JR西日本の在来線の代表格ともいえる「新快速」であるが、首都圏の路線のようなグリーン車は連結されていない。最大で12両編成となっているが、すべて普通車のみとなっている。
新快速として運用される車両は223系または225系であるが、どちらにもグリーン車は全く存在しない。2階建ての車両も一切ない。
特急列車には自由席・指定席に加えてグリーン車が連結されている。新幹線についても同様だ。しかし、在来線の普通列車・快速はすべて誰でも追加料金なしで乗れるようになっている。これは、首都圏と大きく違うポイントだ。
関西にグリーン車はいらない?
大阪を中心とした関西さらではの文化として、多くの人が快適性よりも価格の安さを重視する傾向がある。少なくとも東京よりは安さを追求する人が多い。
グリーン車があったとしても、同じ列車に乗れば所要時間は同じである。
座れることを重視したとしても、もし追加的な料金がかかるのであればそれを犠牲にしてまで安い普通列車で座れない状態で我慢しようとする人が多いようだ。
このため、関西を地場にするJR西日本では新快速電車をはじめ、普通列車には追加料金がかかるグリーン車が連結していない。
転換クロスシート
もっとも、JR西日本の在来線にグリーン車がない理由は関西ならではの文化だけではない。近畿地方ならではの鉄道事情も要因の1つに挙げられる。
関西の鉄道路線を地図上で見ると、ほとんどのJR路線にはそれと並行して走る私鉄が存在する。
京都、神戸、奈良、和歌山、宝塚方面へ延びる各線にはそれぞれ並行する私鉄が走っている。
つまり、並行する私鉄各社とJRでは競合しているというわけだ。利用者を奪い合う構図になっていることから、どうしても速達性と安さが勝負のカギとなっている。
しかし、それだけでは差が付きにくいため、JR西日本では転換クロスシートを遠距離を移動する車両には設けてある。
首都圏のJR東日本線では近郊型車両であってもほとんど横向きに座るロングシートとなっている。
競争の激しい関西では乗客に対して快適性も提供しなければならない事情から、転換クロスシートを一般の車両にも導入している。
これにより、グリーン車ならではの縦向きに座る快適さを実現しているのである。