名鉄とJR東海は名古屋地区にて競合する関係にある鉄道会社。どちらもいくつもの路線を保有しているが、中でもJR東海道本線と名鉄名古屋本線は激戦ともいえる競争関係にある。
名鉄河和線とJR武豊線、名鉄瀬戸線とJR中央本線も一部区間では競合する関係にある。
今回は、そんな名鉄とJR東海を比較する。所要時間や運賃の料金、混雑の激しさにはそれぞれ違いは見当たるのか。
所要時間はJRが圧勝
名鉄とJRの所要時間を比較した場合、圧倒的にJR側が優勢といえる。豊橋~岐阜間では、どこの区間でもJR東海道線が速い。
乗車券のみで乗れる優等列車でも、名鉄よりJRの方が所要時間が早い。名鉄名古屋本線では、特急と快速特急が運転されていて、JR東海道線では新快速と特別快速、ふつうの快速が運転されている。
停車駅は種別の名称で若干異なるものの、その違いは数分の差しかないため、実質的には同じような列車と考えてよい。
豊橋→名古屋の場合、JRは新快速で51分、快速で55分となっている。名鉄の快速特急は49分、特急が53分が標準所要時間だ。
豊橋側ではやや名鉄の方が優勢となっているのがわかる。
しかし、岐阜~名古屋間だと一気にJRが優勢となる。岐阜→名古屋の所要時間は、JR新快速・特別快速・快速だといずれも19分が標準。各駅停車(普通)だと27分。
名鉄は名鉄岐阜→名鉄名古屋までで快速特急・特急で28分もかかる。急行は34分という所要時間。
JRよりも名鉄は9分多く時間がかかる。しかも、名鉄は特急でも東海道本線の各駅停車よりも遅い。
名古屋から岐阜方面へ向かう区間では、JR東海が圧勝といえる。
運賃は基本的に名鉄が安い
運賃に関して、距離別の料金は基本的には名鉄の方が安い。しかし、JRでは特定区間運賃を設けている区間がある。名古屋~岐阜、名古屋~岡崎間は特定区間に設定されている。
この区間では名鉄よりもJRの方が安いことが多い。例えば、名古屋→岐阜では、JRは470円になっているのに対して、名鉄は550円かかる。
名古屋→岡崎・東岡崎の部分でも、JRは620円、名鉄は660円となっている。こちらもJR東海の特定区間運賃によって定価よりも割引が利いているため、名鉄より安い料金が適用される。
一方でJRが通常の幹線料金を適用している区間では、JRと名鉄を比較しても後者が安い。
名古屋→豊橋ではJRが1,320円、名鉄が1,170円ということで、名鉄の料金が安い。岐阜→豊橋でもJRが1,940円、名鉄が1,470円ということで、大幅に名鉄が安いことがわかる。
混雑と本数は?
混雑は、名鉄名古屋本線でもJR東海道本線でも大きな違いは見られない。普通電車でも優等列車でも、混み具合は同じ程度といえる。
ただし、利用者層には違いが見られる。特に岐阜側では顕著。
JRは長距離利用の乗客が多いのに対して、名鉄は短距離利用の人が多い傾向が見られる。
名鉄は駅間距離が短いため、JRには駅がないような地域を行き来する人が名鉄を使う。逆に都市間移動はJRを使う人が多くなる。
優等列車だとJRの新快速と快速が混雑し、名鉄だと特急系の電車よりも急行や準急が混雑する。
本数はどちらも同じで、日中のダイヤはどの種別も15分間隔でやってくる。1つの種類で1時間当たり4本。
ただ、名鉄は種別が多いことからすべての種別を合計すると電車の本数が多い。特急・急行・各停の3種類で毎時12本なのに対して、JRは快速系と普通の2種別となっているため、毎時8本しかない。
電車の本数だと、名鉄が多くてJR東海が少ないという構図になっている。