新幹線車両の1両当たりの値段は2.7億円から4.5億円。1編成の場合だと約30~60億円くらいになる。(10~16両編成と計算)
ただし、新幹線という括りであっても、実際のところは車両の型式によって異なる。
路線ごとによってもその特性を踏まえて車両が開発されるため、値段も様々。
新幹線の車両の種類ごとの値段
路線名 | 車両型式 | 1両当たりの値段 | 1編成の値段 |
---|---|---|---|
東海道・山陽・九州新幹線 | N700S | 3億8,000万円 | 60億円(16両編成) |
東海道・山陽・九州新幹線 | N700A | 2億9,000万円 | 47億円(16両編成) |
東海道・山陽新幹線 | 700系 | 2億2,500万円 | 36億円(16両編成) |
東海道・山陽新幹線 | 500系 | 2億9,000万円 | 47億円(16両編成) |
東北・北海道新幹線 | E5系、H5系 | 4億5,000万円 | 45億円(10両編成) |
東北・山形新幹線 | E3系 | 2億8,000万円 | 19億円(7両編成) |
北陸・上越新幹線 | E7系、W7系 | 2億7,000万円 | 33億円(12両編成) |
新幹線の車両の代表的な型式をピックアップ。
1両当たりの値段は最低でも2億7,000万円、最高では4億5,000万円。
※在来線の鉄道車両については『鉄道車両の値段は1両当たり1.04億円! 主な事例を調査』にて解説。
参考:新幹線の電気代はいくら!? 1km当たり300円が目安!
N700S
N700Sの1両当たりの値段は3億8,000万円。16両編成では約60億円。
最新鋭のN700SはJR東海を中心に導入される新幹線の車両。
JR東海は40編成を投入させるために2,400億円を投じているという報道があった。
東海道新幹線はすべて16両編成であるため、1両当たりの値段は約3億8,000万円ということになる。
20年度から現行車両の「N700系」置き換えとして、22年度までに40編成の新造を計画。車両製作などに約2400億円を投じる。現行車両に比べて安全性、安定性や快適性、利便性などを進化させたのが特徴。
これまでの東海道新幹線や山陽新幹線の車両と比べると一段と高い価格。
車体傾斜装置に加えて、自走用バッテリーを搭載などの最新鋭の設備が影響。
N700A
N700Aの値段は1両当たり2億9,000万円。16両編成では約47億円。
N700Aは2007年から投入されている従来のN700系に定速走行装置の設置とブレーキ性能を向上させたもの。
これらに加えて車体傾斜装置などの高速でカーブを通過できるために装置が搭載された車両ということで、これまで主力だった700系よりもやや値段が高い。
価格こそは高いものの、東海道新幹線の最高速度を270km/hから285km/hにスピードアップする役割を果たしたのは言うまでもない。
700系
2020年3月に東海道新幹線からは完全に引退した700系。
1両当たりの値段は2億2,500万円。16両編成では36億円。
500系で実現した300km/h運転が見送られて最高速度は285km/hに抑えられたこともあって、値段もお得。
N700系とは違って車体傾斜装置のような高速走行に必要な装備はない。
500系
今となっては山陽新幹線のこだま号を中心にしか使われていない500系だが、導入された1990年代半ばは最新鋭だった。
山陽新幹線内では初めて300km/h運転をスタートした車両。
高速運転を行うための設備として、値段も割高。
当初導入された16両編成では、1両当たりの値段は2億9,000万円。1編成では約47億円。
500系を導入したのはJR西日本のみだったが、非常に大きな投資となったのは確か。
E5系/H5系
E5系およびH5系の1両当たりの値段は4億5,000万円。1編成(10両編成)では約45億円。
N700Sに比べても大幅に高いのがわかる。
東北新幹線の最高速度320km/h運転を実施するために導入された車両。
当初ははやぶさ号を中心に割り当てられていたが、最近ではやまびこ号やなすの号でも割り当てられている。
国内最速の高速運転を行うためということで、車両製造費もかなり高い金額となった。
E3系
E3系の1両当たりの値段は2億8,000万円。1編成(10両編成)では約19億円。
山形新幹線、秋田新幹線の「ミニ新幹線」のための車両として導入された。(参考:ミニ新幹線の「仕組み」とは!? フル規格との違いはここ!)
現在は、秋田新幹線でははやぶさ号と連結して320km/h運転を実施しているためすべてE6系に置き換えされて、もうE3系は使用されていない。
当初ははやて号と連結して275km/h運転を行うために導入された。
E7系/W7系
E7系およびW7系の1両当たりの値段は2億7,000万円。1編成(12両編成)では約33億円。
いずれも北陸新幹線のために新しく導入された車両。現在は上越新幹線の一部でも使用されている。
2019年10月の台風19号では千曲川氾濫によって11編成が水没して廃車になるという痛ましい出来事があった。
北陸新幹線の車両はJR東日本と西日本が共同開発し、現在E7系19、W7系11の計30編成で運用している。JR西の2015年3月期の有価証券報告書によると、120両の製造費用は約328億円としている。急勾配の区間を安定して走行できるブレーキや、沿線に豪雪地帯が多いため、床下に雪から守るカバーも備える。
日本経済新聞『北陸新幹線、補修に長期か 全編成の3分の1浸水被害』
それでも、N700系シリーズやE5系・H5系に比べると1両当たりの値段は安い。
最高速度が260km/hと低く抑えられていることが影響。上越新幹線では今後275km/h運転が予定されている一方、どちらでも300km/hクラスの高速運転はない。
スピードが抑えられていることもあって、車両の値段もやや割安。
在来線と比較して
新幹線の車両価格は在来線の車両と比較して大幅に高い。
通勤電車の場合は、平均価格は1両当たり1.2億円。
在来線特急列車の車両はそれよりは高価で、平均価格は1両当たり2.0億円。
対する新幹線は2.7~4.5億円。
通勤電車の2~4倍
新幹線の1両当たりの値段は通勤電車の2.25~3.75倍ほど高い計算になる。
JRの通勤型車両でも、特に首都圏にて代表的なE233系とN700Aを比べると約2.76倍。
JR東海の主力車両で通勤電車としてはやや割高な313系とN700A比べても、約1.9倍はある。(313系は1両当たり1億5,000万円)
N700Sと313系を比較すると約2.5倍。
JR東日本のE5系・H5系とE233系を比較するとその差は約4.3倍。
特急車両の1.5倍
在来線の特急車両と比べても新幹線の車両は高い。
特急列車の車両は1両当たり2億円前後が相場。通勤電車の約2倍ほどになるものの、それでも新幹線よりは割安。
例えば、JR西日本の681系(主にサンダーバード、こうのとりなどで使用)の1両当たりの値段は2.2億円。
N700Aと比べると1.3倍ほど。N700Sと比べると1.7倍ほど。