついている一方で、指定席は予約すれば100%確実に座れるということで、その分値段も高めに設定されている。
指定席の割増料金の内訳には、このような「着席保障」が含まれている。絶対に座れる保険がないのが自由席で、それを取り除いたのが座席指定制だろう。
のぞみ号を例にすると
指定席と自由席の差額について、東海道山陽新幹線ののぞみ号を参考にしてみよう。
のぞみの乗車区間 | 指定席 | 自由席 | 差額 |
---|---|---|---|
東京~名古屋 | 4,920円 | 4,180円 | 540円 |
東京~新大阪 | 5,810円 | 4,960円 | 640円 |
東京~広島 | 7,560円 | 6,500円 | 860円 |
※2019年10月1日料金改定。
※他の区間については以下で取り上げる。
このように、のぞみ号の指定席と自由席の料金の差額を見ると、数百円の違いがあることがわかる。
指定席の方が1~2割ほど高い料金となっているのがわかるだろう。このような運賃に関する理由から、自由席を狙う人も結構多い。
最悪の場合座れなくてもいいが、それよりも値段の安さを第一に優先したい人にとっては自由席が選択肢になる。
なお、ひかり号やこだま号では指定席と自由席の差額は530円。この530円は「座席指定料金」に当たる金額で、着席保障に対する対価。
のぞみ号はさらに速達列車ということで、指定席ではひかり号・こだま号よりもさらに「加算料金」が適用される。
自由席は列車指定がないことでこの加算料金がなく、指定席と自由席の価格差がより大きい。
なお、東北新幹線のはやぶさ号でも速達列車による加算料金があるものの、こちらは全車指定席で自由席が一切ない。そもそも自由席という選択肢が存在しない。
座れる確率
指定席の最大のメリットといえば、「100%絶対に座れる」という点と断定してよいだろう。座席を事前に予約することで、もうそこにはほかの乗客は誰も座れない。
新幹線の席取りが前もってできるところが何よりもよいところである。着席保障こそが最大のセールスポイントでもある。
自由席だとこのような座れる保証はどこにもない。始発駅であれば、列車到着待ちの列に並べば席取りが簡単にできて座れるのは確か。
だが途中駅となるとそうはいかない。すでに不特定多数の乗客が乗っている状態で列車がやってくる。
>>【休日編】のぞみ自由席の土日祝の混雑状況! 時間帯ごとに調査
>>【平日編】のぞみの自由席の混雑のレベル! 満席になる時間帯とは?
混雑している時期や時間帯になると、すでに満席のために空席が残りゼロとなることも考えられる。
新幹線の指定席と自由席での着席保障という点は決定的な違いがあるわけだ。
- 指定席:100%絶対に座れる
- 自由席:座れるかどうか実際に乗るまでわからない
少なくとも、途中の駅から乗車するのであれば、値段以外に自由席をおすすめする理由は見当たらない。
お金に余裕がある人であれば、指定席にするのが合理的である。
自由席とはいえ、乗車券のほかに特急料金がかかるということで、決して安いとは言えない。座れないのはかなり痛手になるだろう。
補足|実際の自由席で満席になるリスク
「自由席」という点では座席の種類こそは同じだが、実際には路線と列車によってその混雑状況には大きな違いがある。
全国の新幹線の路線および列車ごとの混雑の傾向は以下にて取り上げる。
路線 | 種別 |
---|---|
東海道新幹線 | のぞみ(休日・平日) |
ひかり | |
こだま | |
みずほ | |
さくら | |
つばめ | |
東北新幹線 | やまびこ・つばさ |
なすの | |
上越新幹線 | とき |
たにがわ | |
北陸新幹線 | はくたか |
あさま | |
つるぎ |
原則として通過駅が多く、運転距離が長い列車ほど自由席にて満席になりやすい。
同時に、自由席のみならず指定席でも空席が少なくもなりやすい。
結果として、指定席がとれなかった人が自由席に流れてきてさらに混雑度が増すこともよくある。
格安チケットの有無
座席 | 切符の種類 | 詳細 |
自由席 | 定価 | 割引なし |
指定席 | 定価 | 割高 |
回数券(バラ売り) | 金券ショップで安く販売 | |
JR+ホテルのセットプラン | 旅行商品で割安 |
もう1つは新幹線の格安チケットの存在である。新幹線とホテルがセットになった旅行プランや金券ショップで販売されている回数券のばら売りがあるが、いずれも指定席を対象としたものである。
旅行会社が販売するJR+宿泊というプランを見ると、その旅行商品を購入する時点でホテルのみならず新幹線の乗る便と座席も同時に予約する形になる。
自然的に指定席となり、いつでも好きな列車に乗れる自由席特急券ではない。
なお、このような旅行パックプランや金券ショップで売られている格安チケットの値段はもちろん割安な料金となっている。
少なくとも自由席並みの値段にまで下がる。旅行プランの方は自由席よりもさらに安い。予約の変更ができない、後続の自由席にさえ乗られないという制約があるため、かなりお得な金額になっている。
その分のデメリットがあるのは確かだが、指定席にも安い料金で乗れる方法があるのはまったくの事実である。