出身地、出生地、地元、故郷のそれぞれの言葉の意味と違いについて分析。生まれた場所、住んでいた時期・年数から考察する。
いずれも類義語ではあるものの、使い方は4つそれぞれやや異なる。
さらに、初めて会うような人との会話で地元ネタを話す際に、地名や地域を都道府県で言うのか、それとも市町村で言うかでも差異は見られる。
出身地/出生地/地元/故郷の違い
言葉 | 住んでいた時期の基準 | 意味 |
---|---|---|
出生地 | 0歳の時点 | 生まれた場所。 |
出身地 | 6-15歳の間で最も長く過ごした場所 | 生まれた又は育った場所。 |
地元 | 18歳(高校卒業)の時点で住んでいた場所 現在住んでいる場所 |
住むまたは勢力を及ぼす地域。 |
故郷 | 0-18歳までに最も長く住んでいた場所 | 生まれ育った、かつ愛着のある場所。 |
出身地/出生地/地元/故郷の違いは上の表の通りになる。
なお、いずれの場合も都市部・地方部の違いはない。該当する地域が都会であっても田舎であっても使える単語である。
出生地
「出生地」は最も限定される言葉である。その人が生まれた場所を示す。
母体から出てきた時点でいたところの場所を指す。通常は国、都道府県、市町村のいずれかで答える。
大抵の人達は病院で生まれるが、出生地はその病院の所在地が対象になる。
出生届を出した市町村役場が病院の所在地とは別の市町村であっても、出生地は病院の方を指す。
例えば、生まれて出生届が東京都下で出されたとしても、生まれた病院が埼玉県下だったのであれば、出生地は埼玉県になる。
ちょっとした話の話題になる地元ネタでは、この出生地はほとんど使われない。
出身地
「出身地」は義務教育を受けた場所の中で最も長い年月を過ごした場所を指す。つまり、小中学生だったころに最も思い出がある地域になる。
公立中学校を卒業した人であれば、基本的にはその中学校の所在地で答える。
高校卒業後でも、「出身地はどこですか?」と尋ねられた場合には、中学校の所在地を回答するのが最も相応しいと考える。
全国各地から進学者が集まってくる大学に進学した後、あるいは就職して社会人となってからでも「出身地」は中学校の所在地で答えるのがほとんど。
なお、親が転勤族だったなどで幼少期から何回も引っ越しを繰り返してきた人の場合は状態が異なる。
この場合は、決定的な基準となる明確な場所が浮かびにくい。
複数の地域で過ごしてきたのであれば、中学校卒業の時点での場所よりは義務教育を最も長く受けた場所が該当するだろう。
具体的な例を挙げる。
小学1~6年生までは東京都、中学生の時は大阪府に引っ越し、高校時代も大阪府で過ごした場合でも、「出身地」は小中学時代の最長年の6年間を過ごした東京都のようになる。
地元
「地元」には使い方が様々であるが、ちょっとしたおしゃべりである「地元ネタ」での使い方は概ね2通りになる。
1つ目は、18歳の時点で住んでいた場所である。つまり、高校卒業時点の居住地が該当する。
全国各地から進学者が集まってくる大学に進学した後、あるいは就職して社会人となってからでも「地元」と言えば高校の所在地を示すのがほとんど。
なお、親が転勤族だったなどで幼少期から何回も引っ越しを繰り返してきた人でも、「地元」は卒業した高校の場所で答えるのが一般的。
出身地のように最も長い年月を過ごした地域で答えるのは少ない。
2つ目は、今現在住んでいる場所である。
特に30~40歳以上になって学生時代を過ごした場所よりも社会人として過ごしている今の現住所の場所で暮らしている年月が長い場合、あるいは土地勘が十分付いている場合では、「地元」はかつて住んでいた場所とはならない。
かつて学生時代に過ごした場所の方が「地元」ではなく「出身地」という表現の方が正しいだろう。
自分の住んでいる地域に関する話をする場合にも、現住所を「地元」という言葉を使える。
故郷
「故郷」は生まれた育った場所で、なおかつ愛着のある場所を示す。訓読みは「ふるさと」。
基本的には「出身地」とほとんど同じ意味になる。ただ、特定の時期において住んでいた場所ではない。
最も成長幅の大きい小中学時代に限らず、生まれてから高校を卒業するまでに最も長く住んでいた場所が「故郷」となるだろう。
そして、他の3つの言葉と一番違うところは愛着の有無である。
故郷と言えばプラスの感情を持っていることが大前提になる。
もし自分の生まれ育った場所が興味関心がない場所または嫌いな場所であったならば、無理して「故郷」だと捉える必要はない。
『ふるさと』という曲の「うさぎ追いしあの山」と歌詞にあるように、故郷というのは「懐かしいもの」といった感じにプラスの感情を持つ場合に限って表現される。
なお、故郷というと地方の田舎のイメージをする人が多いが、大都会の地域でも特に問題なく使える。
分かりやすく違いを解説すると
~事例:Aさん~
6歳:富山県砺波市立東部小学校入学
12歳:富山県砺波市立庄西中学校入学
15歳:〃卒業
15歳:富山県立高岡西高校入学
18歳:〃卒業
18歳:静岡大学入学(居住地は静岡市)
30歳:静岡市在住
このAさんの場合、出身地/出生地/地元/故郷は次のようになる。
- 出身地:富山県砺波市
- 出生地:生まれた病院の所在地
- 地元:富山県砺波市、静岡県静岡市
- 故郷:富山県砺波市(愛着がある場合に限る)
生まれてから高校卒業まで一貫して同じ地域に住んでいた場合でも、いずれの4つの言葉の使い方にはやや違いがある。
※有名YouTuber「はじめしゃちょー氏」を参考にしつつもあくまでも架空の人物。