宅配便の配達が時間指定の通りには来ない確率を運送会社ごとに比較してみた。個人宛、法人宛それぞれの所要日数と配達時間の正確さを調査。
通常期ならどこの業過でも荷物の輸送が遅れる可能性は低い。一方の取扱貨物量が多くなる繁忙期では各社によって違いが見られる。
最も正確なのはヤマト運輸の「宅急便」である。その次に来るのが佐川急便「飛脚宅配便」、日本郵便の「ゆうパック」の順になる。
運送会社ごとの時間指定の遅れやすさ
<時間指定の正確さ> | |
運送会社 | 正確さ |
ヤマト運輸 | ★★★★★ |
佐川急便 | ★★★ |
日本郵便(ゆうパック) | ★★★ |
西濃運輸 | ★★ |
福山通運 | ★★ |
運送会社別での時間指定に対する配達時間の正確さはこのようになる。
ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便はいずれも宅配便に該当する輸送サービスである一方、西濃運輸・福山通運の2社は路線便といわれる分類に入る。
後者は法人宛の企業間物流が中心であり、混載便であってもパレット物を引き受けている一方、配達時間の正確さはやや落ちる。
ヤマト運輸
最も遅れにくいのはヤマト運輸「宅急便」である。クロネコヤマトという名前でも知られ、多くの人が何となく想像しているかもしれないが、必着の質を考えると圧倒的に他社を引き離す。
翌日午前からの配達が可能な地域であれば、発送した次の日の午前中には配達されることがほとんど。時間指定を入れておくとかなりの高い確率で配達完了になる。
>>ヤマト運輸の宅急便で時間指定に遅れる可能性の目安とは!?
ヤマト運輸で発送した荷物が所要日数を超えて遅れる事例は、ほぼすべてが何かしらのトラブルが道中で生じた場合と考えてもよい。
高速道路の交通渋滞、トラックの交通事故、鉄道(貨物列車)の運転見合わせがこれに該当する。これはどうしても避けられないものの、人為的なミスが少ないと感じるのは確か。
単なる仕分けミスや誤着(本来の目的地ではない地域に到着)はかなり少ない印象だ。
時間的に余裕がない急ぎの荷物を送る方法は、ヤマト運輸が第一候補になるだろう。
佐川急便
佐川急便も輸送体系はヤマト運輸と似ているものの、時間指定に対する正確さではやや劣る感じがする。
営業所の数が少なく、セールスドライバー1人当たりの担当エリアが広い点が理由になると考える。
翌日午前中からの配達ができる地域でも、仕分けが追い付かなかったりして配達が遅れることがしばしばある。
よくあるのが、各地方をまたいで荷物を送る場合で、翌日午前の配達が可能なエリアであっても午後になってしまうこと点だ。
さらに、時間指定なしの荷物ではいつ来るか予測がつかないという特徴もある。
時間指定ありの荷物は次の日の午前中に届けられても、時間指定なしだと午後から夕方、さらには夜になってから配達される例が多い。
全体的にみても、ヤマト運輸と比べると所要日数が長くなりやすい。
>>【原因】佐川急便は時間指定を無視? なぜ守らないのか!?
日本郵便(ゆうパック)
日本郵便「ゆうパック」の配達もまた、時間指定にはやや遅れる可能性があることが否定できない。
地域の拠点の郵便局が配送を担当しているが、その数はヤマト運輸の営業所と比べて大幅に少ない。
ヤマト運輸の場合は集配を行う営業所が1つの市町村の中でも複数あることが多い。一方の郵便局は、大きなところは各市町村に1か所しかないところが多い。
ゆうパックの配達は1人のセールスドライバーが担当するエリアはかなり広い。
そんな事情から、翌日午前の配達が可能な地域であっても取扱貨物量の増加で時間指定があっても間に合わずに遅れるリスクがある。
さらに、日本郵便は佐川急便よりも発送元・届け先ともに個人客が多い。不在になることが少ない法人と比べて配達状況が不安定になりやすい理由も見える。
>>ゆうパックの時間指定、なぜ届かない!? 遅れやすい理由とは?
西濃運輸
西濃運輸は路線便という輸送サービスになる。個人宛はほとんど受け付けていなく、原則として法人関連の荷物の輸送を行っている。
時間指定サービスはヤマト・佐川・日本郵便と同じく存在するものの、やや不正確になりやすい傾向も否定できない。
西濃運輸は大きな荷物も取り扱っている。パレット物から重量物まで様々だ。フォークリフトがないと持ち上げられないようなものでもOKというメリットがある。
その反面、大型の荷物は輸送効率が悪くなる。トラックに載せきれる限界を超えて取扱貨物量が増加すると「発送残荷」と呼ばれる積み残しが発生してしまう。
この影響は大型の荷物だけでなく、小型の荷物にも波及する。繁忙期はやはり時間指定および所要日数には遅れる可能性が上がる。
>>西濃運輸で時間指定しても届かないことも!? 配達が遅れる確率とは?
福山通運
福山通運もまた路線便の運送会社に当たる。個人宛はほとんどNG、法人関連の荷物の輸送が基本。
時間指定サービスは行っている。しかし、精度的にはやや不正確になりやすい傾向がある。西濃運輸と同じくらいと考えてよい。
パレット物から重量物のような大型の荷物もOKとなっている。フォークリフトがないと持ち上げられないようなものも受け付ける。
大型の荷物は輸送効率が悪くなることで、福山通運もまたトラックに載せきれる限界を超えて取扱貨物量が増加すると「発送残荷」という積み残しが発生ししやすい。
繁忙期はやはり時間指定および所要日数には遅れる可能性が上がる。小さい荷物も例外ではない。
時間指定があっても配達に来ない原因
時間指定のかかっている荷物を受け付けていてもそれに遅れてしまう理由としては、様々な事情がある。主な原因は以下になる。
<時間指定の配達に遅れる理由> | |
遅れる理由 | 詳細 |
取扱貨物量が過剰 | 荷物の量が多いとさばき切れずに配達が全体的に遅れる |
営業所・ドライバーが少ない | 1人で担当するエリアが広域だと、その分回り切れずに遅れる |
交通状況の異常 | 高速道路の渋滞・通行止め、トラックの交通事故、鉄道(貨物列車)の運転見合わせ |
仕分け設備が少ない | 荷物の方面ごとの仕分けが追い付いていない |
トラックの運行数が少ない | 規模が小さい運送会社ほど輸送網が不安定になりやすい |
最も多い事例は取扱貨物量そのものが過剰気味のため配達が追い付かないことである。
3月、8月上旬、12月は特に物流業界全体として繁忙期になる。1年の中でも荷物の多さが増える時期になるが、それをさばき切れないこともある。
特に大型の荷物を取り扱う運送会社ほど遅延が生じやすい。輸送効率が悪くなるため、全部を運びきれないリスクがあるからだ。
一方の交通状況が原因で荷物の配達が日付指定や時間指定に来ないという点はどこの運送会社にも共通する。
高速道路の渋滞、通行止め、トラックの交通事故、さらには鉄道網の運転見合わせの影響がこれに該当する。
最近は幹線輸送をトラックから鉄道に切り替えている業者が増えているが、鉄道網が寸断されると一気に配達が滞るというデメリットもある。