日本郵便のゆうパックの配達が遅いことは確かにある。背景にある理由として、どんな事情があるのか考察する。
配送状況はヤマト運輸と比べると悪いという感想が結構ある。時間指定をしてもその希望通りに届かないこともよくある。
同じような運送サービスを提供するヤマト運輸の「宅急便」は所要日数に正確で、時間指定なしでも午前中には届けられることが多いと良い評判が目立つ。対照的になぜゆうパックは遅れやすいのか。
佐川急便が遅れやすい理由~4つある
遅れる理由 | 詳細 |
営業所・ドライバーが少ない | 1人で担当するエリアがやや広域 |
仕分け設備が少ない | 荷物の方面ごとの仕分けがやや非効率 |
トラックの運行数が少ない | 輸送網が不安定になりやすい |
郵便事業がメイン | ゆうパックより郵便物の取り扱いが中心 |
宅配という似たようなサービスを行っている。とはいえ、輸送状況の実態は特にヤマト運輸とは異なる。
最強のライバル他社ともいえるヤマト運輸の存在は特に大きい。それと比べるとゆうパックは輸送力や質で劣っているといえる。
上の4つがゆうパックの配達が遅い理由と考える。
>>ゆうパックの時間指定、なぜ届かない!? 遅れやすい理由とは?
郵便局とドライバーの数が少ない
ゆうパックの配達は市域の拠点となる郵便局が担当しているが、その数はヤマト運輸の営業所と比べて大幅に少ない。
ヤマト運輸の場合は集配を行う営業所が1つの市町村の中でも複数あることが多い。一方の郵便局は、大きなところは各市町村に1か所しかないところが多い。
1人のセールスドライバーが担当するエリアは狭く、時間指定の荷物をその範囲内で配達できるくらいの輸送力があるのがヤマト運輸の特徴である。
同一都道府県で2,3か所の営業所しかない佐川急便と比べると充実しているものの、ライバル他社であるヤマトには劣るのは避けられない。
>>佐川急便の配達が遅い!? ヤマトより輸送状況が悪い理由とは?
ゆうパックの配達は1人のセールスドライバーが担当するエリアはかなり広い。人員数が少ないため、ちょっとでもいつもより引き受けた貨物量が多いとすぐにパンクする。
時間指定があってもその時間帯に配達できない事態がよくある。午前中の欄に丸印が記載されていても、午後の配達に回ってしまうのがこの代表的な例だろう。
さらにひどいと追跡サービスで「配達予定日」の日付を超えることもある。
>>日本郵便のゆうパックが「お届け予定日」を過ぎても来ない!?
お届け予定日には配達されるのが本来のスケジュールだが、その次の日になってようやく届けるという状態にもなる。繁忙期になると頻度が高くなるが、人手不足を含めて輸送状況の乏しさが影響していると考えられる。
仕分け設備にも劣る
ヤマト運輸の場合は、大型の支店では特に自動仕分け機が導入されていて、より効率よく方面別に荷物を仕分けできる。
日本郵便でも書類などの郵便物の仕分けでは自動化されているところが結構多い。速達郵便やレターパックなどでは最新の技術が投入されているのは否定できない。
しかし、サイズが大きいゆうパックはまだ人の手による仕分けが中心である。
仕分けに多くに時間が費やされることから、目的地に到着する時間も遅くなる。リードタイムの面でもヤマト運輸に劣る理由はここにある。
ヤマト運輸はベースセンターを中心に最新型の自動仕分け機械が設置されていることで、より効率よく荷物を裁ける環境が整っていることで、配送の遅れも生じにくい。
日本郵便のゆうパックは効率の良い輸送網という点でヤマト運輸より劣る。貨物量が多いと簡単に輸送が停滞しやすい。時間指定に間に合わない原因になる場合もある。
>>ヤマト運輸の宅急便で時間指定に遅れる可能性の目安とは!?
トラックの運行本数が少ない
都市間輸送のトラック(運行車)の数も日本郵便は少ない傾向にある。荷物の引受数に対してトラックの運行台数が少なくともヤマト運輸よりも少ない。
普段よりも貨物量が増えるとすぐに輸送力が不足気味になりやすい。サイズが小さい郵便物なら問題ないレベルだが、体積が大きいゆうパックに荷物は輸送力の欠如が問題になる。
トラックが満杯で積めなかった場合は次の便に乗せるか、別の経由地を介して配達担当の郵便局まで運ぶこととなる。
何日も遅れるとまではいかないが、本来の所要時間よりは長くなってしまう。目的地となる営業所への到着時間が遅くなってしまい、配達が時間指定の通りに間に合わないことにつながる。
午前中指定の荷物においてはこのようなケースに当たりやすい。この時は午前中の配達までに到着できず、午後の配達に後回しになる。
午前中の配達が可能なエリアでは、幹線輸送のトラックが配達担当の郵便物に到着するのは早朝6~7時までが限界だが、通常とは異なるルートを経由すれば、この時間帯には間に合わない。
郵便事業がメイン
日本郵便が担う企業活動の主役は「郵便事業」である。つまり、ポストに投函された郵便物の配達がメインである。
ゆうパックは郵便ではなく「物流事業」の方に入る。したがって、中心的な業務ではない。
これにより、輸送サービスとしての質も二の次の状態になってしまうのかもしれない。ヤマト運輸は宅急便こそが主役で、配達時間の正確さに対する意識が違うとも感じる。
もちろん、日本郵便のゆうパックでも大半の場合は時間指定の有無に関係なく所要日数の通りに無事配達される。しかし、遅れる確率はヤマト運輸には勝てないのもまたリアルな情勢である。