JR琵琶湖線において列車の遅延や運転見合わせが多い原因として、人身事故・悪天候・他の線区が挙げられる。
これらはダイヤが乱れる主要な3つの理由となり、他の路線と比べて定時運行が確立しにくい要因となっている。新快速・普通の2種別がメインな電車だが、いずれも事情は同じである。
今回は琵琶湖線(米原~京都間)ならではの事情について考察してみた。
琵琶湖線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
人身事故 | ★★★ | 踏切・駅構内の人身事故による運転見合わせ |
悪天候 | ★★ | 冬の積雪によるダイヤの乱れ、特に米原駅付近 |
他線区の影響 | ★★★★★ | 京都線・神戸線のダイヤの乱れの影響をダイレクトに受ける |
※琵琶湖線:米原~京都間の東海道本線 |
>>JRの東海道本線と京都線・神戸線、違いとは!? 名前が別の理由
琵琶湖線で遅延や運転見合わせの原因となるのは、上の3つが特に多い印象である。ほかの路線にも共通する点はあるが、独自の理由もある。
踏切や駅構内での人身事故
琵琶湖線は京都線や神戸線区間と比べると踏切が多い。特に複々線区間からは外れる草津~米原間では踏切がいくつも存在する。
地上の交通と直接接する部分になるため、自動車の立ち往生が発生するリスクが常にある。
さらに、人身事故まではいかなくても踏切内の無理な横断や線路内立ち入りも少なくない。危険を察知すれば電車は急停車せざるを得ない。
これだけでも数分は電車が遅れる原因になる。
さらに、駅構内での事故もある。ホームからの転落事故がそれにあたる。進入してくる列車に飛び込む自殺も少なくない。
琵琶湖線の最高速度は130km/hに設定されている。新快速などはここまでスピードを出すため、その衝撃はさらに大きくなる。
>>あの「新快速」が最高速度130km/hを出す区間はどこ?
琵琶湖線はホームを高速で通過する新快速や特急列車は走っている。特に前者は毎時3本程度運転されている。
これを狙って自殺する行為もまた遅延する大きな理由である。
冬の積雪による悪天候
琵琶湖線の西部、つまり大津付近は冬でも晴れている日が多い。雪が降ることはそう多くはない。一方の東部の米原駅付近は冬になると雪が多く降りやすい。
積雪になると徐行運転を余儀なくされることがしばしばある。東海道新幹線の関ケ原超えも事情は同じだが、雪がまとまって降ると普段通りの定時運行が難しい。
JR西日本の近畿エリアでも、この琵琶湖線の米原駅付近は雪による影響を受けやすい。しかもダイヤとしても運行本数が比較的多いこともあり、遅延の影響は大きくなる。
他の線区の影響を受ける
琵琶湖線ならではの遅延が生じやすい最大の原因といえば、他の線区の影響を受けやすいという点ではないか。
琵琶湖線の区間とは、東海道本線の米原~京都間であるが、そこを走る電車が米原~京都間の区間運転を行っているわけではない。
<琵琶湖線と直通する線区>
- 京都線(京都~大阪)
- 神戸線(大阪~姫路)
- 山陽本線(姫路~相生~上郡)
- 赤穂線(相生~播州赤穂)
ほとんどは大阪方面へ乗り入れる。新快速も普通電車(高槻駅から快速)も京都線・神戸線へ直通して、姫路駅や播州赤穂駅まで乗り入れる。
総延長で約230kmにもなる。琵琶湖線の米原~京都間は68kmしかないため、圧倒的に他の線区の影響を受けやすい環境にある。
京都線や神戸線内で遅延が生じることで、連動して琵琶湖線にも遅延が起きるという性質があるからこそ、実際に列車の遅延が多い理由というわけだ。