新幹線には女性専用車両がないが、これを導入してほしいという声は実際にあるようだ。車両丸ごとではなくても、女性専用の座席というものも存在しない。
なぜ在来線の通勤電車では男性乗車禁止の女性専用車両が設けられているにも関わらず、長距離を乗り続ける新幹線には設置されていないのか。
新幹線は特急型の列車ということで進行方向に向かって座る。座席が満席に近くなると、必ず誰かが隣に座ることとなる。
ここでできるだけ「おっさん」の隣には座りたくないと思う人がいる。男性が乗っている車両には満員の状態で乗りたくないという需要と同じ。
女性専用車両はあくまでも痴漢防止が目的
在来線の通勤電車で女性専用車両が導入された目的は、痴漢を防止することである。通勤ラッシュの満員電車の中で痴漢の被害を受ける事例が多く発生していたことへの処置である。
これにより、女性専用車両が設置されている路線はどこも朝夕のラッシュの混雑はこの上なく激しいところである。少しでも空いている路線においては設置されていない。
これはJRでも私鉄でも同じ。痴漢の被害がない女性専用車両を作ることで、被害を減らすことができているようだ。
一方、中にはまた別の声もある。それが、おっさんの近くには乗りたくないという声だ。
新幹線では満員電車というわけではない。そのため、痴漢防止のための女性専用車両が不要という見方が主流。このため、自由席でも指定席でもグリーン車でも男女の区別はしていない。
「男の隣は嫌だ!」は差別に
「男性の隣には座りたくない」や「おっさんの近くにはいたくない」といった理由から新幹線への女性専用車両の導入を希望している人がいるが、これは通らない。
わがままの他ならない。もちろん、女性の隣には座りたくないという男性の意見もまた通らなく、男性専用車両も導入できる根拠がない。
単なる感情的な目的で男女別にするのは男女差別に該当するからである。特に犯罪となるような被害を被るわけでもない。
指定席でも自由席でも、自分の隣に座る人の性別を選ぶことはできない。希望があったとしても、それを断るのは完全な差別に当たってしまう。
もし本人または関係者に直接意見を発するとなると、名誉棄損に当たる可能性も出てくる。
こうした背景から、今後も新幹線には女性専用車両ができる可能性はかなり低い。今の世の中は「男女共存」が基本中の基本である。性別であらゆることを分離するのは平等社会への挑戦にもなるだろう。