満員電車にベビーカーで乗ることは、可能な限り避けるべき。マナー的には確かに好ましくはない。鉄道事業者としては特に問題視していないものの、他人の目線は少なくとも良くない。
朝夕の通勤ラッシュで混雑する鉄道では、とにかく大量の乗客を乗せることが最優先される。大きな荷物を持っている人がいると迷惑な存在になることがしばしば。
ただし、ベビーカーと車椅子に関しては別問題とみなされる。車椅子は特に身体障害者ということで「やむを得ない」場合に該当する。
一方のベビーカーの場合は乗っているのが赤ちゃんで、わざわざラッシュの電車に乗る必要がないといわれるケースが見られる。持ち込みの是非もここから起因する。
目次
建前と本音:ベビーカーの持ち込みは賛否両論
建前としては満員電車であっても空いている電車であってもベビーカーの持ち込みは可能となっている。優先席と同じようにベビーカーのスペースが用意されている鉄道路線も増えている。
子育てにやさしい鉄道を作ろうという試みはされている。混雑した電車であっても、ベビーカーを広げたまま乗る子連れの乗客でもOKにしようと鉄道事業者ではしている。
乗客(通勤客)の声はかなりマイナス
ただし、やはり実際問題としては鉄道事業者の意思は表向きなものに過ぎないと感じる。周囲の乗客からすれば感覚はとてもマイナスなものになる。
<通勤ラッシュ時の電車へのベビーカー持ち込みの意見> | |
建前 | 本音 |
鉄道はさまざまな人々が利用する公共交通機関であり、ベビーカーに赤ちゃんを乗せて電車になる権利はある。
ベビーカーを折り畳むことを強制せず、むしろ広げたまま乗れるように優先スペースなどを設置することを推奨。 |
通勤ラッシュになる朝夕の混雑した満員電車では、可能な限り乗客が乗れるように心掛ける必要がある。
誰もが窮屈感を感じている以上、ベビーカーは畳んで乗るのが当たり前。無理やり広げて乗るのは周囲を圧迫して迷惑。 |
※周囲の乗客は嫌がるのは避けられない。特に子育て経験のない人はなおさら。 |
「キャリーバッグはダメ、ベビーカーはOK」という問題に
満員電車となれば、乗車定員を超えてまで大量の乗客が乗る。乗客隣同士の間隔はとても狭い。誰もが圧迫感を感じる。
そんな中でベビーカーで乗れば広いスペースを占領することになり、その分周囲の乗客が窮屈な思いをすることとなる。
性質は異なるとはいえ現実的にはスーツケース・キャリーバッグなどの大型荷物の持ち込みに関する意見と変わらない。
>>満員電車へのスーツケース、キャリーバッグの持ち込みの是非
ベビーカーで満員電車はマナー的にNG
法律や乗車ルールとしては混雑した満員電車であろうとベビーカーを広げたまま乗るのはOKとなっている。
しかし、上のような内容を考慮すると、慣習の要素が大きいマナーではNGになるのではないか。
最近は不寛容な社会になりつつあり、満員電車へベビーカーを持って乗る子連れに対して「邪魔」、「空いている時間の乗れ」、「さっさと早く畳めよ」といった罵声を浴びせる人がいる。
子連れに対して厳しい姿勢で接する配慮のない乗客もマナー的にはアウトだが、混雑を配慮せずにベビーカーで電車の乗る行動もマナーには好ましくない。
やむを得ない状況なら仕方がないものの、可能な限りは満員電車になる時間帯は避けるのが正しい乗車マナーになるだろう。
時間帯ごとの可否
時間帯ごとのベビーカーの電車内への持ち込みの可否を区別すると以下のような感じになるだろう。
<時間帯ごとのベビーカーの是非> | ||
時間帯 | 持ち込みの是非 | 感想 |
始発-7:00 | OK | 全く問題なし |
7:00-8:00 | NG | 可能なら避けたい |
8:00-9:00 | NG | 周囲は迷惑と感じる |
9:00-17:00 | OK | 全く問題なし |
17::00-19:00 | NG | 周囲は迷惑と感じる |
19:00- | OK | 全く問題なし |
7~9時と17~19時は現実的に持ち込み不可
通勤ラッシュのコアタイムになる7~9時と17~19時はどこの路線でも電車の車内が窮屈になるほど混雑が激しくなる。
特に朝の上り列車、夕方の下り列車では混雑が集中する。広いスペースをとるベビーカーがあると、それに対して不快感を感じてしまう状況になる。
ベビーカーに赤ちゃんを載せる子連れとしては、平日の7~9時と17~19時は電車に乗るのは控えることに努力することが求められる。
子育てにやさしい公共交通機関との矛盾
満員電車ではベビーカーを広げたまま乗るのがマナー的にNGとなると、「子育てにやさしい公共交通機関」という指針とは矛盾すると感じる。
建前と本音の差がある以上、どうしてもこのような形にはなってしまう。
参照:通勤ラッシュの満員電車は「子連れ」には無理か!? トラブルにも
ただし、混雑のピーク時以外の時間帯であればベビーカーを広げたまま乗っても問題は一切ない。
日中の時間帯、あるいは土日祝の終日なら混雑したとしても平日の通勤ラッシュよりは空いている。このような時間帯なら直ちに周囲の乗客を身体的に圧迫して迷惑をかけることはない。
「子育てにやさしい公共交通機関」の指針とは、このようなオフピークの時間帯にベビーカーを子連れが持ち込みやすい環境を整えることを意味している。
決して朝夕の通勤ラッシュに強引にベビーカーを持ち込むことを正当化することという解釈にはならない。
もし仮にこのような強引さという意味でとらえてしまうと、それは配慮に欠けた考えになってしまう。