【考察】なぜ南武線の混雑は酷いのか? 大人の事情を解説

混雑する朝ラッシュの南武線

南武線の酷い混雑の理由とは、直接的には川崎市内をはじめとする周辺の人口増加と6両編成という輸送力不足の状態。

しかし、これには色々と間接的な事情がある。

首都圏では基本的に10両編成で運転されている路線がほとんど。混雑率トップ勢であればこれが当たり前。

そんな中で南武線だけが輸送力増強という混雑緩和の対策が講じられないからには理由がある。


都心直結路線ではないのに

◎南武線の特徴

  • 都心直結ではない
  • 混雑率が184%(2018年データ)
  • 車内では手や体を動かせないレベル。スマホの操作が不可能。

参考:南武線の朝ラッシュの混雑状況を時間帯・区間ごとに調査!

南武線は単独では東京都心へは直結していない。

主に神奈川県内のアクセス手段という性質が強い。そのため、郊外のベッドタウンから都心への足というわけではない。

しかし、実際には都心直結の路線並みの混雑度となっている。

東京メトロ東西線や東急田園都市線、中央総武線と大差ない。

具体的な混雑の度合い

混雑率の目安

混雑率の目安
出典:国土交通省HP

>>【レベル別】鉄道の混雑率の目安! 数値ごとの体感

国土交通省が公表している各路線の混雑率の最大値を見ても、南武線では毎年190%に近い数値を出している。

2015年データでは混雑率190%、2018年データでは184%。ここ3年間で若干ではあるが混雑は解消していることが統計から読みとれるものの、それでもまだ首都圏でも上位勢。

混雑の目安を具体的に言うと、「人と人が接するほど」の混み具合である。

ドア付近に立てば、ほぼつり革や手すりにはつかまれない。スマホの操作も難しく、乗車中は手や体を動かすことができないというレベルだ。

これが起こる具体的な区間は武蔵中原→武蔵小杉。朝ラッシュであればホーム上にいる人達が全員乗り切れないレベル。

改善が求められている

南武線の混雑解消という課題は沿線の住民に限った問題ではなく、国としても対策が必要だとの認識を持っている。

2016年4月に実施された国土交通省・交通政策審議会の「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」が答申した鉄道網の整備指針では次のような文言が出た。

例えば相模線、南武線等の輸送サービスの改善に資するプロジェクト等については、関係地方公共団体・鉄道事業者等において、検討が進められることを期待

要するに、南武線の混雑緩和にために大規模な設備投資を行うのが好ましいという見解である。

人口増加が原因?

川崎市の人口統計

上記は川崎市人口の推移を示したグラフ。読み取れるのは、川崎市内はひたすら人口が増加しているという点。

川崎市内の人口増加

南武線内では川崎~稲田堤間の駅が川崎市内に位置する。

最近は武蔵小杉が住みたい街ランキングで第1位を獲得するなど、人気を集めている。そんな背景から、南武線の沿線は全体的に人口が増える傾向にある。

最も混雑が激しい区間も武蔵中原→武蔵小杉間となっている。乗車率は190%近くまで達するのはこの部分である。

また、南武線は都心の周辺の地域だけを走っていることもあって、上下線のどちらも混雑が激しい。川崎方面に行く電車も、立川方面へ行く電車も朝ラッシュの時間帯は混雑している。

しかし、特に混雑が激しいのはこの武蔵小杉駅の周辺のエリアである。武蔵溝の口~武蔵小杉の区間において、特に乗客が集中する。人口が多くて輸送力が不足気味になっているのは確かである。

武蔵小杉駅では、JR横須賀線や東急東横線・目黒線に乗り換える人が一定数いるため、ある程度乗客は降りていく。そこから川崎駅側は少しは緩和される。

ただ、川崎駅に近づくにつれて、電車は再び混雑が激しくなる。今度は川崎駅にて東海道線、京浜東北線に乗り換える人や京浜工業地帯へ出勤する人で混雑し始める。

6両編成は短すぎる

南武線ではどの列車も6両編成で運転されている。

首都圏のJRとしてはかなり短い。都心部に近い地域を走る路線では、現在では10両編成が主流である。しかし、南武線は最長で6両までしか対応していないのが現状。

朝ラッシュの時間帯である7時台と8時台の運転本数は、2~3分間隔となっている。山手線並みの本数が確保されている。

しかし、現実を見るとそれでも足りていない。その原因が、6両編成と1列車当たりの輸送力が少ないからだ。

もし8両編成または10両編成ができたら

仮に、南武線において6両編成から10両編成にすれば、今の朝の激しい混雑は大幅に緩和されるだろう。8両編成化であっても、輸送力は25%増えることから結構和らぐ。

とはいえ、現実的には6両編成から増やすのはかなり難しい。ホームの増設ができない駅も少なくない。駅の両端に踏切があるようなところだと、ホーム長の延長は不可能に近い。

そんな現状から、当面は今の乗車率がピークで180~190%という状態は改善される見込みがない。

>>【JR南武線】8両化または10両化の予定は? このまま6両編成か

ホーム延長を妨げる踏切

南武線の踏切

南武線が走る地域は住宅密集地。

周辺にはいくつも道路があることで、駅周辺も踏切が多数ある。

編成を延ばすにはホームを延ばす必要がある。しかし、すぐ近くには踏切が存在することで、今よりもさらに延長させるのが不可能な駅がいくつかある。

代表的なのが津田山駅。川崎側も立川側も踏切がすぐそばにあることで、1両分すら延ばせない。

踏切道の移設を行うには、自治体などの協力が必要だが、移設には用地買収などが必要になるため、現実的には不可能に近い。立ち退きを要請するのはかなり難しい。


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