京王線と小田急線は日本一の乗降客数を誇る新宿駅を起点として東京西部の多摩地方へ延びる鉄道路線である。互いに線路が並行していることから競合している関係となっている。
通勤や通学で郊外から都心へ行く人が鉄道路線を選ぶにあたって重要となる要素は、所要時間や運賃の安さ、列車の運行本数、そして混雑率の緩やかさであろう。
朝のラッシュの時間帯であっても速達列車が高頻度で走っていて、なおかつ自宅のある最寄り駅から都心までの所要時間が短い路線であることが重要となる。また、運賃が安くて経済的であることも検討しなければならないポイントだ。
京王線と小田急を徹底比較!
京王 | 小田急 | |
運賃(永山~新宿) | 340円 | 340円 |
所要時間 | 31分 | 32分 |
運行本数 | 9本 | 9本 |
混雑率 | 160% | 190% |
乗り換え | 都営新宿線 | 東京メトロ千代田線 |
その他 | 複々線化が進行 |
運賃や所要時間では違いなし
京王相模原線と小田急多摩線が最も競合しあう永山や多摩センター周辺から電車を使って新宿駅まで行った場合の比較表が上の通りになる。
運賃の値段や所要時間、1時間当たりの運行本数はどちらもほとんど変わらず違いはないといえる。いずれも通過駅の設定がある「急行」などの列車も充実していて、スピードの違いも感じられない。
混雑率に差がみられる
一方で混雑率の高さと乗り換えの利便性については、京王と小田急で違いがみられる。朝のラッシュのピーク時間帯における乗車率の大きさは小田急の方が高い。京王の方がまだ緩やかである。
小田急は首都圏の路線の中でも特に混雑率が高い路線として有名である。7時半から8時半にかけての時間帯となると上り電車はすし詰めに近い状態となる。本数は線路容量の限界まで走らせているものの、それでも輸送力が追いついていないのが現状だ。
国土交通省が公表しているデータによると、小田急線の乗車率の最大値が190%とされている。一方の京王線の場合は最大でも160%程度に収まる。これでもかなり混み合うことには変わりはないものの、小田急の方がラッシュ時の混雑度はひどい。
ただし、小田急では現在複々線化が進められている。2018年には代々木上原~和泉多摩川間の約12kmの区間が完全に複々線になる見通しとなっているが、これが完成すれば大幅に輸送力が向上する。
単なる複線の時の2倍の列車を走らせられる計算になる。そうなれば今よりも本数が多くなって、朝のラッシュの時間帯の混雑率もかなり軽減される。小田急電鉄の予想では乗車率は約160%以下になるとされている。
接続している路線も異なる
京王線の場合は新線新宿駅を経て都営新宿線に一部の列車が乗り入れている。こちらでは、乗り換えなそで都営地下鉄線内へ行くことができる。市ヶ谷や神保町などの駅に直通しているため、これらの目的地に行く人にとってはかなり便利だろう。
小田急線の場合は代々木上原駅より東京メトロ千代田線へ乗り入れている。こちらは永田町や大手町まで乗り入れているため、都心の主要部にもアクセスしている。
さらに東京メトロの他の路線に乗り換えるという人にとっても鉄道会社を変える回数が少なくなるため、結果として運賃が割安になりやすい。利便性が高いのは確かである。
ここで、都営新宿線と東京メトロ千代田線を比べた場合、利便性が高いのは圧倒的に後者だろう。大手町や国会議事堂などがある永田町への交通手段としての地位を誇るのみならず、多数の路線を持つ地下鉄である東京メトロと直通運転を行っている点はかなり便利なものとなっている。
都営地下鉄の利便性ゼロではないものの、メトロと比べると路線数も少ないことからどうしても劣ってしまうのは避けられない。
よって、利便性の面では小田急の方が有利であるといえる。