日本郵便のゆうパックには時間指定ができるようになっているものの、その通りに届かないことが少なくない。ヤマト運輸や佐川急便と比較しても延着の確率が高く、遅れやすいといわれている。
近年は運送会社の人手不足が深刻な問題となっている。もともとは国営だった日本郵便も決してその例外ではない。
ゆうパックは、インターネットの通販の普及で荷物の量が増えたことに加えて、料金がヤマトや佐川よりも若干安いこともあり、ゆうパックを使う例が多くなっている。
ゆうパックが時間指定に送れる理由
主な理由 | 背景にある事情 |
人手不足 | 集荷・配達、および貨物の仕分け |
輸送網が未熟 | 日本郵便の主力は郵便事業 |
需要が供給を超過 | 貨物取扱量が増加 |
荷物の量が増えている一方で、それを運ぶ人が足りていないのが現状である。当然ながら、人手が不足すれば供給力が落ちる。供給力がなくなれば、時間指定に沿ったサービスの提供が難しくなる。
そして、ゆうパックの日本郵便ではこれが現実となっている。だから、時間指定の欄を送り状に記載しても遅れてしまうのだ。
>>日本郵便のゆうパックが「お届け予定日」を過ぎても来ない!?
輸送網が未熟
日本郵便の貨物の輸送網はあまり盤石なものではない。小包よりも手紙などの郵便の輸送が主力事業であることもあって、一般貨物の輸送に向いているというわけではない。
ヤマト運輸や佐川急便の場合、主力事業は貨物の運送である。宅配サービスがメインのサービスとなっているため、それに合わせた輸送網を築いている。
<日本郵便・ヤマト・佐川の違い>
- 日本郵便=郵便事業が主力
- ヤマト運輸=宅急便が主力
- 佐川急便=飛脚宅配便が主力
近年の通販による取扱量の増加により、それに対応するための設備投資にも積極的に取り組んでいる。仕分けの自動化やトラックの自動運転化にも挑戦している。
特にヤマト運輸は時間指定に厳しく、必着の傾向が一番強い運送会社である。そのため、時間指定をすればその該当する時間帯に荷物が届け先に到着する。
ヤマト運輸は時間指定なしの荷物も、基本的には最短所要日数で配達される。一方の日本郵便のゆうパックは時間指定なしの荷物は後に回されることもよくある。
>>ゆうパックの時間指定なしはいつ届く!? 何時の配達が多い?
佐川急便はヤマトほど時間指定が正確ではないものの、ゆうパックよりは定刻通りに宅配されることが多い。
輸送網があまり良くないことに加えて、設備投資にも消極的となっているため、遅配の改善が進んでいない理由となっている。
安い運賃だから荷物が殺到
ゆうパックの運賃がヤマトや佐川よりも安いことにより、他社と比べて荷物の量がさらに多くなっているのも時間指定が正確にならなくなっているのも否定できない。
個人あての宅配を行っているのはゆうパック・ヤマト・佐川の3社が中心となっている。
個人向けの輸送運賃は定価であるため、3社でも料金に違いはほとんどない。一方の大口荷主になる法人向けだと割引運賃で荷受している。
会社 | 法人契約の値段 | 概要 |
ヤマト運輸 | ★★★★★ | 割高 |
佐川急便 | ★★★ | やや割安 |
日本郵便 | ★★★ | やや割安 |
西濃運輸 | ★★ | 割安、企業向け特化 |
福山通運 | ★★ | 割安、企業向け特化 |
第一貨物 | ★★ | 割安、企業向け特化 |
ヤマト運輸は法人向けでもやや割高な傾向にある。一方の佐川急便と日本郵便のゆうパックは割安なところが多いようだ。
各郵便局によって対応は異なるが、荷主獲得のために値下げ競争が過熱しているのは確かだろう。
西濃運輸や福山通運でも一応は実施しているものの、個人宅配は運賃の面で不利に設定されている。
ゆうパックへ集中することで需要が過剰気味になっている。これに人手不足が拍車をかけているという形が完成し、ますます遅れやすい原因となっているというわけだ。
アマゾンはヤマト運輸を中心に使っているものの、楽天市場やヤフーショッピングで買い物をするとゆうパックや佐川が多い。運賃が安いから通販事業者はゆうパックを好む。