JR南武線にはいわゆる「開かずの踏切」が多い。朝ラッシュの時間帯となる7:00~9:00までは上下線でそれぞれ2,3分間隔で電車が走っているが、これが原因で踏切がまったく開かないところがある。
特に駅の近くにある踏切は、すぐに電車が接近してしまうために他の場所よりもさらに踏切が鳴りっぱなしとなっている。

そんなわけで、南武線を横断する道路はどこも渋滞が生じている。閑静な住宅街でさえ、少しでも空いている道路を使おうとする人々であふれかえっている。
なぜそれほど開かずの踏切が多く存在しているのか。線路を高架や地下へ移せていない理由と、今後の連続立体交差化の計画についてみてみよう。
南武線は住宅密集地を通るから
南武線の沿線の特徴として、ほとんどが住宅街を通っしている。線路のすぐ脇には家屋が広がっている。しかも住宅密集地ということで、スペースにはまったくといっていいほど余裕が見えない。
武蔵野線などとは違って、南武線が開業したのは戦前。当時はまだ沿線が開発されていなく、線路は地上の平面上に作られた。
戦後の高度経済成長期に入ると、南武線の沿線は住宅街となり、大きく開発された。しかし、そのころもまだ連続立体交差化の計画はなく、踏切の存在は容認されていた。
人口が増加して電車の本数が増えたことで、南武線で「開かずの踏切」が出てくるようになり、踏切の遮断器が下りている時間の長さが問題視されるようになった。
この時点ではすでに手遅れだった。沿線に住宅街が広がった後のため、連続立体交差化するにしても高架にできる場所に余裕がない。
地下にするという案もあるが、地下化すると建設費用が膨大な金額に上がってしまうため、とても非現実というのが本音だろう。

一方で、道路の方をオーバーパスまたがアンダーパスにすればいいのではないかという意見もある。しかし、これもまた住宅密集地であることがそれを妨げている。
線路を跨ぐ橋を建設するとなると、追加で土地が必要となる。周辺の地権者がそれを了承する見込みは薄い。地下を通しても、結局は少なからずの追加で土地が必要となる。
そんな理由から、現在でも踏切のままとなっていて朝ラッシュの時間帯はほとんど閉まっている状態となっている。
現在は一部の区間で連続立体交差事業が行われている。だが、それでも全線に渡って立体化されるのは難しいだろう。今後も開かずの踏切は地域の車内問題であり続けるのではないか。
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東京都江東区在住。1993年生まれ。2016年国立大学卒業。主に鉄道、就職、教育関連の記事を当ブログにて投稿。新卒採用時はJR、大手私鉄などへの就職を希望するも全て不採用。併願した電力、ガス等の他のインフラ、総合商社、製造業大手も全落ち。大手物流業界へ入社。
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