JR南武線にはなぜグリーン車が連結されていないのか。E233系であっても、すべて普通車のみとなっている。有料列車もまったくなく、完全に通勤型車両が独占した路線と言えるだろう。
南武線の朝と夕方になると混雑が激しくなる。川崎~立川間を走る路線であり、東京都心部へ直結する路線ではないにも関わらず、南武線は首都圏の中でも有数の超満員路線である。
特に武蔵小杉駅付近の部分が最も混雑度が高い。6両編成しかないということで、輸送力が不足している感じが否定できない。長編成化させようという声も多いが、実現には至っていない。
グリーン車の連結も需要がないわけではないようだ。しかし、こちらも長編成化の議論と同じように、まったく現実化には至っていない。
なぜグリーン車がない?
- 輸送力の強化が最優先
- 長距離利用者が少ない
南武線では、グリーン車が連結できるほど余裕がない。6両編成しかなく、長編成化させる計画はあることにはあるが、ホームの有効長を伸ばせない駅があるため、工事が難しい。
路線の性質上の問題もある。グリーン車といえば、長い距離を移動する人が多く使うが、南武線は近距離利用者が主流の路線である。需要の問題もある。
快適性よりもまずは輸送力
南武線の最大の課題といえば、輸送力の強化である。午前7時半から8時半までの時間帯では、混雑度が190%近くに達するほどの混み具合になるものの、車両数は6両ということでとても短い。
南武線よりも乗車区の総数が少ないJR横浜線の方が、8両編成ということで長い。どちらもE233系が主力であり、南武線の方が明らかに供給力が追いついていない。
南武線の運行本数については、ピーク時は2、3分間隔で走っている。これは、山手線と同じくらいの本数の多さとなっている。線路容量は上限に達し、これ以上は増やせない。
グリーン車を連結するくらいなら、普通車を増やして混雑を緩和させる方が重要となるのは間違いない。
需要も少ない
さらに、南武線の場合はそもそも路線距離が短い。乗客のほとんども近距離利用者であり、長い間乗り続ける人は一部に限られている。
都心直結の路線との乗り換えができる途中駅も複数ある。武蔵小杉駅ではJR横須賀線、湘南新宿ラインと東急東横線、目黒線と接続している。
武蔵溝ノ口駅では東急田園都市線、登戸駅では小田急線、稲田堤駅では京王相模原線、分倍河原駅では京王線と接続している。
これらの路線を結ぶ役割を果たしていることで、長距離に渡って南武線の電車を使う人は少ない。
他の路線において、グリーン車に乗る乗客とは長距離利用者である場合がほとんどである。片道50km以上乗り続ける人が過半数ではないか。それに対して、南武線はそもそも35.5kmしか営業キロがない。
グリーン車が仮に連結されていたとしても、実際に使う人はほとんどいないかもしれいない。需要がないのも理由に挙げられるのは確か。