現在のJR南武線の1編成あたりの車両数は6両となっている。これは、JR東日本が管轄する首都圏の主要な路線の中では短い。一方、ラッシュの時間帯の混雑はトップクラスに入るほど酷い状態となっている。
需要が大きいということで、南武線では8両編成化するべきであるという意見も多い。さらには、10両編成まで頑張って増やすべきだという声もある。
以前から、南武線では朝ラッシュの混雑の緩和のために、車両数を増やして8両編成化しようという動きが見られてきた。しかし、未だに具体的な策が取られていない。
本当に8両化または10両化される予定はあるのか。それとも、このまま半永久的に6両編成のままの状態が続くのか。
駅ホームを延ばすのは難しい
南武線の各駅のホームの有効長は6両分しかない。8両編成にした場合、2両分はホームにつけないこととなる。10両編成となれば、さらに無理をすることとなる。
8両編成に対応できるようにホームの長さを延ばす計画も存在する。しかし、中にはそれが難しい駅もある。
南武線ではほとんどの区間が地上を走る。連続立体交差事業が完成している部分はあまりなく、踏切の数が非常に多い。
そして、駅のホームの両端に踏切があるところもある。こうした駅では、踏切を移動させるか通行止めにしない限り、ホームの長さを延長されることはできない。
具体的な例をあげると、津田山駅においては、ホームの両端のすぐそばには踏切がある。6両編成分の長さを8両編成にするために延ばすことはかなり不可能に近い。
周辺の交通に支障を与えることなくホームの有効長を延ばすのであれば、連続立体交差事業を進めるしかない。
連続立体交差事業の予定もない?
今のところ、JR南武線では尻手~武蔵小杉~武蔵新城、稲田堤~府中本町の区間で連続立体交差事業が整備または事業化されている。
それ以外の区間では地上の平地を走る形となっている。現時点では、連続立体交差事業の具体的な計画の実施は行われてはいない。
踏切があるのは地上部であり、ホームの有効長を今以上に延ばせないのも、この連続立体交差事業が予定されていない部分にある。
ホームの有効長を延長できないとなると、8両編成化するのはできない。ドアカットを行うという案もあるものの、ホームの長さが足りない駅では乗客の乗り降りができないため、車両による混雑度の違いが出てくる。
混雑が緩和されるかというと、その保証はない。したがって、当面は今の6両編成の状態が続くだろう。