JR横浜線において10両編成化して今よりも長編成化させるべきという意見が存在する。これが実現する可能性は決してゼロではない。
朝夕の通勤ラッシュの混雑が激しくなっていて、供給力が不足気味になっているのは確か。日中の昼間は問題ないものの、ピーク時になると輸送力が足していない。
横浜線が乗り入れる東神奈川~桜木町は京浜東北線と同じ線路を走るため駅のホームが10両編成に対応している。今の8両編成を長くするのも不可能なことではない。
10両化の実現性は低い
とはいえ、横浜線の10両化の実現性はかなり低いといわざるを得ない。設備の改良コストや用地買収、車両の製造代金を考えると需要には合わない。
朝夕の通勤ラッシュの混雑についても、横浜線が混んでいるのは否定できないが、これよりもさらいひどいところがある。南武線や中央線快速はさらに事情が悪い。
長編成化のために必要な施策 | 問題点 |
信号設備の改良 | 大規模な事業になるため莫大なコストを要する |
駅ホームの延長 | 追加で用地買収が必要になる |
車両の増結 | +2両分の増結が必要で、車両の更新が必須に |
横浜線を8両→10両にするだけでも、問題点は上の3点が出てくる。いずれも莫大なコストと長い月日を必要とする内容である。
信号設備の改良
信号設備の改良については、横浜線はそもそも8両編成を前提して作られている。進行・警戒・停止の灯火だけでなく、運行システムもこれに合わせて作成されている。
増結するとなると、全線にわたって信号設備などを見直すことが求められる。新線開業ほどまではいかないものの、ATSからATCへ変更するのと同じくらいの労力が必要になる。
横浜線よりも混雑がひどいところが存在する現実を考えると、とても実現性が高いとは言えない。
駅ホームの延長
10両編成に対応している駅ホームはあくまでも京浜東北線・根岸線内の区間に限られる。横浜線単独の区間だと、長いホームを持っているのは町田駅と八王子駅くらいになる。
それ以外は完全に8両編成にしか対応していない。したがって、仮に長編成化が実現できたとしても、それには駅構内の改良工事が必要になる。
追加で用地を買収しなければならず、莫大なコストがかかるのみならず、売却に反対する地主がいると凍結状態になってしまう。
車両の増結
現在、横浜線ではE233系の8両編成で運転されているが、もし追加で増結するとなるとすべての編成で更新工事を行わなければならない。
その間は車両数の不足も想定される。すでに混雑が激しい状態になっていることを考えると、減便はまず現実的ではない。
旧式の205系はすでに引退済みであるため、もはや導入できる余地はない。新型車両の投入が急がれている路線がほかにあることも考慮すると、横浜線に増結分の車両を製造する余裕があるとはいいがたい。
>>【JR横浜線】なぜグリーン車はない!? 導入予定もないのか?
南武線よりは簡単だが
南武線でも同じように長編成化が求められている。こちらはさらに、沿線の自治体を上がてまで輸送力の強化が要求されている。
>>【JR南武線】8両化または10両化の予定は? このまま6両編成か
横浜線よりもさらに混雑が激しく、しかも6両編成と短い。これにより、まずは8両編成にしようとする動きがある。
とはいえ、それでも計画は具体化されてはいない。駅ホームの延長が困難ばところもいくつかある。
莫大なコストと長い年月がかかるため、南武線でさえ実現には至っていない。
横浜線は南武線よりは多少用地には余裕がある。それでも、優先度は圧倒的に南武線の方が高い。ゆえに、今の8両から10両へ増結される見込みはかなり薄いと判断する。