鉄道の混雑率の数値ごとの目安を一覧にする。100~250%の範囲にてそれぞれの体感した時の感想は全く異なる。同じ満員電車でも、数値が高いほど窮屈感が増すのは言うまでもない。
電車の混み具合を表した指標で「通勤ラッシュのピーク時にどれくらい混んでいるのか」を示す。大都市圏の主要な鉄道路線では国土交通省が毎年混雑率のデータを公表している。
ただし、「混雑率≠乗車率」ではない。混雑率はあくまでも輸送人員(運行列車の乗車定員)を乗客数で割った数に過ぎない。つまり、改札を通過する人数で計算している。乗車率は1つの列車ごとが単位になるので、話はまた別物と言える。
混雑率の目安
混雑率の目安については、上の図のような感じになる。
混雑率の数値 | 具体的な目安 |
---|---|
100% | 乗車定員。乗客の誰もが吊革・手すりにつかまれる。
ドア付近でも空間に余裕があり、リュックを背負って乗ることも可能。 |
130% | ドア付近では窮屈感がある。吊革・手すりにつかまれない人もいる。
リュックを背負って乗るのは不可能、下ろす必要あり。 |
150% | ドア付近だと他の人と触れるか触れ合わないかスレスレ。スマホの操作は可能。
車内奥はまだ余裕がある。新聞や雑誌はドア付近は読むのが無理。 手荷物は他人に触れる。スーツケース・キャリーバッグは持ち込む困難。 |
180% | 超満員電車のレベル。ドア付近は完全に乗客同士が触れ合う。
スマホの操作はドア付近は不可能、車内奥なら可能。 車内奥でも吊革・手すりにつかまれない人もいる。 |
200% | 車内奥もぎゅー詰めの状態。ドア付近は完全に乗客同士で押し合う。
完全に超満員電車で積み残しが発生。 スマホの操作は車内どこにいても難しい。 |
250% | 身動きが取れないレベル。スマホの操作は物理的に不可能。
途中駅では積み残しが発生。 東南アジアの満員電車の様子。 |
主要路線の混雑率は、首都圏では150~200%、関西圏は100~150%がボリュームゾーン。
混み具合を表す際の目安になるのが次の4点である。
- リュックを背負って乗れるか
- 新聞や雑誌を読めるか
- スマホの操作ができるか
- 乗客同士が触れ合うか
混雑率の数値が高くなるほど、これらのうちの不可能と判断される内容が増える。
100%(乗車定員)
<混雑率=100%> | |
判断材料 | 判定 |
リュックを背負って乗れるか | ○ |
新聞や雑誌を読めるか | ○ |
スマホの操作ができるか | ○ |
乗客同士が触れ合うか | ○ |
混雑率が100%の路線の場合、車内では全員が吊革・手すりにつかまれる。
人口密度が高くなりやすいドア付近でも何かにつかまって自分の体を支えることができる。
座席がすべて埋まるため座れないのはやむを得ない。それでも人と接するような光景とは無縁の世界ではある。
リュックを背負って電車に乗ることも可能。荷物が他の乗客にぶつかる心配もまだない。
130%(ドア付近が密集)
<混雑率=130%> | |
判断材料 | 判定 |
リュックを背負って乗れるか | △ |
新聞や雑誌を読めるか | ○ |
スマホの操作ができるか | ○ |
乗客同士が触れ合うか | ○ |
混雑率が130%の路線の場合、車内奥では全員が吊革・手すりにつかまれるが、ドア付近では乗客が密集することで手すりなどにつかまれない人が発生する。
ドア付近に立っているのであれば、停車駅で降車客がいるといったんホーム上に降りる必要がある。
他の人と体が接することはない。手荷物がドアに挟まれることもまだ起こらないレベルである。
ただし、リュックを背負って電車に乗るのは難しい。車内奥なら問題ないこともあるが、ドア付近は不可能。
リュックが他の乗客にぶつかる心配がある水準に達している。
150%(車内奥も密集)
<混雑率=150%> | |
判断材料 | 判定 |
リュックを背負って乗れるか | × |
新聞や雑誌を読めるか | △ |
スマホの操作ができるか | ○ |
乗客同士が触れ合うか | ○ |
混雑率が150%の路線の場合、ドア付近のみならず車内奥も完全に密集状態になる。
車内奥でも全員が吊革・手すりにつかまれるのはできない。ドア付近は他の人と接するか接しないかのギリギリのラインになる。
人口密度が高くなりやすいドア付近では、少しでもバランスを崩すと他人にぶつかる。新聞や雑誌を呼ぶのは物理的にはできるがためらう水準に入る。タブレットの操作も同じ。
スマホは端末が小さいため、ドア付近でも問題なく行える。それでもイヤホンの音漏れは要注意のレベルである。
リュックを背負って電車に乗るのは絶対に不可能。手荷物が他の乗客に接する可能性は高い。
スーツケース、キャリーバッグ、ベビーカーも電車内に持ち込むのは難しいレベルでもある。
180%(他の人と接する)
<混雑率=180%> | |
判断材料 | 判定 |
リュックを背負って乗れるか | × |
新聞や雑誌を読めるか | × |
スマホの操作ができるか | △ |
乗客同士が触れ合うか | × |
混雑率が180%の路線の場合、乗客同士が触れ合う水準に達する。「超満員電車」と表現できる目安でもある。
ドア付近では完全に他の人と接する。少し押し合わないと、ホーム上にる乗車客が乗り切れない。
車内奥でも全員が吊革・手すりにつかまれるのはできない。どこにいても新聞や雑誌を呼ぶのは困難。タブレットの操作も難しい。
車内奥なら乗客同士が触れ合うほどではないが、少しでもバランスを崩すと他人にぶつかる。空間にまったく余裕がない。
スマホの操作はドア付近では不可能に近い。端末が他の乗客にぶつかるリスクがあり、混雑率180%の電車では避けたい。それでもイヤホンの音漏れは要注意のレベルである。
車内のどこにいても手荷物が他の乗客に接する可能性は高い。体積が大きいものは確実に接触するだろう。
スーツケース、キャリーバッグ、ベビーカーだと電車内に持ち込むのは物理的に不可能。
200%(他の人と接する)
<混雑率=200%> | |
判断材料 | 判定 |
リュックを背負って乗れるか | × |
新聞や雑誌を読めるか | × |
スマホの操作ができるか | × |
乗客同士が触れ合うか | × |
混雑率が200%の路線の場合、車内奥でさえ乗客同士が触れ合う水準に達する。「超満員電車」の中でも代表的な存在にもなり得る。
ドア付近では乗客同士が押し合う。電車に乗る混むためにはすでに乗っている人を無理矢理押さないと乗れない。押し屋も登場する。
混雑による電車の遅延も発生する。乗降客数が多い主要駅の手前では電車の渋滞が発生することが目立つ。
吊革・手すりにつかまれない人も多い。運良く座席に座れた人でさえ窮屈感を感じる。
スマホの操作は車内のどこにいても不可能。混雑率200%の電車では自分の腕を動かすことすら困難。
手荷物は潰される可能性さえある。圧力に弱いものがバッグに入っている場合は電車には乗れないと考えてよい。
乗車率と混雑率の違い
乗車率と混雑率の違いをまとめると、次のようになる。
- 乗車率=1列車ごとの定員に対する乗客の人数の割合(単位は1列車)
- 混雑率=輸送人員に対する乗客の人数の割合(単位は路線全体)
混雑率はあくまでも路線全体で見た場合のデータに過ぎない。根拠にするのは駅の改札を通過した人数と電車の運行本数とその乗車定員である。
目視的な要素はない。あくまでも改札から得られたデータを基に算出している。
したがって、種別ごとの混み具合が違う路線では実際の電車内の状況と混雑率の目安に書かれた内容では違うことが多い。
乗車率は1列車ごとに分けて見た場合のデータになる。根拠とするのは目視による観察にとどまる。
混雑率ほど信頼性はないものの、種別ごとの混み具合を表す上では有効的な手段である。
例えば、混雑率が150%の路線において、乗車率は各駅停車で120%、快速で180%ということもある。
乗車率の数値ごとの目安に関しては「混雑率」のものと同じになる。180%ならドア付近で乗客同士がぶつかるレベルになる。