相鉄線の優等列車の中で一番所要時間が早いのが「特急」である。停車駅は主要な駅にしか止まらないということで、遠距離利用者にとってはかなり便利な種別だろう。
しかし、運行本数はかなり少ない。日中の時間帯での運転が中心であり、平日の夕方と朝の下り電車は運転されていない。
均等ダイヤとなっている昼間の時間帯の時刻表を見ると、相鉄線の特急は毎時2本、30分間隔で走っていて、相鉄いずみ野線の特急は毎時1本、60分間隔で運転されていることがわかる。
他の私鉄と比べると、特急の運転頻度は低いといえる。例えば、同じ地域を走る小田急江ノ島線では、快速急行が毎時3本走っている。海老名駅においては、小田急小田原線でも快速急行が毎時3本、急行も3本運転されている。
今後直通運転の実施を予定している東急電鉄においても、最速列車は毎時4本運転されている。東横線では特急、目黒線と東横線、大井町線は急行がいずれも15分間隔で走っている。
待避線が少ない
相鉄本線もいずみ野線も、待避線が少ないのが路線の特徴だ。優等列車が前を走る各駅停車を追い抜かすためには、どこかの駅で追い越す必要がある。それには、上下線それぞれで駅ホームが2線必要となる。
相鉄本線で待避設備がある駅は、星川駅・二俣川駅・瀬谷駅・かしわ台駅の4駅である。いずみ野線の場合は、いずみ野駅の1駅である。
他社と比較すると待避線のある駅が多いとは言えない。各駅停車を追い越せえる機会は決して多くはないため、特急を増やすとなると途中駅に追加で待避線を作らなければならなくなることも想定される。
あるいは、各駅停車が途中駅で複数の列車の通過待ちを行わなければならないことにもなってしまう。
相鉄で最も頻繁に運転されている優等列車は「急行」と「快速」である。いずれも二俣川駅と星川駅にて各駅停車を追い越すが、今のダイヤに特急を追加で増やすとなると、各駅停車は一度に2本の列車の通過待ちをしなければならなくなる。
そうなれば、各停の乗客からは不満の声が出てきてもおかしくはない。現状の設備のまま特急の本数を増やすのは現実的ではない。
相鉄は今後JRや東急との相互直通運転を実施する予定となっている。いずれも新しく連絡線を西谷駅から分岐して建設される。ダイヤが過密状態である二俣川~横浜間の大部分を避けるルートとなるため、特急の増発も可能にはなると考えられる。