東京メトロの初乗り運賃が高いと感じたことはないか。首都圏のJRや私鉄と比較しても近距離の料金はやや割高に設定されている。
切符は170円、Suica・PASMOなどのICカードは165円となっている。一方の他の鉄道会社だと120~150円ほどが相場だ。
一方で長距離利用の場合は割安な料金になっている。距離が30kmの区間でも310円(ICカード:308円)である。JRの電車特定区間でさえ470円もする。
初乗り運賃が割高な理由
東京メトロの場合は乗客の利用状況を見ると近距離利用者が多い傾向にある。山手線との接続駅から都心部のどこかの駅までの移動手段として使われる。
鉄道事業者 | 収入源 |
東京メトロ | 近距離利用が多い
→近距離ユーザーからの運賃収入で儲かる |
JR・私鉄 | 中・長距離利用が多い
→近距離が安くても問題なし |
郊外に住んでいる人で東京都心部へ移動するとなると、山手線の外側がJR・私鉄各線、山手線の内側は地下鉄という人が多い。
東京23区内の地下鉄の大半の路線は東京メトロの管轄となっている。都営地下鉄もあるが、路線数は4つしかない。したがって、メトロが主流と判断できる。
近距離利用者の運賃が収入源
キロ程(km) | きっぷ | ICカード |
1km~6km | 170円(小児90円) | 165円(小児82円) |
7㎞~11km | 200円(小児100円) | 195円(小児97円) |
12㎞~19km | 240円(小児120円) | 237円(小児118円) |
20km~27km | 280円(小児140円) | 278円(小児139円) |
28km~40km | 310円(小児160円) | 308円(小児154円) |
上の表は東京メトロの距離に対する運賃表である。
初乗り運賃は割高感がある一方、距離が長くなると割安になることがわかる。
東京メトロの収入源は自然と近距離利用者となる。東西線や副都心線のように郊外から乗り入れる路線もあり、これらの乗客は確かに長い距離を乗ることになりやすい。
しかし、メトロ全体からしてみれば、それはごく一部の割合に過ぎない。あくまでも短距離がメインである。
このように短い区間しか乗らない乗客から一定の料金を徴収することで利益を上げられている。
他の鉄道会社は初乗りは安くても影響なし
他の鉄道会社はなぜ初乗り運賃が安いのか。このような疑問が浮かび上がってくるかもしれない。
JRも私鉄各社も都心と郊外を結ぶ路線という性質が強い。郊外へ延びる路線は距離も自然と長くなる。
快速や急行などの通過駅の設定が運転されている路線は、長い距離をできるだけ短い時間で移動できるようにするためのサービスである。
こうした路線を持つ鉄道会社は一定の距離を乗る人からの運賃がまとまって入る。そのため、近距離利用者から求める運賃はそれほど気にすることがない。
長い距離を乗れば高い運賃になる。郊外型路線は1人当たりの収入が増える。東京メトロよりも割安にしている理由はここにある。
他の運賃が高い鉄道会社および路線の事情
地域 | 鉄道事業者 |
東京都内 | 東京モノレール、ゆりかもめ、東京臨海高速鉄道、都営地下鉄 |
その他首都圏 | 北総鉄道、東葉高速鉄道、つくばエクスプレス、埼玉高速鉄道、京成、東武、横浜市営地下鉄、京急 |