IKEAの群馬県前橋市への出店計画について、すでに用地取得は完了しているものの、建設着工がまだの状態。工事はまったく進んでいなく、オープン時期も未定。
大型の外資系商業施設としてよく比較されるコストコがすでに隣接地に開業している。IKEAはこれとは対照的。
工事凍結状態が続いているが、その全容を考察。
郊外型の家具・インテリア小売店「ニトリ」のシェアが大きく、採算性に懸念があるとの見方が大きい。
用地取得は完了
出店条件 | IKEA前橋店 |
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人口規模 | 前橋都市圏:126万人 |
車のアクセスの良い物件 | 余裕でクリア |
敷地面積や自治体の姿勢 | 用地取得済 |
>>【地区別】全国のIKEAの出店計画の一覧! 候補地を調査
IKEA前橋はすでに用地取得は完了。あとは建物を建てて開店に踏み切るだけ。
一方で家具・インテリア小売店の市場に欠点がある。実際のところIKEAは郊外の店舗で苦戦している。
IKEAもニトリもコンセプトとしては「安い家具・インテリア」。低価格路線のため、どうしても競合するのは避けられない。
IKEAが出店に前向きになる要素に乏しい。
工事凍結のIKEA前橋
これが有名なIKEA前橋店です pic.twitter.com/ReAN7qGm4H
— 長沢もんた???? (@Nanako_Miyu_775) April 4, 2019
一部店舗で苦戦するIKEAは、すでに以下の店舗のオープンをためらっている。
当初は2020年には14店舗体制を予定していたものの、その大部分が凍結状態。
未完成のIKEA
- IKEA広島(広島県広島市):用地取得済み
- IKEA前橋(群馬県前橋市):用地取得済み
- IKEA札幌(北海道札幌市)
- IKEA原宿(東京都):WITH HARARJUKU(ウィズ原宿)→完成
IKEA前橋が凍結されている出店計画の1つ。広島と同じ状態。
出店計画はまだ残っている
IKEA前橋の計画が完全に消滅したかというと、そういうわけではない。
あくまでも一時的にストップしているだけに過ぎない。
イケア・ジャパンは、群馬県のショッピングモール「パワーモール前橋みなみ」に隣接する土地を取得し、群馬県初となるイケアストアを出店する計画を2013年に発表。当初は2015年頃の開業を予定していたが、未だ更地のままだ。広島駅北口エリアの計画地も現在は時間貸し駐車場となっており、新店舗の開業時期は未定だという。
同社の広報担当者によると「当初の計画発表時より顧客の購買傾向とニーズが変わってきている」とし、現在は顧客がより便利な場所やタイミングで買い物ができる方法として、オンラインストアと都市型店舗の出店を強化。東京都内および大阪エリアにおいては、新たな都心型店舗や法人向け店舗の展開を検討しているという。広島と群馬の店舗については開業計画が頓挫したわけではなく、出店の方針に変更はないとしている。
引用元:FASHIONSNAP.COM「「イケア」広島と群馬の店舗は7年経ってもオープン未定 都心出店強化の狙いとは」、2020年03月04日
前橋・広島への出店は積極的には進めていないとも読み取れる。
前橋の場合はすでに用地取得が終わっているため出店計画はいずれは進めていくとしているものの、オープン時期を公表していないほど。
しかも、以下のような文面も記載されている。
- 当初の計画発表時より顧客の購買傾向とニーズが変わってきている→オープンしても売れない懸念を抱いている
- オンラインストアと都市型店舗の出店を強化→郊外の大型店の出店からは撤退するかもしれない
このような解釈もできる。「中止」ではないが、「中断」はしたいというのが本音なのだろう。
IKEA前橋は実質的に工事凍結と考えてよい。
郊外の地方店で売上が停滞しているから
北海道札幌市では次のような報道があった。
イケアは14年に、札幌を含む地方都市などへ積極出店し、当時の6店から20年までに14店体制とする計画を発表。現在は仙台や長久手(愛知)を含む9店舗まで増えたが、親会社が昨年に「ビジネスを刷新し再構成する」と方針を転換。2万平方メートル超の大型店を郊外に出店するビジネスモデルから、大都市の都心部に小型店を出すことを軸とする計画を示した。
(中略)
イケア関係者によると、東京や大阪などの都市部に比べ、地方店はおおむね苦戦しているという。道内では同業の国内最大手ニトリの存在も大きく、札幌出店は採算性確保の見通しが立たなかったことも、方針転換に影響したもようだ。
引用元:北海道新聞「イケア、札幌出店撤回 都心小型店やネット販売強化」、2019年8月4日
内容をまとめると、次のようになる。
- 2020年までに全国で14店舗をオープン
- 郊外の大型店から駅前の小型店舗に重点を置くこととする
- 東京・大阪以外のIKEAは売上が伸びずに苦戦
IKEA前橋は言うまでもなく「郊外に出店するビジネスモデル」「地方店」に該当。
苦戦しているとのことで、消極的な状況の理由と考えるのが合理的。
小型店舗について
小型のIKEAである原宿店のような形態がイオンモール等のショッピングモールのテナントとしてできる可能性はある。
「都市型店舗の出店を強化」に重点を置いているとIKEAも公表しているため、このような小型店舗が今後は主流になることが想定される。
実際に「オンラインストアと都市型店舗の出店を強化」と明言していることを考えると、いずれイオンモール内にIKEAができることが予想できる。
直ちにこのような形式がスタートするとは考えにくいが、永久にあり得ないことはない。
人口減少、少子高齢化も影響か?
群馬県内は首都圏としては人口減少とそれに伴う少子高齢化が深刻。
県庁所在地の前橋市、高崎市はともかく、それ以外の市町村では人口減少がすでにスタート。IKEAの今後の顧客が減少していることを間接的に意味する。
平成27年10月1日現在の群馬県の人口は、1,973,115人で平成22年に比べ、34,953人の減少 (-1.7%)となり、過去3回の調査で減少幅が拡大している。
引用:群馬県:「《平成27年国勢調査 》群馬県の人口と世帯」
前橋市と高崎市では辛うじて人口増加しているものの、将来的にはここも減少に転じることが予想される。
IKEAの出店が消極的になる一因かもしれない。
再び郊外型の店舗の出店に積極的になればよいが、人口密集地帯の駅前にシフトしている理由が何となくわかる。
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