私鉄では追加料金がかからない速達列車を「急行」という名称を使っているが、JRには存在しない。代わりに「快速」と呼んでいる。
なぜJRだけ急行という種別ではなく快速という単語を使っているのか。こんな疑問を感じている人は少なくないだろう。
JRで追加料金なしの電車に急行という名前が付けられない理由は、前身の国鉄時代の歴史にある。かつての昭和の頃は、有料列車である「急行」が運転されていた。
JRの急行は追加料金ありの有料列車
かつては特急とは別に急行という有料列車が走っていた。車両は専用のものが使われ、車体は通勤型の電車のようだが座席のタイプはボックスシートとなっていた。
急行とは特急よりはスピードが遅く、最高速度が90~100km/hだった。停車駅も少し多く、速達性や快適性には劣っていた。
そのため、急行とは格安な特急列車という感覚で乗客が乗っていた。乗車券とは別に急行券が必要になるが、それでも特急よりは割安で、ちょっとした長距離移動の際には便利な存在だった。
この急行が存在していたことで、国鉄では通勤型の電車が使われる追加料金がかからない速達電車を代わりに「快速」という名前を付けた。
通過駅がある点では同じだが、快速=無料、急行=有料という特徴があった。そして、JR化された後も定期列車で一部の地域で残っていた。
これにより、快速を急行と呼ぶ会社がまったく現れなかった。快速よりも速いが追加的な運賃が不要な種別は「新快速」や「特別快速」という名称が与えられた。
ExpressとRapidの違い
JRでは快速、私鉄では急行という名称が与えられていることで、これに対して混乱しやすいのが外国人である。
英語表記すると、急行はExpress、快速はRapidとなっている。Expressという種別は加害の鉄道でも使われる単語である。一方のRapidという種別は日本だけとなっているようだ。
これにより、いくら英語でRapidといってもどんな電車なのかがわからないというケースが少なくない。
果たしてRapidは追加料金があるのかないのか、JRと私鉄の概念を知らない人にはまったく理解できない。
同じく、特急と急行の違いも鉄道会社によってはわかりにくい。特急という名称が使われていても、通勤型の車両で追加料金のかからない事業者の路線だと、他の地域から来た人にはわかりにくい。
有料なのか無料なのかは、スマホなどで検索してみるしかない。ExpressとRapidの違いはこれとほぼ同じ。
JRが急行とは呼ばずに快速と呼んでいる実態は、乗客にとってはやや複雑感を抱いてしまうところだろう。