青函トンネルの光と影! これまでの歴史と現状を振り返る

青函トンネル

青函トンネルは1988年3月13日にJR海峡線として開業。北海道新幹線としては2016年3月26日に供用開始。当時としては世界最長の海底トンネルとなった。

どのような計画から、どんな経緯で建設され、その後どのようにしてスピードアップしたのか、今回は小学生でもわかるように解説する。


年表

出来事
1923年 函館市議会議員の阿部覺治が「大函館論」を出版。関門トンネル構想を参考に青函トンネル(大間~函館間)構想を述べる。現在の青函トンネルの構想の原点。
1940年 国鉄が青函トンネルの調査機関を設置。
1946年 津軽海峡の地質調査を実施。西口ルートと東口ルートを調査。
1953年 第16回特別国会にて「青森県三厩附近より渡島国福島に至る鉄道」が予定線として鉄道敷設法に追加。
1954年 青函連絡船「洞爺丸事故」発生。これを機に青函トンネルの計画が大きく進展。
1961年 青函トンネルの建設工事が着工
1969年 新全国総合開発計画閣議決定。北海道新幹線は青函トンネルを通ることが決められる。
調査坑で異常出水。
1971年 本工事着手
1974年 吉岡作業坑で異常出水。
竜飛作業坑で異常出水。
1972年 全国新幹線鉄道整備法第4条第1項の規定による『建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画』により公示
1972年 全国新幹線鉄道整備法が公布。経済発展や地域の振興を目的とした新幹線の建設が実施されることが決定。
1973年 北海道新幹線の整備計画決定。
1976年 吉岡作業坑で異常出水(最大湧水量:85トン/分)
1982年 財政赤字の拡大、国鉄の経営悪化を理由に整備新幹線の建設計画の当面見合わせを閣議決定。青函トンネル部は在来線として開通を目指す。
1985年 本坑全貫通。
1987年 整備新幹線計画見合わせの閣議決定を変更。
1988年 青函トンネル(JR海峡線)が開業。青函連絡船廃止。
2016年 北海道新幹線開業。「スーパー白鳥」廃止。最高速度は140km/hのまま。
2019年 最高速度を160km/hへ引き上げ。

上記は青函トンネルの歴史を示した年表。

構想

青函トンネルの構想が生まれたのは1923年のこととされている。

函館市議会議員だった阿部覺治が「大函館論」を出版。ここでは、関門トンネル構想を参考に青函トンネル(大間~函館間)構想が述べられた。

関門海峡を渡る関門トンネルは山陽本線から鹿児島本線にかけてをつなぐ路線として構想されたが、北海道と青森を結びたいという思いがあった模様。

現在の青函トンネルの構想の原点となった。

1940年、国鉄は青函トンネルの調査機関を設置。ただ、第二次世界大戦へ突入していく時期でもあったため、しばらくの間は計画は滞る。

計画から着工

終戦の翌年の1946年、国鉄は津軽海峡にて地質調査を実施。西口ルートと東口ルートを調査。ただ、この時点ですでに西口ルートが有力となっていた。東口ルートは参考程度とされた。

鉄道による輸送力が年々増える中で、1953年には第16回特別国会にて「青森県三厩附近より渡島国福島に至る鉄道」が予定線として鉄道敷設法に追加。これによって、正式に青函トンネルの計画が公にされた。

1954年、青函連絡船「洞爺丸事故」発生。台風によって青函連絡船が5隻も沈没し、1,100人以上が死亡する大惨事となった。

船舶事故としては、タイタニック号に次ぐ規模となった。これを機に青函トンネルの計画が大きく進展。

1961年には青函トンネルの工事が着工される。当時は8年で完成することを目指していた。1971年、本工事がスタートする。

難工事から開業まで

1970代いっぱいは難工事に悩まされることとなる。異常出水が何度もあり、完成までに作業員37名が死亡することとなった。

一方、1973年には「整備新幹線」として北海道新幹線が整備されることが計画される。本州と北海道を結ぶ区間では青函トンネルを利用することが決定。青函トンネルも新幹線規格で建設されることとなった。

しかし、国鉄の財政状況が悪化したこと、オイルショックで日本経済が停滞樹に入ったこともあって、1982年には北海道新幹線の計画が凍結される。青函トンネルの区間は在来線として暫定的に開業することが決まる。

1985年、青函トンネルの本坑全貫通。これによって本州と北海道が物理的にトンネルでつながった。

そして、1988年に青函トンネルの区間がJR海峡線として開業。特急列車と貨物列車が行き来するようになる。

北海道新幹線として

北海道新幹線

1987年には整備新幹線の計画凍結が解除される。

しかし、北海道新幹線よりもまずは北陸新幹線や九州新幹線、あるいは東北新幹線の盛岡駅以北が優先された。北海道新幹線がこれらが完成した後に着工することとなった。

2016年、ようやく北海道新幹線(新青森~新函館北斗間)が開業。これにより、それまでの旅客輸送を担ってきた「スーパー白鳥」は廃止される。

ただ、新幹線でも青函トンネルの区間は最高速度が140km/hに抑えられた。貨物列車との供用区間となったことが理由。

2019年、北海道新幹線の青函トンネルの区間の最高速度が160km/hに引き上げられる。さらに、2020年には一部の時期・時間帯に限って210km/hを実施。

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