EMS(国際スピード郵便)の配達が遅い理由を調査してみた。なかなか届かない例は、確率的には国内の宅配便と比べると大幅に高い。
海外から発送される荷物でも、日本から海外へ発送する荷物でも事情は基本的に同じである。
海外との物流になるため、輸送距離が長いのが間接的な理由である。途中でトラブルに遭遇するリスクは当然距離に比例する。
EMSは遅れる主な原因
遅れる理由 | 詳細 |
交通状況の異常 | 航空機の運休、遅延が生じると所要日数が延びる。現地の鉄道、道路網に異常が起こることも。 |
紛失・盗難 | 日本では少ないが、諸外国では管理体制が不十分なところも。紛失事例、盗難事例でEMSが届かないこともよくある。 |
郵便事情の悪さ | 日本の郵便事情はトップクラス。諸外国は遅配率が高いところも結構ある。国土が広い国は特に配達が不正確。 |
通関検査 | 通関検査で引っかかると配達予定日が大幅に延びることも。輸出・輸入のため通関手続きによるトラブルがある。 |
EMSの配達を行っている運送会社は日本国内では日本郵便だが、諸外国では郵便事業を行う企業や機関である。輸送状況の実態も日本よはまったく異なる。
EMSという商品でも、所要日数の正確さは別物になるのが避けられない。
交通状況の異常
- 航空機の運休、遅延
- 鉄道網の運転見合わせ・遅延
- 道路の渋滞、トラックの交通事故
まず、EMSは海外との往来になるため、交通状況のちょっとしたトラブルでも配達が遅れる可能性が高い。
空輸することで発送から配達までの期間が短いのがセールスポイントだが、航空機の運航状態のトラブルで所要日数が伸びる。これはどこの国でも当てはまる共通点だ。
諸外国では国内輸送の主役は鉄道であるところも少なくない。鉄道もまた悪天候、線路設備の故障などで列車が運転見合わせになったり遅延したりする。
トラックで輸送する場合でも、高速道路の通行止め、道中の渋滞、トラックの交通事故などのトラブルに巻き込まれる可能性が低くない。
現地の国内の交通状況の異常もまたEMSの荷物が届くのが遅くなる理由になる。
もちろん、日本国内の交通状況のトラブルが生じてもEMSが遅れる理由になり得る。天候悪化や高速道路の通行止め、渋滞でゆうパックなどと同じく遅配は起こる。
紛失・盗難
- 荷物の管理が悪い国も
- 窃盗事件に遭遇
- 日本よりも多い事例
日本では貨物運送業での荷物の紛失や盗難はかなり少ない。しかし、諸外国ではこのようなケースがまだまだ多いところもある。
荷物の管理体制も整っていない例もある。仕分けのミスや追跡バーコードのスキャン漏れによって荷物の所在がわからなくなるのは常態化。完全に紛失することも珍しいものではない。
盗難に遭うこともよくある。外部からの侵入者だけでなく、内部で働く従業員が荷物を盗む行為も日本では少ないが、海外はまた話が別。
追跡サービスで更新が止まっているようなら、これらの可能性が疑われる。特に1週間以上ならかなりの確率で紛失・盗難の可能性が大きい。
郵便事情の悪さ
- 定時配達への意識が低い
- インフラ整備の欠如
- 破損事故の多発
日本の郵便事情はかなり良い方に入る。顧客が希望した日に配達される確率が高く、遅配率が低いのが特徴である。
海外の場合では日本郵便とは感覚が違うのは避けられない。定時配達に対する意識も低いことは大いに考えられる。
日本は民営化された企業がEMSを取り扱っているが、諸外国の郵便局は完全な公企業なところが多い。競争がない役所のような機関のため、サービスの質が悪いこともある。
インフラの整備が十分ではない発展途上国になると、鉄道網や道路網が十分ではないために、地域によっては配達が大幅に遅れるところもある。
そして、破損事故が起こるのも多い。日本は丁寧に荷物を扱う傾向にある一方、諸外国は投げる・つぶすなどの行為がかなり見受けられる。
「とにかく荷物を輸送すればそれでよい」という意識が強い体制も珍しいものではない。破損のため、そのまま捨てられてしまうなんてこともあるようだ。
通関で引っかかる
EMSは海外との荷物の往来、つまり輸出・輸入になるため通関手続きもある。ここでたまに検査にかかることもある。
通関検査に引っかかると、特に問題はない場合でも所要日数が伸びてしまうことがある。+1日程度になることもあれば、1週間遅くなることも可能性として残る。
ここでは通関業務のやり方で大きく左右されるため、正確な日数を把握することはできない。
ただ、EMSという速達型の国際小包でも通関手続きが理由で通常の航空便と同じくらいの所要日数になることは大いにあり得る。
EMSよりも所要日数が短い手段
海外に荷物を送る方法として最も一般的に利用できるもので最速なのはEMSである。料金も完全な民間企業の方法よりも安い。
ただし、所要日数で最速というのはあくまでも個人宛の荷物である。法人宛であればさらに所要日数が短い手段がある。
- FedEX(フェデックス)
- DHL
- UPS
FedEX(フェデックス)、DHL、UPSといった国際貨物運送業の会社はさらに早い傾向にある。集荷から配達まで自社で行っている国が多い。
ヤマト運輸の国際宅急便は所要日数ではEMSよりも若干遅い国や地域がある。国内向けでは配達の時間指定や日付指定が正確なことで有名だが、海外向けでは微妙といったところだ。