海岸線と接していない「海なし県」の数は全部で8つある。該当するのは、栃木県・群馬県・埼玉県・山梨県・長野県・岐阜県・滋賀県・奈良県。内陸県とも呼ばれている。
それぞれの都道府県のメリットとデメリットについても調査。そして、互いに社会的なステータスを比較した場合の優劣を序列化してみた。
全体的に知名度の面では低い県が多いものの、イメージと実際の実情についても解説しよう。
海なし県の一覧
都道府県 | 県庁所在地 | 所属する地方 |
栃木県 | 宇都宮市 | 関東 |
群馬県 | 前橋市 | 関東 |
埼玉県 | さいたま市 | 関東 |
山梨県 | 甲府市 | 甲信越 |
長野県 | 長野市 | 甲信越 |
岐阜県 | 岐阜市 | 中部 |
滋賀県 | 大津市 | 近畿 |
奈良県 | 奈良市 | 近畿 |
栃木県
栃木県は海岸線と接していない「海なし県」の中でも特に知名度が低い都道府県。
東は茨城、北は福島、南は茨城・埼玉、西は群馬県と接している。
主な観光地は、日光・那須高原が代表的。
メリットといえば、世界遺産である日光東照宮があること、東北新幹線があることがあげられる。
デメリットとは、知名度そのものが低いこと、方言が訛っていることがあげられる。
群馬県
群馬県もまた栃木県と同じように「海なし県」の中でも知名度が低い。
主な観光地は富岡製糸場・尾瀬・草津温泉が代表的。
地図上での形状も栃木県と似ていること、地理的に近いことがその理由に上げられる。
メリットといえば、世界遺産である富岡製糸場があること、上越新幹線が走っていることがあげられる。
デメリットとは、知名度が低いこと、他県を圧倒する特徴がないことが当たる。
埼玉県
埼玉県は「海なし県」の中ではもっとも大都市圏に位置する。唯一政令指定都市を持つ県でもある。
しかし、目立った観光地がないことで有名。「ダサいたま」と呼ばれるように、魅力に欠けているといわれている。
それでも大都市圏ということで知名度は北関東の2県と比べると大幅に高い。
メリットといえば、首都東京と接することで大都市というステータスがある点だろう。
デメリットとは、観光地がないこと、「ダサいまた」というジョークがあるほど良いところが少ないことがあげられる。
山梨県
山梨県は「海なし県」の中でも中位クラスに入る。
観光地として、日本一標高が高い山である富士山、絶叫マシンがそろう遊園地「富士急ハイランド」があげられる。
特産品としてもぶどうや桃などの果実の生産地として知られている。
関東地区に近いような性質もあるが、首都圏へ行くためには山を超えないといけないことがネックとなっている。
メリットといえば、距離的には東京都心から100km程度として比較的近いこと、富士山というシンボルがあり、富士急ハイランドという全国的に有名なレジャー施設がある点だろう。
デメリットとは、新幹線が通っていないことで交通の便が良くない、大都市圏から距離の割には遠く離れていると感じさせる点だろう。
長野県
長野県もまた「海なし県」に入るが知名度は高い。都道府県別の魅力度ランキングではトップクラスに入ることが多い。
特徴としては山々が広がっていることで、都会とは大きくかけ離れているものの、その景色が美しいというイメージが強い。
主な観光地として、軽井沢・立山黒部アルペンルート・上高地などがあげられる。
1998年に長野冬季オリンピックが開催されたことでも知られている。
メリットといえば、美しい山々で魅力度が高い点、北陸新幹線が開業してことで県庁所在地の長野市の利便性が向上したことがあげられる。
デメリットとは、大都市圏ではないため生活に不便な地域が多いこと、どこへ行くにも山を越えないといけない点が該当する。
岐阜県
岐阜県もまた長野県と同じように山が多い「海なし県」に該当し、知名度も比較的高い。
同じくひたすら山間部がほとんどを占めている一方で、岐阜市などのような南部は名古屋都市圏に所属する。
いわゆる「ド田舎」という印象は小さい。
主な観光地は白川郷・飛騨高山・下呂温泉などが有名。
メリットは、南部が名古屋都市圏に属することで田舎という印象が小さいこと、世界遺産の白川郷をはじめ観光地が豊富にあることである。
デメリットとは、県の南北を結ぶ鉄道網に乏しいこと、道路網もそれほど発達はしていないことがあげられる。
滋賀県
滋賀県は琵琶湖があることで海に接すると思っている人が少なくないが、実際には海岸線と接していない。
県の全面積の半分程度は琵琶湖が占めている。そのため、知名度は全国的に高く、滋賀県の場所がわからないという人はほとんどいない。
観光地も琵琶湖に関連するスポットが該当する。
交通の便のかなり良い。東海道新幹線が走っていて、県内を通して高速道路網も整備されている。
メリットとは、京阪神を中心とする関西都市圏に所属することで大都市に近いこと、琵琶湖があって知名度が高いことになる。
デメリットに関しては、滋賀県の場合は特に大きい点が見当たらない。あえて挙げるとすると、世界遺産クラスの観光地がないところだ。
奈良県
奈良県もまた近畿地方の「海なし県」に入る。四方八方はひたすら山で囲まれている。
滋賀県とは違い、奈良県は世界遺産の法隆寺、東大寺などの古都奈良の文化財、吉野山などの紀伊山地の霊場と参詣道の3地区が立地している。
京都府と並んで国際的な観光スポットに恵まれている。
交通の便に関しても、鉄道はJR・近鉄の各線が各地を走っているため利便性がよい。一方の道路網は南北を結ぶ高速道路に未開通区間が残ることで発展途上である。
メリットといえば、世界遺産が豊富で観光地に恵まれている点が代表的。
デメリットは、大都市である大阪と行き来するために生駒山地を超えなければならず、地形的に分断されている点があげられる。
海なし県の序列
さて、海なし県の8県の社会的ステータスで序列化すると、ランキングは以下のようになる。
海なし県の序列の順位
- 埼玉県
- 長野県
- 奈良県
- 滋賀県
- 岐阜県
- 山梨県
- 群馬県
- 栃木県
基本的に都市化の有無と観光スポットの有無と大きく関連する。
これに知名度、交通の便の良さ、独自力のある特徴の有無を考えると、上記のような順位になった。
埼玉県は観光地には乏しいのは否定できない一方、東京のすぐ北で大都市圏に位置することが圧倒的に印象的で、今回のランキングでトップと考えた。
群馬県・栃木県は全国的にも知名度が低く、いずれも同じような特徴を持つことが好印象の対象になる要素に欠け、序列の中でも下位になった。
各県のメリットとデメリットのまとめ
<海岸線がない都道府県の長所と短所> | ||
都道府県 | メリット | デメリット |
栃木県 | 観光地に日光(世界遺産)、那須高原がある 東北新幹線が通る |
知名度が低い 関東地方では方言の訛りが強い |
群馬県 | 観光地に富岡製糸場(世界遺産)、尾瀬、草津温泉 上越新幹線が通る |
栃木県と並んで知名度が低い |
埼玉県 | 東京圏(首都圏)で大都市部に入る 東北・上越・北陸新幹線が通る(東北方面の玄関口) |
「ダサいたま」といわれるほど強みがない |
山梨県 | 富士山、富士急ハイランドがある ぶどう・桃などの特産品が目立つ |
首都圏に行くのが距離の割に不便 |
長野県 | 山々の景色が綺麗 観光地に軽井沢、上高地、立山黒部アルペンルート |
四方八方が山間部 大都市部からの遠く離れている |
岐阜県 | 南部は名古屋都市圏 観光地に白川郷・飛騨高山・下呂温泉 |
中部・北部の交通の便が悪い |
滋賀県 | 日本一大きい湖:琵琶湖がある 関西都市圏 |
目立った点はなし |
奈良県 | 古都奈良(世界遺産) 関西都市圏 |
大阪と行き来するには山越え |
海なし県に該当する8県のメリットとデメリットを一覧化して表にすると上記のようにまとまる。
あくまでも私見の部分も多いものの、各県の特徴を列挙するならこのようになる。
都道府県の魅力度で言うなら、西日本が高くて東日本が低いという「西高東低」型の傾向があるのも否定できない。